負のエネルギーは魔法
「そういや、私、トイレいってない」
「下僕化したのだから身体の機能は停止しているね。あとは不思議な力で何とかなっているね」
「不思議な力ぁ??」
さすがに声を荒げてしまう。不思議な力とは投げやりな。
「生きた人形は謎が多いのだ。ワタシにも分からない部分はある」
(じゃあやるなし〜〜!)
「今のも聞こえてるから、不躾な発言は控えな」
「はぁ?!」
反応もせず、彼女はスタスタと歩いていった。それを横目に見ていたのは朝方に会ったカヂである。
「なんともバカな主に人形にされましたね。キュームさん」
「……あ、あー、まあ」
「私に下僕化されればもう少し有意義に過ごせたかもしれないのに。なーんて」
ニコニコと軽口を叩かれ、ふと気づく。
「カヂさんも、不思議な力を使えるんですか」
「ああ、そうですね。このアパートにいる住人の大半は使えます。彼らを咒士と呼ぶ者もいますが……要するに負のエネルギーで異能を使役する群団です」
無縁そうなあのチンピラも使えるのか……、とキュームは内心ゲッソリした。
「そんなものしかこの村にはこれませんよ」
「はあ。そういえば鮎? の話は」
「鮎? アレですか、丁度なんかでかい妖魔に食べられ尽くして困ってるらしいです」
適当な話である。生憎、空腹を覚えないので楽ではあるが発音不明の鮎らしき生物は見てみたかった。





