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リカ、やっぱり食い倒れ!!


 【興業都市・四番街(メネーズストリート)】は一大テーマパークである。

 巨大ドームで全周を覆われており、

 〈地底〉でもっとも多様な演出や表現の生まれる

 創造性あふれる空間だ。

 



 一例を挙げるなら、この“星空”。

 コンピュータ・グラフィックで再現されたニセモノの世界だが、

 まるでスタジオセットの中に迷い込んだような

 不思議な感動を覚える。


 そして、もちろんこれは〈夜〉バージョン。


 壮大なスケールで展開される、電子が作るニセモノの世界は

 リアルタイムに移り変わる。

 〈昼〉に近づくにつれ、徐々にゆっくり明るくなってきて、

 やがては天井を青く覆い尽くす。


 そう、それが失われた前世界の遺産――“青空”だ。


 飽きずに一日中見てるヤツも結構居る。俺もその一人だったね。




 そして、忘れてはならないもう一例。

 幸か不幸かは分からないが、空間が密封されているがために、

 “炎”の使用を許可されている。

 つまり、大火力で調理が可能なのだ。



 全長八キロメートルにも及ぶ長大な【屋台街(フード・コート)】は、

 年中通して観光客を集め続け、

 尋常じゃない数の胃袋をパンパンに満たしている。

 

 となりとの隙間は、わずかにコブシひとつ分!

 お上品に座って食べる場所なんてない。

 だから胃袋とまったく相談せず、

 本能のままに行動すると両手は簡単にふさがってしまう。

 すべて持ち帰ってシティホテルで静かに食べるなんて、愚かの極みだ。

 ウマいはずがない。



 ――その場で買ったら、その場で完食ッ!



 これぞ【興業地区・四番街(メネーズストリート)】の掟だ。


 今、(魚介ダシの効いた、カップそばをズルズルしながら)

 俺が歩いているのは、みっつある大通りの中央に位置する【未来通り】。

 この『夢の国』が設定する“未来”とは、

 俺たちが生きている時代――つまり“今”だ。

 ちなみに〈地底〉の“今”は(ズルゥ~ズルズルズル……)

 空前のファンタジー・ブームが到来している。



 人気の小説・コミック・映画に登場したメニューを再現して、

 只今精力的に販売中。

(ズズゥ……ズルズルズル~と麺をバキューム!)


 気になる再現度は店によって大きく上下する。

 こういった新たな試みは、原作ファンとして複雑であるが、

 常連の俺は大歓迎。これからも定期的にやってほしいものだ。

(そしてズルズルズルゥ……音を立てるのが粋らしい)



 この店だ。

 この店だけは昔から変わらない。


 油にまみれた内装も。

 ななめに傾いたままのベタつく看板も。

 カウンターにちょこんと置かれた、一人も客を招きそうもない

 本物のキツネのはく製も。



 やはりと言うべきか、その日も客はいなかった。




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