# 第二十三話 街中で魔族の襲撃!? やることが多すぎます!!
今回は、洞窟の外に残された空間魔法の依代を探すため、テラグランデの街へ!
しかし、魔族たちも黙って見ているわけではありません。住民の避難に仲間への指示に、クロは大忙しです!
街を守りながら、魔力結晶を見つけ出すことはできるのでしょうか?
洞窟から脱出した私たちは、地の大精霊の案内でテラグランデの街へ戻っていた。
「……それで、魔力結晶は街の中にあるんですか?」
『間違いない。空間魔法の痕跡をたどった結果、街の内部に強い魔力反応を確認した』
地の大精霊が答える。
洞窟の中で見つけた記録。
ダンジョンの核。
そして、外部から維持されていた空間魔法。
それらを考えれば、魔族が何かを仕掛けているのは間違いない。
「でも、どうして街の中なんでしょう?」
『人の往来に紛れれば、発見されにくいからだろう。魔力結晶を隠す場所としても都合がいい』
「なるほど……」
街の中なら、確かに見つけにくい。
普通に生活している人たちは、地面の下や建物の中に魔力結晶が置かれているなんて思わないだろう。
しかも、その結晶が魔物を送り込むための装置になっているなんて。
「……早く見つけないと」
『ああ。だが、慎重に行動する必要がある。街には多くの住民がいるからな』
「はい!」
私は頷いた。
よし。
今度こそ、事件を解決しよう。
……できれば、戦闘は少なめでお願いします。
そんなことを考えながら、街の門をくぐった。
◇
街の中は、いつもと変わらない様子だった。
商人たちが露店を並べ、住民たちが道を行き交っている。
子どもたちが広場で遊び、冒険者らしき人たちが武器屋へ向かっていく。
「……平和ですね」
『今のところはな』
地の大精霊は、街の一角を見つめていた。
『魔力の流れが強い。あちらだ』
「分かりました!」
私は地図を開いた。
大精霊が示した場所は、街の中央広場から少し離れた商業区画だった。
周囲には建物が密集している。
その中に、古い倉庫のような建物が一つあった。
「……あそこですか?」
『可能性が高い。だが、まだ断定はできん』
私は主人公を操作して、倉庫へ近づいた。
建物の周囲には人影がない。
入口は閉ざされ、窓も板で塞がれている。
ずいぶん古い建物のようだ。
「中を調べてみましょうか?」
『待て』
地の大精霊の声が響いた。
『妙だ。周囲の魔力が不自然に乱れている』
「……え?」
その瞬間だった。
――ドォン!!
「ひゃあっ!?」
突然、倉庫の壁が内側から吹き飛んだ。
黒い煙が広がり、その中から複数の人影が現れる。
人の姿をしている。
けれど、その身体からは黒い魔力が漏れ出していた。
『侵入者か』
『結晶を探りに来たようだな』
低い声が響く。
その中央に立っていたのは、黒い外套をまとった魔族だった。
「……魔族!?」
『やはり、ここにいたか』
地の大精霊が前へ出る。
魔族は、こちらを見て薄く笑った。
『ダンジョンを破壊した程度で、我らの計画を止められると思ったか』
「……っ!」
やっぱり、こいつらが空間魔法を維持していたんだ。
『結晶には触れさせん。ここで排除する』
魔族が手を掲げる。
すると、周囲の空気が歪んだ。
――パキィィン!
地面に黒い紋様が広がる。
次の瞬間、倉庫の周囲から魔物が現れた。
「ええええっ!? まだ増えるの!?」
『魔物が出現した!』
『住民が近くにいるぞ!』
『クロちゃん、気をつけて!』
コメント欄が一気に流れ始めた。
まずい。
ここは街の中だ。
周囲には住民もいる。
戦うだけじゃ駄目だ。
「みんな! 住民を避難させないと!」
『分かっている。こちらは契約者たちと住民の誘導に回ろう』
地の大精霊が答えた。
『バルガス、頼めるか』
『任せろ! 俺たちで道を確保する!』
バルガスさんが盾を構える。
その後ろでは、契約者たちが住民の避難誘導を始めていた。
……よし。
これなら何とかなるかもしれない。
そう思った、そのとき。
画面に新しい表示が出た。
『緊急任務が発生しました』
『魔力結晶を守る魔族を撃退せよ』
『住民を安全区域へ誘導せよ』
『騎士団へ応援を要請せよ』
「…………え?」
私は画面を見つめた。
任務が三つ。
しかも、全部同時に表示されている。
「えっ、ちょっと待って!? 一つずつじゃ駄目なんですか!?」
『同時進行だぞ!』
『クロちゃん、忙しくなってきたw』
『これは大規模戦闘だ!』
「む、無理ですぅぅぅ!!」
◇
とりあえず、状況を確認しよう。
私は慌ててマップを開いた。
すると、街の地図が画面いっぱいに表示された。
赤いマークは敵。
青いマークは味方。
黄色いマークは避難が必要な住民。
そして、少し離れた場所には、応援要請を届けるべき重要人物の位置が表示されていた。
「……えっと」
敵は倉庫の周辺。
住民は商業区画と中央広場。
応援要請先は、街の行政施設。
「…………」
私は地図を見つめた。
「多くないですか!?」
『マップを使って指示を出せるぞ』
コメント欄に、そんな文字が流れた。
「あっ、そうだった!」
私は操作ガイドを確認した。
このゲームでは、マップを開いている間、ゲーム内の時間が停止する。
さらに、仲間や契約者たちに目的地を指定して、行動を指示できるのだ。
「よ、よし……!」
まずは住民の避難。
バルガスさんと契約者たちに、商業区画から安全区域までのルートを指定する。
次に、ガルドには倉庫周辺の敵を抑えてもらう。
フィリアとエルフィには、魔物の進行を妨害するように指示。
そして、地の大精霊には、魔力結晶の位置を探ってもらう。
「これで……どうですか!」
マップを閉じる。
すると、仲間たちが一斉に動き始めた。
『了解した。住民を安全区域へ誘導する!』
『敵の進行を食い止めるわ!』
『ガルド、無理はしないでね』
『分かっている!』
「おおお……!」
ちゃんと動いている!
自分で全部操作しなくても、仲間たちがそれぞれの任務を進めてくれている。
「すごい……! これなら何とか――」
そのときだった。
倉庫の屋根が、大きく揺れた。
――ドゴォォン!!
「ひゃあああっ!?」
黒い魔力をまとった大きな魔物が、屋根を突き破って現れた。
その巨体は、周囲の建物よりも大きい。
魔物が腕を振り下ろす。
ガルドが大剣で受け止めたが、勢いを止めきれず、後ろへ押し戻された。
『ぐっ……!』
「ガルドさん!?」
画面に警告が表示される。
『大型魔物が出現しました』
『住民の避難経路が危険にさらされています』
「えええっ!?」
せっかく避難させているのに!
このままじゃ、住民たちが巻き込まれてしまう。
「ど、どうしよう……!」
私は再びマップを開いた。
避難ルートを変更する。
バルガスさんたちには別の道を指定。
ガルドには大型魔物を引きつけてもらう。
フィリアとエルフィには、遠距離から援護してもらう。
そして、私は主人公を操作して、敵の注意を引くことにした。
「……よし!」
マップを閉じる。
「みんな、お願いします!」
主人公が走り出す。
大型魔物がこちらを向いた。
「えっ、こっち!?」
私は慌てて距離を取った。
魔物の攻撃が地面に当たり、石畳が大きく揺れる。
「うわあああっ! 近い近い!」
回避。
距離を取る。
もう一度回避。
その間に、ガルドが横から大剣を叩き込んだ。
『今だ!』
フィリアの魔法が飛ぶ。
エルフィも続けて攻撃を放った。
大型魔物の動きが鈍る。
「おおっ! みんな、すごい!」
その隙に、住民たちが安全区域へ向かっていく。
よし。
少しずつだけど、状況は動いている。
……でも。
まだ、魔力結晶の場所が分かっていない。
そして、魔族も逃げる気配がない。
「……早く、結晶を見つけないと」
私は画面の奥にいる魔族を見つめた。
魔族は、こちらの戦いを眺めながら、静かに笑っていた。
『無駄だ。結晶は渡さん』
「……絶対に見つけます!」
私はコントローラーを握り直した。
街の平和を取り戻すために。
そして、これ以上魔物を送り込ませないために。
私たちは、魔族との戦いを続けるのだった。
今回は街中での大規模な戦闘が始まりました!
マップを使った仲間への指示も、今後の重要な要素になりそうですね。
果たして魔力結晶はどこにあるのか。そして、魔族の目的とは……?
次回もクロたちの活躍をお楽しみに!
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