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# 第十九話 巨大洞窟の探索、魔物が多すぎませんか!?

今回は地の国の巨大洞窟を探索します!


洞窟に潜む魔物たちや、クロの悲鳴にも注目です。


ぜひ最後までお楽しみください!


 地の国、テラグランデ。


 街へ到着した私は、思わず辺りを見回した。


「……わぁ」


 石造りの建物が並ぶ街並み。


 道の両側には、鉱石を加工した装飾品や魔法道具を売る店が立ち並んでいる。


 建物の壁には、色とりどりの魔力結晶が埋め込まれていた。


 青、赤、緑、黄色。


 それぞれの結晶が淡く光り、街全体を幻想的に彩っている。


「すごい……! 建物に魔力結晶が使われてるんだ!」


 私は思わず画面に近づいた。


 水の国アクエリアも綺麗だったけど、こちらはまた違った雰囲気がある。


 石や鉱石を中心とした、落ち着いた街並み。


 でも、魔法によって色鮮やかに飾られている。


 こういうのもいいなぁ……!


『地の国に到着!』


『建物のデザインいいな』


『魔力結晶がいっぱいある』


『クロちゃん、街の観光はほどほどにw』


「だ、だって気になるじゃないですか!」


 私は街を見回しながら、目的地へと向かった。


 今回、私たちを案内してくれるのは、前回の道中で助けた貴族の男性だ。


 地の国でもかなり身分の高い人物らしく、街の人たちが彼に頭を下げている。


 ……うん。


 やっぱり、すごい人を助けちゃったんだな。


 私たちは彼の案内で、街の奥へと向かった。


 目的地は、街の外にある巨大な洞窟。


 地の国で起きている異変の中心地だ。


     ◇


 洞窟へ向かう途中、私は今回の事件について説明を受けていた。


 もともと洞窟は、鉱石を採掘するために使われていた場所。


 大きな自然洞窟の中に、細かな坑道がいくつも伸びている。


 しかし、ある日を境に、洞窟の奥で魔物が大量に発生するようになった。


 さらに、洞窟の最深部はダンジョン化しているという。


「……ダンジョン化?」


『ああ。洞窟の最深部に魔力が集中し、そこだけがダンジョンへと変化した』


 貴族の男性が説明を続けた。


 洞窟そのものがダンジョンになったわけではない。


 あくまで最深部だけが、ダンジョン化している。


 その周辺には、今も普通の洞窟や坑道が広がっているらしい。


「なるほど……」


 私は頷いた。


 つまり、洞窟の中を進んで、最深部のダンジョンまで行かなければならない。


 ……うん。


 大変そう。


 でも、気になる。


 どうして洞窟がダンジョン化したのだろう。


 そして、なぜ魔物が大量に発生しているのだろう。


 貴族の男性は、少しだけ表情を曇らせた。


『この洞窟には、地の国の国宝とも呼べる巨大な魔力結晶がある』


「国宝……?」


『ああ。国の魔力供給にも使われる、非常に重要なものだ』


 その魔力結晶を狙って、魔族が動いている可能性があるという。


 魔族は結晶を奪い、その力を利用しようとしている。


 洞窟の最深部にあるダンジョンも、その計画の一部なのかもしれない。


「……魔族が」


 私は画面を見つめた。


 水の国でも、魔族の影響があった。


 今回も、そうなのだろうか。


『現在、地の大精霊と契約している者たちが、精鋭部隊を率いて洞窟へ入っている』


「えっ、もう入っているんですか?」


『ああ。洞窟の内部に魔物が増え続けているうえ、最深部のダンジョンから魔物が外へ出てくることも確認されている』


 通常、ダンジョンの魔物は外へ出られない。


 ダンジョンの入口には、魔物が外へ逃げ出さないようにする結界があるからだ。


 しかし、今回の洞窟では、その結界が正常に働いていないらしい。


『空間魔法によって、結界の内側と外側が繋がれている可能性がある』


「空間魔法……?」


『ああ。空間を繋ぐことで、結界を迂回しているのだろう』


 ……それって。


 かなり厄介なのでは?


 私は思わず顔をしかめた。


 魔物を倒すだけでは、解決しない。


 ダンジョンの奥にあるダンジョンコアを破壊し、空間魔法を解除しなければならない。


 そして、そのためには最深部のボスを倒す必要がある。


「……なるほど」


 私は小さく頷いた。


 やることは分かった。


 でも、問題は。


「……洞窟の中、魔物だらけなんですよね?」


『そういうことになる』


「…………」


 私はそっとコントローラーを握り直した。


 ……頑張ろう。


 うん。


 頑張るしかない。


     ◇


 しばらく進むと、岩山の中に大きな洞窟の入口が見えてきた。


「……大きい」


 思わず呟いた。


 入口だけでも、かなりの大きさだ。


 中からは、冷たい風が吹いてくる。


 そして、遠くから聞こえる不気味な音。


 ……うん。


 なんか、嫌な予感がする。


『洞窟探索開始!』


『坑道っぽい場所もあるのかな』


『採掘場なら鉱石とか見つかりそう』


「……あっ、そうですね!」


 私は少しだけ元気を取り戻した。


 洞窟の中には、鉱石が採掘されていた場所もあるらしい。


 もしかしたら、珍しい鉱石が見つかるかもしれない。


 ……いや、今は魔物のほうが問題だけど!


 私は勇者を操作して、洞窟の中へと進んだ。


 ガルドとリリア、エルフィも後ろについてくる。


 洞窟の中は、想像していた以上に広かった。


 天井が高く、壁には鉱石が露出している。


 ところどころに小さな坑道が伸びていて、採掘用の道具が置かれていた。


 古い荷車。


 崩れた木箱。


 壁に残された採掘跡。


 かつてここで人々が働いていたことが分かる。


「……本当に、普通の洞窟なんだ」


 私は周囲を見回した。


 最深部だけがダンジョン化している。


 つまり、ここまでは普通の洞窟として探索できるということだ。


 ……まあ、魔物がいなければ、だけど。


 そのとき。


「……あっ!」


 私は足を止めた。


 洞窟の奥。


 岩の陰から、何かがこちらを見ている。


 次の瞬間。


 ガシャッ!


 岩の塊のような魔物が、ゆっくりと姿を現した。


 大きな腕。


 岩でできた身体。


 そして、胸の中央には小さな魔力結晶。


「……ゴーレム?」


 私は思わず呟いた。


 岩でできたゴーレム型の魔物。


 その身体は、まるで洞窟の岩をそのまま動かしているようだった。


『ゴーレム型の魔物だ!』


『硬そうだな』


『普通の攻撃じゃ効かなそう』


「……どうしましょう?」


 私は少し考えた。


 普通に攻撃しても、岩の身体に弾かれてしまうかもしれない。


 でも、岩でできているなら。


「……岩をぶつけたら、どうなるんでしょう?」


 私は周囲を見回した。


 洞窟の壁。


 床に転がる岩。


 そして、ゴーレムの身体。


 ……うん。


 試してみよう。


 私は地属性の魔法で、近くの岩を持ち上げた。


 そして――。


「えいっ!」


 ゴーレムへ向かって、岩を投げつけた。


 ゴォン!


 岩がゴーレムの身体にぶつかる。


 その瞬間。


 バキッ!


 ゴーレムの身体に亀裂が走った。


「……えっ?」


 さらに、ぶつかった岩も砕け散った。


 ゴーレムは大きくよろめき、そのまま地面へ崩れ落ちた。


『ゴーレム撃破!』


「……倒せた?」


 私は画面を見つめた。


 岩でできたゴーレムに、岩をぶつける。


 お互いに砕ける。


 なるほど。


 そういうことか!


「……これ、素材の問題なんですね!」


『岩には岩をぶつけるw』


『物理的に砕くのか』


『地の国らしい攻略法だな』


 私は少しだけ得意げになった。


 ……ふふん。


 ちゃんと考えれば、攻略できるんです!


 そのとき。


 ゴゴゴゴゴ……!


「……ん?」


 洞窟の奥から、低い音が響いた。


 何かが転がってくるような音。


 しかも、かなり大きい。


「……え?」


 私はカメラを動かした。


 すると。


 洞窟の奥。


 通路いっぱいの大きさの、巨大な岩が見えた。


 ……いや。


 あれ、岩じゃない。


 魔物だ。


 しかも、こっちに向かって転がってきている。


「…………」


 私は数秒、画面を見つめた。


 そして。


「えっ!? ちょっと待って!? なんか来てるんですけどぉぉぉ!!」


 巨大な岩型モンスターが、通路を塞ぐように転がってくる。


 逃げ道は、ほとんどない。


 私は慌てて周囲を見回した。


 横道。


 小さな坑道。


 あそこなら!


「み、みんな! 横の坑道に逃げてぇぇぇ!!」


 勇者を操作して、横道へ飛び込む。


 ガルドたちも、すぐに後を追ってきた。


 その直後。


 ゴォォォォォ!!


 巨大な岩型モンスターが通路を通過した。


 洞窟全体が揺れ、壁から小さな石が落ちてくる。


「ひゃああああっ!?」


 私は思わず叫んだ。


 ……危なかった。


 あと少し遅れていたら、直撃していたかもしれない。


『今のは危ないwww』


『通路を塞ぐタイプのギミックか』


『逃げないと大ダメージだな』


「……これ、倒せないんですか!?」


 私は横道から顔を出し、通路の奥を確認した。


 巨大な岩型モンスターは、遠くへ転がっていった。


 ……うん。


 今は追いかけない。


 絶対に追いかけない。


 怖いから!


     ◇


 その後も、洞窟の探索は続いた。


 小さな坑道を進み、鉱石を調べ、魔物を避けながら奥へ向かう。


 すると、今度は小さな岩型モンスターが現れた。


 ころころ。


 ころころ。


 小さな岩が、こちらに向かって転がってくる。


「……え?」


 私は足を止めた。


 岩が転がっている。


 ……いや、違う。


 岩型の魔物だ。


 しかも、一体ではない。


 ころころころころ。


 複数の小さな岩型モンスターが、こちらに向かって転がってきた。


「ちょっ!? 多い! 多いですって!」


 私は慌てて回避した。


 右へ。


 左へ。


 ジャンプ。


 また回避。


 小さな岩型モンスターは、地面を転がりながら何度もこちらへ突っ込んでくる。


「なんでこんなに転がってくるんですかぁぁぁ!!」


『かわいいけど数が多いw』


『地味に避けづらそう』


『小さいのに邪魔だなw』


 私は必死に避けながら、地属性の魔法で岩をぶつけた。


 バキッ!


 一体目が砕ける。


 続けて二体目。


 そして三体目。


「よしっ! 倒せた!」


 ……ふぅ。


 大型の岩型モンスターほどではないけど、こっちもなかなか厄介だ。


 狭い坑道では、逃げる場所が限られる。


 こういう魔物が大量にいると、探索だけでも大変そうだ。


 私は一度、深呼吸した。


「……よし。先へ進みましょう」


 そのとき。


 天井から、何かがぶら下がっているのが見えた。


「……ん?」


 私はカメラを上へ向けた。


 白い糸。


 そして、その糸の先に――。


「…………」


 大きな影。


 八本の脚。


 丸い胴体。


 ……蜘蛛。


 しかも、かなり大きい。


「…………」


 私は操作を止めた。


 画面を見つめる。


 もう一度、見つめる。


 ……うん。


 蜘蛛だ。


 巨大な蜘蛛だ。


「…………え?」


 私はゆっくりとコントローラーを置いた。


「……いや、待って?」


 画面の中の蜘蛛が、こちらを向いた。


 カサカサカサ……。


 脚が動く。


 天井から降りてくる。


 そして。


「いやああああああああああああ!!」


 私は盛大に叫んだ。


「無理無理無理!! あれは無理ですぅぅぅ!!」


 勇者が慌てて後退する。


 ガルドが大剣を構える。


 リリアが魔法を準備する。


 エルフィが杖を構え、離れた場所から援護しようとする。


 ……仲間たちは普通に戦闘態勢に入っている。


 でも。


「待ってください! ちょっと待って! 蜘蛛ですよ!? 蜘蛛!!」


『クロちゃん発狂www』


『巨大蜘蛛は無理だw』


『仲間は冷静なのに主人公だけ大騒ぎw』


「無理ですってばぁぁぁ!!」


 巨大蜘蛛が、こちらへ向かってきた。


 私は慌てて勇者を操作し、距離を取る。


 ……いや。


 距離を取ったつもりだった。


 蜘蛛は壁を這い、天井を移動し、あっという間にこちらの頭上へ回り込んだ。


「えっ!? 上!? 上にいるんですけどぉぉぉ!!」


 カサッ。


 蜘蛛の脚が、勇者のすぐ横に降りてくる。


「ひゃああああっ!!」


 私は反射的に回避した。


 その瞬間、蜘蛛が糸を吐き出した。


 勇者の足元に白い糸が絡みつく。


「えっ!? 動けない!? ちょっと待ってぇぇぇ!!」


 私は慌てて操作した。


 ガルドに切り替える。


 大剣を振る。


 糸が切れた。


「おおっ! ガルド、ありがとう!」


 ……助かった。


 でも、まだ蜘蛛はいる。


 しかも、こっちを見ている。


「……もう帰りたい……」


『まだダンジョンの奥じゃないぞw』


『クロちゃん、頑張れw』


『蜘蛛を倒せば先に進める!』


「うぅ……!」


 私は涙目になりながら、コントローラーを握り直した。


 ……よし。


 怖い。


 めちゃくちゃ怖い。


 でも、ここで逃げるわけにはいかない。


 最深部には、ダンジョンのボスがいる。


 空間魔法を維持する魔力結晶を破壊しなければ、地の国の問題は解決しない。


 そして、洞窟の奥には、地の精霊と契約者たちもいるはずだ。


 私は深呼吸した。


「……みんな、頑張りましょう!」


 勇者が剣を構える。


 ガルドが大剣を握り直す。


 リリアとエルフィが、それぞれ魔法を準備する。


 そして、巨大蜘蛛がこちらへ向かってくる。


「……いやあああああああ!!」


 洞窟の中に、私の悲鳴が響き渡った。


 ――地の国の探索は、まだ始まったばかりである。


地の国の洞窟、魔物が多くて大変そうですね……!


ゴーレムや岩型モンスターは、それぞれ違った攻略方法があるのが面白いところです。


そして、巨大蜘蛛に遭遇したクロは……(笑)


次回も、クロの冒険は続きます!


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