# 第十五話 フィールドに宝箱あるんですか!?
今回は水の国アクエリアで情報収集!
美しい水路の街を楽しみながら、クロたちは水中遺跡の異変について知ることに。
フィールド探索で宝箱を見つけたり、ワープポイントを解放したり……寄り道も冒険の醍醐味ですよね!
水の国アクエリア。
街の入口で見た美しい水路を、私はしばらく眺めていた。
「……すごいなぁ」
透明な水が流れる水路。
その上に架けられた橋。
水面に反射する青い街並み。
どこを見ても、まるで絵画のようだった。
……ただし。
少し離れた水路では、黒い泥が浮かんでいた。
水の色も、ほかの場所と比べて濁っている。
さっきの入国ムービーで見た異変。
やっぱり、この国では何かが起きているらしい。
「うーん……気になりますね」
私はコントローラーを握り直した。
でも、まずは情報収集。
水中遺跡に魔族や魔物がいるらしいし、何も知らずに突っ込むのは危険だ。
「よし! 冒険者ギルドに行きましょう!」
『お、今回はちゃんとメインクエスト進めるんだなw』
『寄り道はほどほどにねw』
「そ、そんなに寄り道しませんよ!」
……たぶん。
◇
地図を開く。
冒険者ギルドは、街の中心部から少し離れた場所にあった。
水路沿いの道を進み、大きな橋を渡る。
その先に、青い屋根の建物が見えてきた。
「ここかな?」
建物の入口には、剣と盾の紋章。
アクエリアの冒険者ギルドだ。
私は主人公を操作して、扉を開いた。
中には、冒険者らしき人たちが何人もいた。
カウンターで受付嬢と話している人。
掲示板の依頼書を眺めている人。
テーブルで地図を広げている人。
その中には、水辺で使うような装備を身につけた冒険者もいる。
「……おおっ」
私は思わず声を漏らした。
国が変われば、ギルドの雰囲気も変わるんだ。
イルミナスのギルドとは、装飾も人々の服装も違う。
こういうところも、ちゃんと作り込まれているのがすごい。
『街ごとに雰囲気違うのいいな』
『水の国っぽい装備してる人いるね』
『クロちゃん、情報収集を忘れずにw』
「わ、分かってます!」
私は受付カウンターへ向かった。
そこには、青い髪を後ろでまとめた女性が座っていた。
頭上には、名前が表示されている。
――フィーネ。
水の国の冒険者ギルド受付嬢らしい。
私は少しだけ緊張しながら、話しかけるボタンを押した。
『こんにちは。冒険者ギルドへようこそ。何かご用でしょうか?』
「えっと……この国で起きている異変について、聞きたいんですけど……」
マイクに向かって話す。
すると、フィーネは少し表情を曇らせた。
『水中遺跡のことですね』
「……はい!」
『現在、アクエリア各地の水路や湖で、原因不明の汚染が発生しています。特に深刻なのが、街の外にある古代水中遺跡です』
画面に、遺跡の地図が表示された。
水底に沈んだ巨大な建造物。
その周辺には、魔物の反応を示す赤い印がいくつも表示されている。
「えっ……こんなにいるんですか?」
『はい。遺跡内部には魔族や魔物が入り込んでおり、汚染の原因を調査することも難しくなっています』
魔族。
魔物。
そして、汚染。
どうやら、ただ水が濁っているだけではないらしい。
『遺跡の周辺では、魔力を帯びた水が流れ出しているとの報告もあります。通常の装備では、水中に長時間滞在することはできません』
「……長時間?」
『汚染された水に触れると、体力が徐々に減少します。対策なしに潜るのは危険です』
「ええっ!?」
私は思わず声を上げた。
水の中に入るだけでダメージ!?
それは困る。
でも。
水中遺跡。
古代文明。
魔族や魔物。
そして、謎の汚染。
「……気になります!」
『……はい?』
「その遺跡、見に行ってみたいです!」
受付嬢は、少し困ったように微笑んだ。
『調査に向かう冒険者はいますが、まだ原因は分かっていません。どうか、無理はなさらないでくださいね』
「は、はい……!」
……よし。
情報は手に入った。
水中遺跡には魔族や魔物がいて、汚染の原因を作っているらしい。
でも、水の中に入るとダメージを受ける。
つまり、対策が必要。
「……どうしようかな」
私は画面を見つめた。
そのとき。
ギルドの掲示板に、いくつかの依頼書が貼られているのが目に入った。
水路の清掃。
汚染された水辺の調査。
魔物の討伐。
そして――。
「……あっ!」
私は一枚の依頼書に目を留めた。
『水中遺跡周辺の調査補助』
報酬の欄には、素材と薬品が記載されている。
「えっ、これ、受けられるんですか?」
私は依頼書を選択した。
どうやら、遺跡の周辺を調査して、見つけた素材をギルドに持ち帰る依頼らしい。
「……よし!」
私は依頼を受けた。
これなら、遺跡に近づく理由もできる。
もちろん、危険な場所には無理に入らない。
まずは周辺を調べるだけだ。
「みんな、行きましょう!」
『寄り道の準備が整ったw』
『いや、依頼だからメイン進行だろw』
「そうです! ちゃんと依頼です!」
◇
街を出て、フィールドへ。
アクエリアの外には、広大な湖と草原が広がっていた。
水辺には小さな花が咲き、遠くには滝が見える。
風に揺れる草。
湖面に映る空。
……本当にきれいだ。
「この景色、ずっと見ていられそう……」
私は主人公をゆっくり歩かせた。
すると、画面の隅に小さな光が見えた。
「……ん?」
近づいてみる。
そこには、草むらの中に置かれた宝箱があった。
「……宝箱!?」
私は思わず声を上げた。
フィールドにも宝箱があるんだ!
しかも、ダンジョンの中だけじゃない。
街の外にも、こうして探索できる場所がある。
「開けます! もちろん開けます!」
宝箱を調べる。
カチャリ。
蓋が開き、中からアイテムが表示された。
『水草の繊維を獲得しました』
『回復薬を獲得しました』
「おおっ! 回復薬!」
それから、水草の繊維。
説明を見ると、薬品や装備の素材として使えるらしい。
「……こういう素材、後で必要になりそうですね」
『素材集めは大事』
『フィールド探索の報酬いいな』
『宝箱見つけると嬉しいよね』
「ですよね!」
私はアイテム欄を確認した。
回復薬は、今のところ十分。
素材も手に入った。
……うん。
これなら、もう少し探索してもいいかもしれない。
「えっと、あっちにも道がある……」
私は地図を確認した。
水中遺跡へ向かう道は、もう少し先。
その途中には、まだ解放していないワープポイントもある。
「……よし!」
私はそちらへ向かった。
ワープポイントの近くまで行くと、青白い光が地面から立ち上っていた。
調べる。
『ワープポイントを解放しました』
「やったぁ!」
これで、後からここへ戻ることもできる。
便利だ。
すごく便利。
「……あっ、そうだ!」
私は地図を見つめた。
近くに、もう一つワープポイントがある。
せっかくなら、そっちも解放しておこう。
そうすれば、もっと探索しやすくなるはずだ。
『あれ?』
『水中遺跡は?w』
『ワープポイント解放が始まったぞw』
「ち、違います! ちゃんと遺跡に向かってますから!」
……向かっている。
たぶん。
◇
さらに進むと、湖の向こうに大きな建造物が見えてきた。
水中遺跡。
湖の底へ続く、古代文明の施設だ。
入口らしき場所には、石造りの門が立っている。
その周辺の水は、ほかの場所よりも明らかに濁っていた。
黒い泥が浮かび、紫色の光が水面に揺れている。
「……ここが、遺跡」
私は操作を止めた。
画面の中では、勇者たちが水辺を見つめている。
ガルドが大剣を握り直した。
『……妙な気配がするな』
フィリアも水面を見つめる。
『魔力が乱れているわ。かなり強い汚染ね』
「……やっぱり、ここが原因なんでしょうか」
私は遺跡の入口へ近づいた。
水の中へ入る。
その瞬間。
『警告:汚染水によるダメージを受けています』
「えっ!?」
体力ゲージが少しずつ減っていく。
「ちょ、ちょっと待って! ダメージ受けてる!?」
慌てて水から上がる。
体力が減り続ける表示は、ようやく止まった。
「……危なかったぁ」
これでは、遺跡の中を探索するどころではない。
水の中にいるだけで体力が減るのなら、戦闘なんてできない。
回復薬を使いながら進むのも、さすがに無理がある。
「うーん……どうしよう」
私は水面を見つめた。
遺跡の入口は、すぐそこ。
でも、入れない。
何か方法があるはずなのに。
そのときだった。
――パァァァ……。
水面が淡く光り始めた。
「……え?」
湖の中央から、青い光が集まってくる。
光はゆっくりと形を変え、小さな人影のようなものを作り出した。
そして、その隣に一人の人物が現れた。
白と青を基調とした衣装。
水のように揺れる髪。
手には、淡く輝く杖。
その人物は、クロたちを見つめていた。
『……あなたたちが、遺跡の調査に来た冒険者ですね』
「……えっ?」
私は思わず声を漏らした。
その隣で、青い光がゆっくりと形を変える。
水の精霊。
そして、その契約者。
彼女たちは、私たちが遺跡に入れず困っていることに気づいたようだった。
『私は水の精霊、ネレイア』
青い光の人影が、静かに名乗った。
『そして、こちらは私と契約を結んでいる魔法使い、セレフィナです』
ネレイアに紹介された女性――セレフィナは、軽く頭を下げた。
『初めまして。セレフィナと申します』
「ネ、ネレイアさんに、セレフィナさん……?」
私は二人の名前を確認するように呟いた。
水の精霊と、その契約者。
まさか、こんなところで出会えるなんて!
ネレイアは、汚染された水面へ視線を向けた。
『この水の中では、普通の人間は長く活動できません。汚染の影響で、触れるだけでも体力を奪われてしまいます』
セレフィナも頷いた。
『対策をせずに遺跡へ入るのは危険です。ですが……』
セレフィナが杖を掲げる。
その先端に、淡い青色の光が灯った。
『私たちが力を貸せば、あなたたちも遺跡の中で活動できるはずです』
ネレイアが、ゆっくりと手を伸ばした。
すると、湖の水が小さく波打つ。
青い光がクロたちの足元へ広がり、身体を包み込むように上昇していった。
「……わぁ!」
画面の中の勇者たちを、透明な水の膜が覆っていく。
それはまるで、水でできた薄い鎧のようだった。
『水のシールドです。これがあれば、汚染された水から身を守ることができます』
セレフィナが説明する。
『ただし、シールドにも限界があります。無理をせず、危険を感じたらすぐに戻ってきてください』
「……本当ですか!?」
私は思わず身を乗り出した。
水中遺跡へ入る方法が、見つかった。
これなら。
これなら、探索できるかもしれない。
画面の中の勇者が、仲間たちと顔を見合わせる。
ガルドが大剣を握り直した。
『……ようやく、先へ進めそうだな』
フィリアも頷く。
『でも、油断は禁物よ。遺跡の中には魔族もいるんでしょう?』
セレフィナは真剣な表情で答えた。
『はい。遺跡の内部には、魔族や魔物が入り込んでいます。汚染の原因も、まだ分かっていません』
ネレイアがクロたちを見つめる。
『どうか、遺跡の奥にある原因を突き止めてください。アクエリアの水を、再び清らかなものにするために』
「……はい!」
私はコントローラーを握り直した。
水の精霊ネレイアと、契約者セレフィナ。
二人の力を借りて、いよいよ水中遺跡へ。
その奥には、汚染の原因が待っている。
そして、まだ見ぬ守護者たちも。
「……よし! 行きましょう!」
私は画面の中の勇者たちとともに、遺跡の入口を見つめた。
――水の国アクエリアの冒険は、ここから本格的に始まる。
水の国編、いよいよ本格始動です!
水中遺跡の汚染を解決するため、クロたちは水の精霊ネレイアと、その契約者セレフィナの力を借りることに。
次回は水のシールドを張って、遺跡の中へ!
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