# 第十六話 ダンジョン探索と寄り道って終わらないんですが!?
今回はダンジョン探索と寄り道回!
サブクエストをこなしながら、仲間たちとの交流や成長も描いていきます。
ぜひ最後までお楽しみください!
水の国アクエリア。
私はダンジョンの入口で、コントローラーを握り直していた。
「……よし! 今日こそ、奥まで進みます!」
前回、ネレイアと仮契約を結んだことで、ダンジョン内部に張られていた水の結界を通れるようになった。
ただし、これは正式な祝福ではない。
ダンジョンの最奥にある汚染の原因を取り除けば、正式な祝福を授けてくれるらしい。
「つまり、まだ水属性の力は完全に使えないんですよね……」
画面の端には、ネレイアの小さな姿が浮かんでいた。
『その通りです。あなたがこの地の問題を解決したとき、改めて祝福を授けましょう』
「は、はい! 頑張ります!」
私は勇者を操作して、ダンジョンへと足を踏み入れた。
その後ろには、ガルドとフィリア。
……あれ?
「エルフィちゃんは?」
パーティー画面を開く。
現在のメンバーは、勇者、ガルド、フィリア。
エルフィの姿がない。
「……あっ、そうだった!」
私は慌ててメニューを開いた
せっかく仲間になったのに、編成していなかった。
パーティー編成画面を開き、エルフィを選択する。
フードをかぶった少女が、勇者の隣に表示された。
「よし! これで全員!」
勇者、ガルド、フィリア、エルフィ。
四人のパーティーが完成した。
『エルフィちゃん復帰!』
『これでフルメンバーだね』
『ダンジョン攻略頑張れー!』
「はい! 今度こそ行きます!」
私は再びダンジョンへ向かった。
◇
ダンジョンの第一層。
前回解放したワープポイントから再開すると、すぐに次の階層へ続く通路が見つかった。
道中には、青白い結晶が埋め込まれた壁や、水が流れる細い水路がある。
その水路には、黒い霧がわずかに漂っていた。
「……やっぱり、汚染されてるんだ」
ネレイアが静かに頷く。
『この水は、本来ならばもっと澄んでいるはずです。汚染の影響が広がっているのでしょう』
「早く元に戻したいですね……」
私は勇者を操作して、先へ進んだ。
途中、魔物が現れる。
「うわっ! 敵です!」
勇者で攻撃。
ガルドに切り替えて大剣を振るう。
フィリアの魔法で援護。
エルフィは後方から魔法を放っていた。
四人で協力して戦う。
……うん。
だいぶ慣れてきたかもしれない。
「よしっ! 勝った!」
『連携できてる!』
『前より操作がスムーズだね』
『エルフィちゃんの魔法もいい感じ』
「えへへ……!」
少しだけ得意げになった。
そのまま探索を進め、第二層のワープポイントを解放する。
『ワープポイントを解放しました』
「おおっ! これで、いつでもここまで来られるんですね!」
私は地図を確認した。
第一層と第二層。
それぞれのワープポイントが登録されている。
これなら、途中で街へ戻っても、また同じ場所から探索を再開できる。
「便利だなぁ……!」
……ただ。
今の私は、回復薬が少なくなっていた。
「うーん……一回、街に戻ろうかな」
私はワープポイントを使って、水の国へ戻ることにした。
◇
街へ戻った私は、まず道具屋へ向かった。
「回復薬を補充しないと……」
店の棚には、さまざまな薬や素材が並んでいる。
回復薬。
魔力回復薬。
状態異常を治す薬。
水属性の魔力を帯びた素材。
「……えっ、これもあるんだ!」
私は思わず商品を確認した。
すると、店主から声をかけられた。
『おや、冒険者さん。ちょうど頼みたいことがあるんだ』
「……え?」
画面にクエストの表示が出る。
『採集依頼:水辺の薬草を集めてほしい』
「採集クエスト!」
私は目を輝かせた。
報酬には、経験値とゲーム内通貨、それから魔力回復薬が表示されている。
「えっ、これ報酬いいじゃん……!」
『受ける?』
『寄り道の予感w』
『クロちゃん、メインクエストは?』
「……受けます!」
私は迷わずクエストを受注した。
だって、薬草を集めるだけで報酬がもらえるんだよ?
しかも、今から行くフィールドにも採集ポイントがあるらしい。
「ついでに集められそうですし!」
『ついで、ねぇw』
「ついでです!」
私は道具屋を出て、冒険者ギルドにも立ち寄った。
掲示板には、討伐依頼がいくつも貼られている。
水辺の魔物の討伐。
素材の納品。
街道の護衛。
そして、少し気になる依頼があった。
『水辺の魔物を討伐せよ』
「……これも、報酬いいなぁ」
私は依頼書を見つめた。
採集クエストの目的地と、討伐クエストの目的地は、どちらも街の外にある。
つまり。
「……一緒にできる!」
『あっ』
『また寄り道が増えたw』
『メインクエストが遠ざかるw』
「違います! 効率的な探索です!」
私は堂々と宣言した。
……たぶん。
◇
街の外。
水辺のフィールドには、澄んだ川と小さな滝が広がっていた。
川の周囲には、青い花を咲かせた薬草が生えている。
「あっ、これかな?」
主人公を近づけて採集する。
『水辺の薬草を獲得しました』
「よしっ! あと九個!」
私は次の採集ポイントを探した。
その途中で、宝箱を発見する。
「……あっ!」
宝箱。
開ける。
中には、魔力結晶と素材が入っていた。
「おおっ! これは嬉しい!」
さらに進むと、別の宝箱。
その近くには、ワープポイントがあった。
「えっ、ここにもワープポイントがあるんだ!」
私はすぐに解放した。
『ワープポイントを解放しました』
「よし! これでまた探索しやすくなった!」
……あれ?
私、何をしに来たんだっけ?
薬草採集。
そう。
薬草採集だった。
「……あっ! 薬草!」
私は慌てて周囲を見回した。
残りの薬草を探して採集する。
ようやく十個集まった。
「やったぁ! 採集クエスト達成!」
その直後。
近くの水辺から、魔物が飛び出してきた。
「ひゃああっ!? びっくりしたぁ!」
討伐クエストの対象だ。
私は勇者を操作して、魔物に攻撃を仕掛けた。
ガルドの大剣。
フィリアの魔法。
エルフィの援護。
四人で協力して、魔物を倒す。
『討伐クエスト達成』
「……えっ?」
画面に表示された文字を見て、私は固まった。
「えっ、両方達成できた!?」
『効率的な探索w』
『結果的に一石二鳥』
『寄り道がちゃんと成果になってる』
「ふふん! どうですか!」
私は少しだけ胸を張った。
これなら、メインクエストを進めながらサブクエストもこなせる。
……いや、メインクエストはまだ進んでいないけど!
◇
街へ戻り、クエスト報酬を受け取った。
経験値。
ゲーム内通貨。
魔力回復薬。
そして、採集した薬草の一部は、道具屋で買い取ってもらえた。
「……うわぁ、結構報酬もらえた!」
私はアイテム欄を確認した。
回復薬も補充できた。
これでダンジョン攻略に戻れる。
……戻れる、はずだった。
『クロちゃん、そういえばリリアの研究クエストは?』
「……え?」
コメントを見て、私は思い出した。
そうだった。
仲間のサブクエストもあるんだった。
フィリアは魔法の研究をしている。
研究に必要な薬剤や素材を集めると、魔法の特訓イベントが発生するらしい。
「……えっ、そんなのあるんですか!?」
私はメニューを開いた。
フィリアの専用クエスト。
『魔法研究:必要な素材を集める』
必要素材は、先ほど採集した薬草と、特定の魔物から手に入る魔力素材。
「……あっ、さっきの討伐で素材も手に入ってる!」
私は確認した。
必要素材が揃っている。
「えっ、これ、今すぐできるじゃん!」
『また寄り道w』
『でも仲間クエストは大事』
『フィリアの魔力が上がるならやるしかない』
「もちろんです!」
私はフィリアに話しかけた。
『あら、必要な素材を集めてくれたの? ありがとう!』
画面が切り替わる。
フィリアが研究用の道具を取り出し、薬剤を調合し始めた。
そして――。
『よし、完成! これで新しい魔法の研究が進められるわ』
クエスト達成。
報酬として、フィリアの魔力が上昇した。
さらに、主人公も魔力制御の特訓に参加することになった。
フィリアの説明に従って、魔力を一定の形に保つ練習をする。
「えっと……こうですか?」
主人公の手のひらに、小さな光が浮かぶ。
揺れる。
消えそうになる。
でも、少しずつ安定していった。
『魔力制御の特訓に成功しました』
主人公の魔力も上昇。
「……えええっ!?」
私は思わず画面を見つめた。
「フィリアのクエストで、私まで強くなった!?」
『仲間の専用クエスト、こういう報酬もあるんだね』
『ステータス上がるの嬉しい』
『フィリア先生!』
「すごい……!」
私はフィリアのステータスを確認した。
魔力が上がっている。
主人公の魔力も上がっている。
これなら、今後の戦闘でも役に立ちそうだ。
「……このゲーム、サブクエストも奥深いなぁ」
私はしみじみと呟いた。
◇
そして、今度こそダンジョンへ戻ろうとしたとき。
「……あっ」
ガルドが、訓練場の前で立ち止まった。
『おい、クロ。少し身体を動かしていかないか?』
「……え?」
画面には、ガルドの専用クエストが表示されていた。
『鍛錬:基礎体力を鍛えよう』
「……えっ、筋トレ?」
私は思わず笑った。
「ガルドさん、筋トレするんですか!?」
『当たり前だ。強くなるには鍛えるしかないだろう』
『筋トレw』
『ガルド先生の特訓きたw』
『主人公も参加するやつかな?』
クエストを受けると、ガルドと主人公が訓練場へ移動した。
走り込み。
武器を使った反復訓練。
そして、訓練用の魔物との模擬戦。
「……はぁ、はぁ……!」
ゲームの中の主人公が息を切らしている。
ガルドは涼しい顔で大剣を振っていた。
『まだまだだな。もう一回だ』
「ええっ!? まだやるんですか!?」
『これくらいでへばっていたら、ダンジョンで生き残れないぞ』
「うぅ……!」
私は必死に操作した。
訓練を終えると、クエスト達成の表示が出る。
主人公とガルドの攻撃力、体力が上昇。
さらに最大HPも増えた。
「……えっ! 私も強くなってる!」
『ガルドの特訓、効果すごいw』
『これからも定期的にやりたいな』
『主人公、体力ついてきた!』
「うわぁ……! やってよかった!」
私はステータス画面を何度も確認した。
ただ戦うだけではなく、仲間との交流や特訓でも成長できる。
こういうシステム、すごく好きだ。
……でも。
「…………」
私は時計を確認した。
ゲーム内では、まだダンジョンの第二層にいる。
そして、今日はもうかなりの時間が経っていた。
「……あれ?」
私は地図を開いた。
メインクエストの目的地。
水の国のダンジョン最奥。
まだ、全然進んでいない。
「……ええっ!?」
『メインクエストwww』
『寄り道しすぎw』
『今日の目的、ダンジョン攻略だったよね?』
「そ、そうです! そうでした!」
私は慌ててコントローラーを握り直した。
「……よし! 今度こそ、ダンジョンに戻ります!」
コメント欄が笑いで埋まる。
『次回こそ進むのかw』
『寄り道の誘惑に勝てるかな?』
『ネレイアさん、待ってますよー』
「ま、待たせてごめんなさい……!」
私はワープポイントを選択した。
画面が切り替わる。
再び、古代遺跡の第二層。
勇者、ガルド、フィリア、エルフィ。
四人の仲間が揃っている。
そして、ダンジョンの奥には、まだ汚染の原因が残されている。
「……よし」
私は深呼吸した。
「今度こそ、メインクエストを進めます!」
『本当に?w』
『信じていいの?w』
「信じてくださいぃ!」
私は勇者を操作して、通路の奥へ進んだ。
――なお。
この先にも、宝箱と採集ポイントがあることに気づくのは、ほんの数分後のことである。
「……あっ! 宝箱!」
『また寄り道www』
「ち、違います! これは探索です!」
水の国の冒険は、まだまだ終わりそうにななかった。
ダンジョン探索だけでなく、街やフィールドのサブクエストも楽しめるのがECの魅力ですね!
フィリアの魔法研究やガルドの鍛錬など、仲間との交流を通じて主人公も成長していきます。
……それにしても、クロはいつになったらメインクエストを進めるのでしょうかw
次回も、クロの冒険を楽しんでいただけたら嬉しいです!
面白かった、続きが気になると思っていただけたら、感想やブックマークで応援していただけると嬉しいです!




