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短めです。

この子は、これまでどれだけ我慢して来たんだろう。


泣き疲れて眠ってしまったミリの寝顔を見ながらそう思う。


突然、こんな見知らぬ世界へ飛ばされて、これまで培って来た全てを一瞬で失ってしまった。


「ずっと1人で耐えていたんですね。

それに全然気付いてあげられなくて……。

私は教育係失格です。」


ソファで眠るミリに毛布をかけながらマリーが言う。


「それを言うなら私よ。

誰よりもミリの気持ちを分かっててあげないといけなかったのに。」


何がミリに癒されるよ。

表に出さないだけで、辛さや寂しさがないはずがない。

その事は分かっていた。

だけど、いつも明るく笑うミリの強さに、すっかり甘えてしまっていた。


そのミリが、家族に会いたいと涙を流した。


そんなの当たり前だ。

すごくしっかりしていて、落ち着いているから大人びて見えるけど、この子はまだ17歳なんだ。


今世の私も同い年ではあるけど、前世の20数年分の記憶があるから、私の方が大人だと思っていた。

だから、私がミリを守るんだって。


でも、実際はミリの方がずっと大人だった。

自分の事は何も言わずに、私の未来を変えるんだって頑張ってくれていた。


私はそれに甘えて甘えて……。


「私って本当に最低……」


無意識に漏れた呟きは、マリーの耳に届いただろうか。

そちらに目を向けると、何を言うでもなく、穏やかに微笑みながら私を見ている。


「ミリが家族に会いたいって泣いた時ね。

あぁ、私がずっと我慢させちゃってたんだなって思ったの。

私の事をミリに話しちゃったから、ミリは自分の事じゃなくて私の事ばっかり考えるようになっちゃったのかなって」


実際ミリがどう考えていたかまではわからない。

それでも、少なからず負担にはなっていたはずだ。

涙を流すミリを見た時、初めてその事に考えが至り、申し訳なさと情けなさであふれる涙を堪える事が出来なかった。


「それで、昔の服をミリに?」


「うん」


どうやらマリーは全てお見通しだったみたい。

日本に居た時の制服を着れば、ミリは嫌でも日本の事を思い出す。


もしかしたらすごく残酷な事で間違った事なのかも知れないけど、それでも今まで溜めてきたものを吐き出して欲しかった。


「これが正しいのかはわからないし、単なる私の自己満足なのかもだけど……」


ミリに我慢させてしまっていると言う事実から逃れたいだけの私の我儘なのかも。

そう思ってしまうのだけど。


「私にもそれはわかりません。ですが……」


そう言って眠っているミリの頭を優しく撫でるマリー。


「この顔を見る限り、少なくても間違ってはいなかったのではないですか?」


「うん、そうね。きっとそう。だから……」


眠るミリの顔はとても穏やかで。


今度こそ、この子を絶対に守ってみせる。


改めてそう誓った。

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