↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/22

# 第二話 テスト配信のはずだったんですが!?

こんばんは! 多分最初で最後の一日2話投稿です! 今回も面白く書けたと思うので見てみてください!


 数日後。


「…………届いちゃった」


 部屋に届いた大きな段ボール箱。中身は配信用のマイクや機材一式だ。


 全部、深夜のテンションで私が買ったもの。


「……本当に配信するんだ、私」


 推しの月城ルナみたいに、誰かを笑顔にできたらいいな。そう思ったのは本当だ。


 でも、私は人と話すのが苦手なのだ。


 コメントが来たらどうしよう。何を話せばいいんだろう。


「……ま、まあ、今日はテストだけだから!」


 そう。今日は機材の動作確認。誰にも見せないのだから、緊張する必要はない。


 ……うん。大丈夫!


     * * *


 機材を接続し、配信ソフトを起動する。


 画面には、黒いオーバーサイズのパーカーを着た黒猫の女の子が映っていた。


 黒髪に青紫色の瞳、ぴょこんと立った猫耳。


 私のVTuberモデルだ。


「わ……すご……!」


 顔を傾けると、画面の中の黒猫も首を傾ける。口を開けば口が動き、瞬きをすれば目を閉じる。


「かわいい……」


 自分で注文したモデルなのに、改めて見ると感動してしまう。


 この子が、私の分身になるんだ。


「……よし!」


 私は配信設定を確認した。


 タイトルは『【テスト】初めまして、猫野クロです』。


 配信先は大手動画配信サイト VTube。マイクもゲーム画面も問題なし。


 公開範囲も非公開に設定した。


「完璧!」


 私は配信開始ボタンを押した。


『ライブ配信を開始しました』


「よし、テスト開始!」


 マイクに向かって声を出してみる。


「あ、あー……マイクテスト。聞こえ……ないよね?」


 当然、返事はない。


「……うん。そりゃそうだよね」


 次はゲーム画面の確認だ。私はNEXCを起動した。


     * * *


「よし、ちゃんと映ってる!」


 幻想的な景色と近未来的な銃器が共存するオンラインゲーム『NEXC』。普段から遊んでいるゲームだし、テストならいつもどおりでいいだろう。


 私はキャラクターを操作して、フィールドを探索し始めた。


 すると、建物の陰から敵プレイヤーが飛び出してきた。


「うわぁぁぁ!? 待って待って!!」


 慌てて物陰に飛び込み、敵の攻撃を避ける。


「なんでいるの!? さっきまでいなかったじゃん!!」


 悲鳴を上げながらも、敵が角から顔を出した瞬間、照準を合わせて引き金を引く。


 銃声。


 敵が倒れた。


『敵プレイヤーを撃破しました』


「…………ふぅ。生き残れた……」


 私はほっと息を吐いた。


 その後も敵に遭遇するたびに悲鳴を上げたが、気づけば何人もの敵を撃破していた。


「はぁ……危なかったぁ」


 椅子にもたれ、満足げに息をつく。


 無意識に少しドヤ顔になっていたことには、まったく気づいていない。


 ――一方、配信画面の向こう側では。


『悲鳴とエイムの温度差すごくない?』


『めっちゃ焦ってるのに敵が溶けていくw』


『これ本当にテスト配信?』


 コメントが流れていた。


 しかし、本人はコメント欄を一度も見ていなかった。


「……やっぱりNEXC、面白いなぁ」


 さて、そろそろテスト終了だ。


 配信ソフトに戻り、終了ボタンを探す。


「えーっと、これかな?」


 その瞬間――。


 **チャリン♪**


「……ん?」


 聞き慣れない音が鳴った。


 画面の隅に表示されていたのは、見覚えのない通知。


『匿名さんからスーパーチャットが届きました!』


「…………え?」


 私はゆっくりと画面を見つめた。


『ライブ配信中』


『視聴者数:4』


「………………えっ!?」


 慌てて設定を確認する。


 公開範囲。


 配信状態。


 何度見ても、結果は変わらない。


 ――公開。


「な、なんで!? 非公開にしたつもりだったのにぃぃぃ!!」


 しかも、スーパーチャットまで届いている。


『匿名さん:500円 エイムすごかったです! 次の配信も楽しみにしてます!』


「…………」


 五百円。


 私の配信に、お金を払ってくれた人がいる。


 しかも、次も楽しみにしている、と。


 ……待って。


 ということは、さっきの悲鳴も? 独り言も? あのドヤ顔も!?


「うわあああああああ!!」


 恥ずかしい! 無理! もう二度と配信できない!!


「ど、どうしよう!? どうすればいいの!?!?」


 とにかく配信を止めなきゃ!


 終了ボタンはどこ!?


 震える手でマウスを動かすけれど、まったく見つからない。


 そのとき、視界の端にパソコンの電源ケーブルが見えた。


「……あ」


 これを抜けば、パソコンが止まる。


 配信も止まる。


 そう考えた瞬間、私は勢いよく立ち上がった。


「ご、ごめんなさいぃぃぃ!!」


 **ぶちっ。**


 画面が真っ暗になった。


     * * *


『…………え?』


『画面消えたwww』


『クロちゃん!?』


『まさかの物理切断w』


 突然の暗転に、視聴者たちは困惑する。


 やがて配信は終了した。


 一方、その頃。


「…………やっちゃった」


 真っ暗なモニターの前で、私は立ち尽くしていた。


 パソコンは沈黙している。


 部屋も静まり返っている。


「……はぁぁぁ……」


 私はその場にへたり込んだ。


 もう二度と配信なんてできない。


 ……できない、はずだった。


 頭の中に、あのメッセージが浮かんでくる。


『エイムすごかったです! 次の配信も楽しみにしてます!』


 私の配信を、楽しんでくれた人がいた。


 ほんの数人かもしれない。それでも、誰かが見てくれて、面白いと思ってくれた。


「……また、やってみてもいいのかな」


 小さく呟き、私は顔を上げた。


 次は、ちゃんと設定を確認しよう。


 それから、絶対に電源ケーブルは抜かない。


「……うん!」


 こうして、陰キャでコミュ障な女子高生・小鳥遊詩乃の初配信は、最悪の形で幕を閉じた。


 ――けれど、猫野クロのVTuber生活は、確かに一歩前へ進んでいた。


お読みいただきありがとうございます! 今回も主人公を可愛く書けたと思います

では第三話で

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。