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前世の記憶が戻ってから数年が過ぎ、私は10歳になった。

成人だった時の記憶が戻ってるから、体だけはまだ子どもってのは少し変な感じではあるんだけど、まぁ慣れたと言えば慣れたかな。


そんな私は、今絶賛おめかし中。

何でも国王陛下からの呼び出しとかで、お父様と一緒に登城することになっているのだ、めんどくさい。

身支度にしても、張り切っているのは侍女のみんなで、私自身はされるがままになってるだけだけだ。


「お嬢様ー!!とてもお可愛らしいです!!」


この数年で、すっかり関係の改善された侍女達が歓喜の悲鳴をあげている。

元から嫌われているということもなく、我儘で手がかかりすぎて困るって感じの扱いだったから、私が態度を改めてからはどんどん仲良くなった。


「そう?みんなのおかげよー!ありがとね!」


などと言いつつ、私も満更ではない。

今の私ことセリーナは、絶世のと言ってもいいくらいの美少女だ。

我儘高慢お嬢様なのに嫌われてなかったのはそのせいなのかもしれない。実際のところは聞いてないから分からないけどね。


ともかく、鏡の中の自分の姿に、自分でも見蕩れてしまうレベルに可愛い。


「王城にもお嬢様ほどお可愛らしい方はきっとおられませんわ」


そう言って微笑むのは、私お付き侍女のマリー。

私の幼少期、それこそ前世の記憶が戻るよりもっと幼い頃から仕えてくれている。

私より6歳年上だけど、それでも他の使用人達よりは年齢も近く、私としては侍女と言うよりも姉のような存在だ。


「そうかなー?ありがとねー!」


ちょっと照れくさいけど、悪い気分はしない。

いやー、生まれ変わって良かったなぁ。

前世は完全にオタク街道爆進中って感じで、それはそれで楽しんで生きていたとは思うけど、自分自身のことでは楽しみとか見い出せてなかったし。


まぁ、心残りがない訳では無いけど。

家族のことを思い出すと今でも胸が痛むし、やり込んでた乙女ゲーの続編もやりたかったし。

もう日本に帰ることはないだろうし、そもそも私日本では死んでるし……。

私に出来ることは、家族や友人が健やかに生きてくれていることを祈ることだけかな。


「お嬢様?ぼーっとなさって、どうなさいました?」


どうやら、いつの間にか自分の世界に入っていたみたいで、マリーが心配そうにしている。


「え?あぁ、大丈夫何でもないわ」


「そうですか?それなら良かったです。

さぁ、準備は完了致しましたよ」


鏡に映る自分の姿を改めて見てみる。

うん、超絶可愛い。完璧すぎる。


「うん、今日もありがとうね」


自分で言うのもなんだけど、確かに素材は良いにせよ、マリー達侍女の腕があってこそだ。ありがたい。


私としてはもう少し完璧美少女となった自分を眺めていたかったけど、お父様は既に仕度を終えられてエントランスで待っているとのことだったので、泣く泣く部屋を後にした。


今日も親バカ全開で私を絶賛するお父様と共に馬車に揺られること数十分。

無事王城に着くと、既に待機していた案内係に連れられて通されたのは応接間。


てっきり謁見の間に通されるとばかり思っていたのだけど……。


「お父様、今日は陛下はどんな御用なのでしょうか?」


ここまで案内してくれた人は、しばらくお待ちくださいと言い残して早々に去ってしまった。

室内に控えていた王城の侍女も、お茶の用意だけすると下がってしまい、今応接間には私とお父様のみ。

呼び出しといてそれはどうなのとは思うけど、何せ相手は国王陛下だ。文句なんか言えるわけがない。


「あぁ、もう少しでわかるよ。

なに、心配しなくて大丈夫だ。悪い話ではないからね」


どうやらお父様は今日の要件を知っているらしく、にこにこしている。

一体なんだろうと首をひねっていると、扉がノックされた。どうやら国王陛下がいらしたようだ。


すっと立ち上がったお父様に倣い、私も立ち上がる。そのまま淑女の礼をしてお出迎え。


「待たせてすまなかったな。2人とも、顔を上げなさい」


穏やかにかけられた声に従い顔を上げると、そこにいたのは国王陛下と、私と同い年くらいの少年だった。

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