巨大猫??グイ
たどり着いたのは入り口が金網で塞がれたトンネルだった。扁額には風化したせいで■■川トンネルとしか読めない。
山肌がむき出しの得体のしれない山林。廃道に近しい道。
錆びついたバス停があったが、こちらも文字は読めなかった。
「これって、出口?!」
「ああ、あっちには駅もあるね。その駅の電車に乗ればもとに戻れる」
「え、グー子……さん?」
彼女は逃亡を手助けしてくれている? キュームは狼狽していると、ニャぁ〜〜オと轟く鳴き声がした。
「ニャアあ〜〜、キキキ! わざわざ飯を提供しに来のかぁ〜〜ニャア!」
灰色の毛並みの巨大な、猫科の生き物が山肌にしがみついている。
「でたね。グイ!」
「え、え?!」
「役立たずの小悪党にニャンて興味ないなあ。さあ、飯をよこせ!」
巨体は山を覆うほどある。猫科だとは思うが――多分、猛獣であるのは確実だ。
「端から、私を釣り餌にしたわけ?! このヤロー!」
「あたりめえだろう? じゃないとアレは出てこない。迷い込んだばかりの人物が逃げたいと思った時にしか、姿を現さないのさ!!」
「騙しやがって!」
しかしグー子はニタニタと笑ってみせただけだった。ものすごくイラついたが、背後から殺気が迫っているのに気づき、キュームはハッと死を覚悟した。
「罠にかかったね! バカ猫もどき! 生き人形へ封じられろ!」
何やらじゃラリと数珠を取り出すと、勢いよく数珠ごと手をすり合わせた。
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン。霊媒、開門」
「ニャぁあ〜〜?! オマえ、力を取り戻したのk――」
「え、え? な、なに?」
背中にものすごい風圧を感じ、やがて辺りはシンと静まり返った。
「あのさあ何をしたの」
「生き人形にグイを封印しただけだ。ガハハ! これでもう何も怖くない! ワタシは最弱だの役立たずだの罵られることも無い! ギャハハハ!」





