気に入られたら最後
「この世界、村には死の概念がないね。死んだらゾンビ……死人のまま動き、ある者は傀儡として他人にこき使われる。そんな感じだ」
「ふーん。だから」
隣の平屋に住むおばあさんは一部白骨化していた。死人のまま、まだ生活しているという訳だ。
「あのさ、元は普通の村だったの」
「さあ。ワタシはそういうリスキーな話には首を突っ込まないんでねえ」
リスキーなんだ、とつぶやいて、キュームはクーラーはないのだろうか……と汗をぬぐった。
心停止しているのに汗ばむとは、どんな原理なのだろう。
「金の森に帰れば、クーラーがある世界に戻れたりするのかな」
「金の森が? お前の死に場所ナノカ? 笑かすね!」
「は?」
「金の森に気に入られれば森の妖魔と化し、いいなりになるね。それなら連れて行ってもいいが」
「森に気に入られる??」
ハァ? と眉をひそめると、田んぼで回転している人が未だいるのを目視する。あれは野良仕事の一環なのだろうか。
(水撒いてるつもりとか?)
「お前は知らないか? 普通に、山に気に入られればいい結末がないように、金の森に気に入られれば取り込まれる。そうして……あの大家に気に入られぬことだな」
「え……」
「人でないものに気に入られれば、もはや逃げられない。必然かもしれないがね!」
笑うと、グー子はトンネルを指差した。
「ワタシはあのトンネルから外界にでるね。汽車に乗って、現実の都市部に戻り、今までバカにしてきたヤツを蹴散らす」
「アパートから出たら死ぬって」
大家さんはそう言っていた。前の住人もそうなった、と物がたっている。
「大家の寝首をかき、駅に行くんだ」
(あー、これは私も手伝うンですかねー……嫌だなあ)
どんな村だよ、となりながら書いています。
まあそのくらいのゆるさが今は良いです。自分的には。





