# 第十七話 水の国のボスが強すぎるんですが!?
今回は水の国のダンジョン攻略回!
ボス戦、そしてネレイアから正式な祝福を授かる場面にも注目です。
ぜひ最後までお楽しみください!
「……今度こそ、メインクエストを進めます!」
私はコントローラーを握り直した。
前回は、ダンジョンを探索するつもりが、採集クエストを受けて、討伐クエストを受けて、リリアの魔法研究を進めて、ガルドと筋トレまでしてしまった。
……いや、だって!
サブクエストも面白いんだもん!
でも、さすがにそろそろ本筋を進めないと。
水の国アクエリアのダンジョン。
その最奥には、汚染の原因がある。
そして、それを取り除けば、ネレイアから正式な祝福を授かることができる。
「よし! 頑張るぞー!」
私はワープポイントを選択した。
画面が切り替わり、古代遺跡の第二層へ。
勇者、ガルド、リリア、エルフィ。
四人の仲間が揃っている。
……うん。
今回はちゃんとエルフィもいる。
「準備よし!」
『今度こそ進むんだなw』
『寄り道禁止だぞw』
『ネレイアさん待ってるぞー』
「寄り道しません! 今日はしませんから!」
私は勇者を操作して、通路の奥へ進んだ。
◇
第二層の奥には、さらに下へ続く階段があった。
その先には、第三層。
壁には青白い鉱石が埋め込まれ、床には水が薄く広がっている。
ただし、その水は澄んでいなかった。
黒い霧が漂い、時折、紫色の泡が浮かび上がる。
「……うぅ。やっぱり、汚染がひどい」
ネレイアが小さく光った。
『この先に、汚染の中心があります』
「……もうすぐ、なんですね」
『はい。ですが、気をつけてください。中心部には、古代の守護機構が残されているはずです』
「守護機構……?」
私は画面を見つめた。
つまり、ボスがいるということだろうか。
……うん。
絶対いるよね。
こういうダンジョンの最奥には、だいたい強い敵がいる。
「……よし。気を引き締めていきましょう!」
『おおー!』
『ボス戦の予感!』
『クロちゃん、頑張れ!』
私は四人を操作しながら、第三層の奥へ進んでいった。
◇
第三層の通路を抜けると、巨大な空間が広がっていた。
「……わぁ」
思わず声が漏れた。
天井は見えないほど高い。
壁には巨大な柱が並び、その中央には円形の水盤がある。
そして、その奥。
巨大な石像が立っていた。
人型。
両手を胸の前で組み、頭には王冠のような装飾がある。
その身体には、青い結晶が埋め込まれていた。
まるで、古代の王のような姿。
「……えっ、何あれ?」
私はカメラを動かした。
像の高さは、建物の二階くらいある。
腕も脚も太く、全身が青白い石でできている。
そして、足元には大量の水が流れていた。
「……巨大な像?」
ネレイアが静かに答えた。
『あれは、古代文明が作り上げた水の守護機構です』
「守護機構……!」
『かつて、この施設を守るために作られたもの。ですが、今は汚染された魔力に侵されています』
像の胸元にある結晶が、黒く濁っていた。
その周囲には、紫色の霧が渦巻いている。
「……あれが、汚染の原因?」
『正確には、汚染の中心を守っている存在です。あの守護機構を停止させなければ、中心部へ進むことはできません』
「なるほど……!」
私はコントローラーを握り直した。
ボス戦。
ついにボス戦だ。
「……よし!」
勇者を前へ進める。
その瞬間。
ゴゴゴゴゴ……!
巨大な像が、ゆっくりと動き始めた。
「…………え?」
組まれていた両腕がほどける。
石の身体が軋み、胸元の結晶が強く光った。
そして。
像の頭上に、巨大な体力ゲージが表示された。
『古代水神像』
「……ええええっ!?」
ボスだ!
本当にボスだった!
『来たぁぁぁ!』
『でっかwww』
『水属性のボス!』
『クロちゃん、頑張れー!』
「が、頑張りますぅ!」
私は勇者を構えた。
その瞬間、巨大な像が腕を振り上げた。
バシャァァァン!
床に広がっていた水が、一気に盛り上がる。
「ひゃああっ!?」
水の波が、こちらへ押し寄せてきた。
私は慌てて回避ボタンを押した。
勇者が横へ飛び、波をぎりぎりで避ける。
「危なぁぁぁっ!」
水の波は壁にぶつかり、砕け散った。
……いや、今の攻撃、範囲広すぎない!?
像が再び腕を振るう。
今度は、足元から水の柱が噴き上がった。
「えっ、下から!?」
私はカメラを回し、攻撃の位置を確認する。
水の柱が次々と出現する。
避ける。
走る。
回避する。
そして、また水の柱。
「ちょ、ちょっと待って! 攻撃多くないですか!?」
『ボスだからなw』
『水柱の位置を見て避けるんだ!』
『ガルドに切り替えて攻撃!』
「そ、そうでした!」
私はガルドに切り替えた。
大剣を構え、像の足元へ突っ込む。
攻撃。
攻撃。
重たい斬撃が、像の脚に命中した。
しかし。
ガキィィン!
金属のような音が響く。
「……えっ?」
像の体力は、ほとんど減っていなかった。
「か、硬い!?」
その直後、像が足を持ち上げた。
「えっ、ちょっ……!」
ドォォォン!
地面が揺れ、衝撃波が広がる。
ガルドが吹き飛ばされた。
「ぎゃああああっ!?」
体力ゲージが大きく減る。
私は慌てて回復アイテムを使った。
「ガルドさん! 大丈夫ですか!?」
『問題ない。だが、正面から攻撃するのは厳しそうだな』
「ですよね……!」
像の胸元。
そこには、黒く濁った結晶が埋め込まれている。
……あれが弱点?
私はカメラを動かした。
すると、像の背中にも青い結晶があることに気づいた。
「……あっ!」
もしかして。
正面から攻撃するのではなく、背後に回る必要があるのかもしれない。
「みんな! 背後を狙いましょう!」
勇者を操作し、像の横へ回り込む。
水の波を避けながら、背後へ。
そして。
斬撃。
今度は、像の背中にある結晶へ攻撃が命中した。
パキッ。
小さな音が響いた。
「……えっ?」
像の体力が、少しだけ減った。
「やっぱり! そこが弱点なんだ!」
『ナイス!』
『背中の結晶を狙え!』
『ガルドの大剣で叩き割ろう!』
私はガルドに切り替えた。
大剣を構える。
そして、背中の結晶へ向かって攻撃を叩き込んだ。
ガキィィン!
結晶に亀裂が入る。
「よしっ!」
しかし、像が大きく振り返った。
両腕を広げる。
その瞬間、周囲の水が一斉に持ち上がった。
「……え?」
水が、空中に浮かんでいる。
そして、無数の水の槍へと変化した。
「えっ、待って!? 多すぎません!?」
水の槍が、こちらへ降り注ぐ。
私は必死に回避した。
走る。
ジャンプ。
回避。
それでも、何本かが主人公に当たった。
「ひゃあああっ!?」
体力が減る。
リリアも攻撃を受けていた。
「リリアちゃん!?」
私は慌てて回復アイテムを使った。
しかし、像は攻撃を止めない。
水の槍。
水の波。
水柱。
攻撃の種類が多すぎる。
「……これ、どうやって倒すの!?」
そのとき。
ネレイアが光った。
『勇者よ。私の力を使ってください』
「……ネレイアさん?」
『仮契約の力は、まだ完全ではありません。ですが、今ならあなたを助けることができます』
画面の端に、新しい操作ガイドが表示された。
『水の加護:一時的な防御』
「……えっ!?」
私は説明を読んだ。
どうやら、ネレイアの仮契約によって、水属性の防御魔法を一時的に使えるらしい。
「……これなら!」
私はボタンを押した。
勇者の周囲に、青い水の膜が広がる。
そして、降り注ぐ水の槍を受け止めた。
バシャァァン!
水の槍が砕け、光の粒になって消えていく。
「……すごい!」
私は思わず声を上げた。
これなら、攻撃を防ぎながら接近できる。
私は勇者を操作し、像の背後へ回り込んだ。
そして、光の剣を構える。
「……いっけぇぇぇ!!」
斬撃。
結晶に亀裂が入る。
続けて、ガルドの大剣。
リリアの魔法。
エルフィの魔法。
四人の攻撃が、背中の結晶へ集中した。
パキィィン!
結晶が砕けた。
その瞬間。
巨大な像が、動きを止めた。
「……え?」
胸元の黒い結晶が、激しく光る。
像の身体に、ひびが広がっていく。
ゴゴゴゴゴ……!
そして。
巨大な像が、ゆっくりと膝をついた。
ドォォォン!
地面が揺れた。
体力ゲージがゼロになる。
『古代水神像を撃破しました』
「……勝った?」
私は画面を見つめた。
像は、動かない。
胸元の黒い結晶が、ゆっくりと崩れていく。
「……勝ったぁぁぁぁ!!」
思わず叫んでしまった。
『おめでとう!』
『ボス撃破!』
『連携よかったぞ!』
『ネレイアの防御が鍵だったね!』
「み、みんな、ありがとう……!」
私は椅子の背もたれに倒れ込んだ。
疲れた。
でも。
すごく楽しかった。
◇
像が倒れたあと、奥の壁がゆっくりと開いた。
その向こうには、小さな部屋があった。
中央には、水晶のような結晶。
そして、その周囲には黒い霧が漂っていた。
「……あれが、汚染の原因?」
ネレイアが静かに頷いた。
『はい。あれは、汚染された魔力結晶です』
「……これを壊せば、いいんですか?」
『ええ。ただし、慎重に。結晶に触れる前に、私の力を使います』
ネレイアが光った。
水の流れが、部屋全体を包み込む。
黒い霧が、少しずつ薄れていく。
そして。
パァァァ……!
結晶が砕けた。
その瞬間、ダンジョン全体に青い光が広がった。
黒く濁っていた水が、澄んだ水へと変わっていく。
壁の水路を流れる水。
床に広がっていた水。
すべてが、透明な青へと戻っていった。
「……すごい」
私は画面を見つめた。
ダンジョンの中が、こんなにきれいになるなんて。
ネレイアが、勇者の前へ浮かび上がった。
『あなたたちのおかげで、この地の水は再び清らかさを取り戻しました』
「……やったぁ!」
私は思わず笑った。
そして、画面に新しい表示が出る。
『水の国アクエリアの問題を解決しました』
『メインクエスト達成』
『水の大精霊ネレイアから祝福を授かりました』
「……えっ!?」
私は画面を見つめた。
「祝福……!」
ネレイアが、優しく微笑む。
『これが、正式な祝福です。あなたに水の力を授けましょう』
青い光が、勇者の身体を包み込む。
水の属性が解放された。
そして、属性切り替えメニューに、新しい項目が追加された。
『光+水』
「……おおおっ!」
私は思わず声を上げた。
これで、光と水を組み合わせた新しい戦い方ができる。
水の魔法。
水流。
そして、ネレイアの力。
「……やったぁぁぁ!」
私はコントローラーを握りしめた。
水の国の問題を解決した。
正式な祝福を授かった。
新しい属性が使えるようになった。
そして、まだまだこの世界には、知らない国や大精霊がいる。
「……このゲーム、やっぱりすごい!」
私は画面の中の勇者を見つめた。
その隣には、ガルド、リリア、エルフィ。
そして、小さく光るネレイア。
みんなで力を合わせて、ひとつの問題を解決した。
……うん。
こういう冒険、いいなぁ。
私は満足げに頷いた。
――ただし。
水の国のメインクエストは終わったけれど、まだ街には受けていないサブクエストが残っている。
そして、フィールドにも解放していないワープポイントがある。
「……あっ!」
私は地図を開いた。
「まだ探索してないところ、あるじゃん!」
『また寄り道www』
『メインクエスト終わったからいいんじゃない?』
『クロちゃん、探索の時間だ!』
「そうですよね!」
私は笑った。
水の国の冒険は、まだ終わらない。
――次は、どんな発見が待っているのだろう。
ついに水の国のダンジョンを攻略!
ネレイアとの仮契約から正式な祝福へ、クロたちの冒険も少しずつ進んでいます。
次はどんな国へ向かうのか、どんな仲間や発見が待っているのか……。
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