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国王陛下達と向かい合う形でソファに座ったはいいけど、何かこの男の子、ずっと私を睨んでるような……?会ったことないと思うんだけど何でだろう……。


「今日は忙しいところを呼び出して悪かったね。

ラウル、こちらがラズウェイ公爵とセリーナ嬢だ」


「ラウル殿下、初めてお目にかかります。ラズウェイ公爵が娘、セリーナと申します」


挨拶をする私に、ラウルは無反応。なんだこいつ。

相変わらずこっち睨んでるし……。

それにしてもラウル……?どこかで聞いたことがあるような……。


「どうやら息子は照れているみたいだな。これでも王太子として恥ずかしくない教育は受けさせて来たんだが」


国王陛下が苦笑いしながらフォローしているけど、どう見ても照れてないでしょ……。


「あの、陛下。今日はどういったご用件で……」


国王陛下に対して無礼だとは思うけど、それ以上にずっと睨まれてるのが辛くて口を開いた私に、国王陛下は最高の笑顔を見せてくれた。

その口から出た言葉は、最悪と言っていいものだったかもしれないけど。


「実はね、セリーナ嬢。

ラウルの婚約者に君をどうかと思っているんだ。

公爵からは、君さえ了承してくれるなら構わないと返事をもらっていてね。どうかな?」


「……」


婚約……?このラウルと?

あ、思い出した、ラウルって……。


「えっと……」


国王陛下に返事をしなければいけないとわかっているのに、言葉が出ない。


「突然で驚かせてしまったかな?

ただ、君は家柄や教養はもちろん、年齢に似合わず落ち着いたその人柄は周りの人からも慕われていると聞いている。

王太子妃として申し分ないと思うんだが、どうかな?」


「身に余る光栄なお話でございます……」


何とかそれだけ答えるのがやっと。

だって王太子のラウルって言えば……。

私が前世でやっていた乙女ゲーのメイン攻略対象の名前じゃないか。


その婚約者って言ったら、性悪な悪役令嬢だった。

その名前は確か……セリーナ……。

なんでこんな大切なこと今まで忘れてたんだろう?


悪役令嬢のセリーナ・ラズウェイ。

家の権力を振りかざしてやりたい放題の我儘で高慢な令嬢。

王太子と親しくなっていくヒロインに嫉妬し、虐めて虐めて虐め倒す。

最後は断罪されて、処刑されそうになるところをヒロインの嘆願で救われたにも関わらず悪態をつき続け、ついには溺愛されていた家族にも見捨てられて辺境へと追いやられ、そこで孤独に一生を終えることになる。


それが私なの……?



「セリーナ?大丈夫かい?」


お父様の声ではっと我に返る。

しまった、国王陛下の前で自分の世界に入ってしまった。

これでは断罪の前に不敬罪に問われてしまう。


「まぁ、驚くのも無理はない。なにせ、ラウルとは今日が初対面な訳だしな」


幸い国王陛下は気にしていないみたいで良かった。

良かったのだが。


「どれ、少し2人で庭園でも散歩して来なさい。

今日は天気も良いから気持ちも落ち着くだろう」


と、とんでもない提案をされてしまった。

いや、私としてはそもそも婚約したくないし、ラウルと関わりたくないんですけど……。


「はい。父上がそう仰るのでしたら」


まぁ、国王陛下の言葉に従わない訳にはいかないよね……。

こちらを見ることすらなく、さっさと歩き始めてしまったラウルを追い掛け、庭園へ。


王城の庭園は、国内、またある時は国外からも腕利きの庭師を集め、季節ごとの花が絶えず咲き続けている。

その様は近隣諸国でも有名なほどに美しく、我が国に外交などで訪れる各国要人の中には、庭園見たさに志願する人もいるほどなんだとか。


普段ならその素晴らしい景色を楽しめたんだろうけど、今の私にはそんな余裕はなかった。

だって、何故か出会った瞬間から露骨に敵意を向けて来る王太子と一緒なんだもの……。


「……」


1歩先を歩くラウルは、庭園に出てからずっと無言だ。

いや、庭園に出るどころか、部屋を出てから一言も話さないし、こちらを見ようともしない。


あの乙女ゲームでもラウルは悪役令嬢を嫌ってたけど、ここまでか……。

見た目だけならすごい美少年なんだけどなぁ。


太陽の光を受けて鮮やかに輝く金髪に、澄んだ水色の瞳。

悪役令嬢がベタ惚れだったのも頷けるよホントに。

まぁ、その悪役令嬢は私なわけなんですが。


前世の記憶が戻る前の私だったら、一目惚れしてたかもなぁ。

なんて考えながらラウルの後ろ姿を眺めていると、突然ラウルが振り返った。

やば、ガン見してたのバレたかな?


「予め言っておく。

どうやって父上に取り入ったかは知らないが、僕はお前が大嫌いだ。

ご命令だから仕方なく婚約はするが、自分が愛されているだとか大切にされているだとかの勘違いだけはするな。

あくまでも、仕方なく、いやいや婚約するだけだ」


「……はい」


ようやくこっち見たと思ったら、第一声がそれ!?

取り入ったって何よ!?

まるで私が望んで婚約したみたいに言ってるけど、私だって嫌なんですからね!?


平静を装いつつ私がそんなことを考えているのを知ってか知らずか、ラウルはそれだけ言うと、もう用はないとばかりに踵を返して城内に戻って行ってしまった。

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