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二話

そして。


「ミリさん、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」


サーシャの寮に着くと、出迎えてくれたのはアイラさんだった。


「今日のドレス、とても素敵ですね。良くお似合いですよ」


笑顔でそう言ってくれるので、嬉しいような恥ずかしいような。

アイラさんの案内に続いて寮の中へ。


セリーナさんの寮はセリーナさんしか住んでないからすっかり忘れてたけど、寮には本来は複数のご令嬢が住んでいる。


この寮では、1階がフェルチェ伯爵令嬢ことサーシャの部屋で、2階と3階には他の伯爵家のご令嬢が住んでいるそうだ。


同じ寮に住んでるならご近所付き合い的なものもあるのかなと思ったけど、家同士が親しいとかでもなければ特にそういうことはないらしい。


まぁ、それでも3年間同じ建物に住む訳だから、それこそ家同士で揉めてたりとかしない限りはそれなりに親しくなるそうだ。

そうやって出来た縁が、卒業後の社交界でも役に立つとか。


ただ、昔に何かの手違いだったのか、家同士が犬猿の仲のご令嬢同士が同じ寮になった事があったらしい。

その時は毎日のように寮内で喧嘩が起きてて本当に大変だったとか。

結局は両家が学校に掛け合い、別のご令嬢が卒業して空いた部屋に引っ越す事で収まったらしい。


アイラさんからそんな話を聞きながら歩いていると、サーシャの部屋に到着した。

ノックをして入って行くアイラさんに続いて中に入ると、サーシャが満面の笑みで出迎えてくれた。


「ミリちゃんいらっしゃい!」


あぁ、この笑顔を見てるだけで癒される……。

嬉しそうにパタパタと駆け寄って来たサーシャは、そのまま抱き着いて来るのかと思ったけど、途中でアイラさんの視線に気付いたのか、慌てたように居住まいを正している。


まぁ、今日はサーシャもドレス着てるもんね。

セリーナさんが同じように走ってお客様を迎えに行ったら私だってひと睨みしちゃうだろうし。

ちらりとアイラさんの方を見てみれば、満足気に頷いている。


「さ、座って座って!」


落ち着いて令嬢らしく振る舞おうとしつつも、まだそわそわしているのを隠し切れてないサーシャの様子に、思わず笑みが出てしまう。

椅子を引いてくれつつ、アイラさんが小声で「すみません」と謝ってくれるが、私から見ればこんなサーシャも可愛くて仕方ないので問題ない。


「えっと、本日はお招き頂きありがとうございます」


どうにも慣れないけど、招待へのお礼は忘れずに言っておく。

親しき仲にも何とやらだもんね。


「私の方こそ来てくれてすっごく嬉しい!

それに、そのドレスすごく素敵!

アクセサリーも似合ってるし、今日のミリちゃんは何処かのご令嬢って言っても誰も疑わないね!」


興奮冷めやらぬ様子で褒めてくれるサーシャ。

ちょっと恥ずかしいけど、ここまで褒められて悪い気はしないよね。

まぁ、ちょっと興奮し過ぎな気もするけど。

ほら、アイラさん苦笑いしてる。


「サーシャもすごい可愛いよ!」


これは心の底からの本心。

サーシャのドレス姿を見るのは、前回のセリーナさんとのお茶会に続いて2回目だけど、すごく似合っている。

これもアイラさんがサーシャに似合うドレスをきちんと把握していて、それを場に合わせてきちんと選んでるからだろうなぁ。


って、サーシャの素敵な姿ドレスを見てもそう考えてしまうあたり、私も骨の髄まで侍女になって来てるみたいだ。


アイラさんが淹れてくれたお茶を飲みつつ、ホッと一息。

他愛のない雑談をしているうちに、サーシャの興奮も収まって来たみたいだ。


「ところでミリちゃん。話したい事があるんだよね?」


笑顔は変わらず、でも真剣な雰囲気でサーシャが聞いてくる。

ちなみに、アイラさんはお茶の用意をしてくれた後、別室に下がっている。

正直、今日話したい事の内容が内容なだけにどうしようかとも思っていたけど、サーシャは何となく察してくれてたみたいだ。


天真爛漫なお嬢様に見えて、サーシャはそう言うところが鋭い。

人の心の機微を察するのが上手いと言うか、空気読みの達人とでも言うべきか。

ともかく、私としては非常にありがたい。


「うん。こんな事私が聞いて良いものなのかわからないんだけど……」


うぅ……いざとなると上手く言葉が出ない。

でもここまで来たならきちんと言わないと。

そう心を決めて、一度深呼吸。


「王太子殿下の事なんだけどね?サーシャはどう思ってるのかなって」


勿論サーシャから言い寄った事なんてある訳がない事は分かっている。

この前のセリーナさんとのお茶会の時の様子からしても、王太子との関係が噂になっている事を心から申し訳なく思っていることも。


それでも、相手は王太子だ。

その将来の相手ともなれば、王太子妃。そして未来の王妃という地位も付いて来る。

サーシャは伯爵令嬢で、本来なら王太子妃、王妃となるには家格が足りない。

最低でも侯爵家以上から選ばれるのが通例だ。それでも、前例がない訳ではないみたいだし、王太子が強く望めば恐らくは正妃となるのも可能。

まぁ、この辺はセリーナさんの受け売りだけど。


そんな貴族の令嬢なら誰もが夢見るであろう相手との関係に、サーシャは惹かれたりしないだろうか。

何より、ゲームでは結ばれる相手な訳だし。

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