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# 第十四話 水の国へ! そして登録者1000人!? これがEC効果ですか!?

いつの間にか登録者1000人を突破していたクロ!


本人は「EC効果すご……!」と驚いているようですが……?


そして、ついに水の国アクエリアへ入国!


美しい国で、いったいどんな冒険が待っているのでしょうか。


ぜひお楽しみください!



 水の国アクエリアへ向かう旅が始まってから、少し経ったある日のこと。


「……よし。今日もEC、やります!」


 私はパソコンの前で、コントローラーを握りしめた。


 前回の冒険では、ずっと気になっていた謎の女性――エルフィが仲間になった。


 パーティーメンバーが四人になったことで、メインクエストも更新。


 次の目的地は、水の国アクエリア。


 そこで何か深刻な問題が起きているらしい。


「いったい、何があるんだろう……!」


 新しい国。


 新しい街。


 新しい冒険。


 考えるだけで、わくわくしてくる。


 ……あっ、そうだ。


 配信を始める前に、いつものようにチャンネルの管理画面を確認しておこう。


 私はマウスを動かし、VTubeのページを開いた。


 配信予定を確認して、コメントをチェックして。


 それから、何気なくチャンネル登録者数に目を向けた。


「…………ん?」


 数字が、目に入った。


 登録者数。


 **1,024人。**


「…………」


 私は画面を見つめた。


 もう一度、見た。


 ……1,024人。


「…………えっ?」


 思わず、画面に顔を近づける。


 数字は変わらない。


 1,024人。


「えっ、えっ、えっ!? せ、せん……?」


 千人。


 登録者数、千人。


 私のチャンネルに、千人以上の人が登録してくれている。


「ええええええっ!?」


 思わず声が出た。


 前に確認したときは、五百人くらいだったはず。


 それでも十分すごいと思っていたのに。


 いつの間に倍以上になったの!?


「な、なんで!? なんでこんなに増えてるの!?」


 慌てて、最近の配信履歴を確認する。


 ここ最近、私が配信していたのは――ほとんど『Eternal Chronicle』だった。


 美しい景色に感動して。


 操作の多さに混乱して。


 魔物に追いかけられて悲鳴を上げて。


 冒険者ギルドで登録しただけで大喜びして。


 ……うん。


 いつも通り、騒いでいただけだ。


「……もしかして」


 私は、画面に表示されたECのタイトルを見つめた。


「……EC 効果、すご……!」


 そうだ。


 きっとそうに違いない。


 話題の新作ゲームだし、映像も音楽もすごくきれいだし、ストーリーも気になる。


 私だって、遊び始めてからずっと夢中になっている。


 だから、ECをきっかけに私の配信を見に来てくれる人が増えたのかもしれない。


「うわぁ……ゲームってすごい……!」


 私は感心して、何度もうなずいた。


 もちろん、登録してくれた人たちがECだけを目当てにしているとは限らない。


 それでも、きっかけのひとつになっているのなら嬉しい。


 ……よし。


 これからも、楽しく遊ぼう!


 そう思って、私は配信準備を始めた。


     ◇


『【Eternal Chronicle】水の国アクエリアへ! 新しい国を目指します!』


 配信タイトルを設定し、開始ボタンを押す。


「こ、こんばんは……! 猫野クロです……!」


『こんばんはー!』


『クロちゃん待ってた!』


『今日はアクエリア編かな?』


『登録者1000人突破おめでとう!!』


「…………えっ?」


 コメントを見て、私は固まった。


 登録者1000人。


 ……あっ!


 そうだった!


 さっき気づいたばかりで、すっかり忘れかけていた。


「え、えっと……あ、ありがとうございます……!」


 慌ててお礼を言う。


 でも、どうしよう。


 何か特別なことをしたほうがいいのかな?


 記念配信とか。


 質問コーナーとか。


 ……いや、無理!


 急にそんなことを言われても、何をすればいいのか分からない!


「えっと……その……気づいたら、1000人を超えていて……。あ、ありがとうございます……!」


『おめでとう!』


『これからも応援してるよ!』


『EC配信から見始めました!』


『クロちゃんの反応が面白くて来ましたw』


「……っ!」


 EC配信から見始めた人もいるんだ。


 やっぱり、EC効果なのかもしれない。


「こ、これからも……楽しく遊びます……!」


『それが一番!』


『次の冒険も楽しみ!』


 私はほっと息を吐いた。


 よかった。


 ちゃんとお礼を言えた。


 それだけでも、今日は大きな進歩だと思う。


「……で、では! 今日もECを進めていきます!」


 ゲーム画面を表示する。


 そこには、光の国イルミナスを出発した勇者たちの姿があった。


 勇者。


 ガルド。


 リリア。


 そして、エルフィ。


 四人で水の国アクエリアを目指している。


「えっと……地図によると、こっち……かな?」


 主人公を操作して、街道を進む。


 その後ろを、仲間たちがついてくる。


『アクエリア、どんな国なんだろうね』


『水の国だから海とか湖がきれいそう』


『でも深刻な問題があるんだよな……』


「そ、そうなんですよね……」


 私は少しだけ表情を引き締めた。


 水の国では、深刻な問題が発生している。


 まだ詳しいことは分からない。


 でも、きっと何か困っている人たちがいるのだろう。


「……早く、何が起きているのか知りたいです」


 そう呟いて、私は道の先へと視線を向けた。


 しばらく進むと、景色が少しずつ変わり始めた。


 草原の向こうに、青く輝く水面が広がっている。


 遠くには大きな湖。


 その先には、いくつもの水路と橋が見えた。


 そして、湖の中央にそびえる、青と白を基調とした美しい街並み。


「……わぁ」


 思わず、声が漏れる。


 水面に反射する光。


 湖の上を渡る橋。


 水路に沿って並ぶ白い建物。


 まだ遠くから眺めているだけなのに、きれいだと分かる。


『おおお、見えてきた!』


『水の国だ!』


『景色きれいすぎる』


「す、すごい……! 早く近くで見たい……!」


 私は夢中でコントローラーを動かした。


 街へ続く石橋を渡る。


 主人公たちが門をくぐった瞬間、画面がゆっくりと暗転した。


「……えっ?」


 操作を受け付けなくなった。


 入国演出だ!


 私はコントローラーを握ったまま、画面を見つめた。


     ◇


 静かな水音が響く。


 画面に映し出されたのは、広大な湖の上に築かれた都市だった。


 透明な水が流れる水路。


 水面を渡る白い石橋。


 青い屋根の建物が並び、その向こうには巨大な宮殿がそびえ立っている。


 宮殿の周囲では、噴水が高く水を噴き上げていた。


 陽光を受けた水しぶきが、まるで宝石のように輝いている。


 カメラがゆっくりと上昇し、街全体を見渡す。


 湖の向こうには、滝が流れ落ちる巨大な崖。


 その頂上には、水の精霊を祀る神殿らしき建物が見えた。


「……わぁ」


 思わず、声が漏れた。


 なんて綺麗なんだろう。


 水とともに生きる国。


 そんな言葉が、ぴったりの景色だった。


 けれど。


 カメラが街の中心から離れ、水路の奥へと移動したときだった。


 細い水路の一角。


 そこだけ、水が濁っていた。


 透明だったはずの水が、黒ずんだ灰色に淀んでいる。


 水面には、淡い紫色の靄が漂っていた。


 その水路を見つめる住民たちの表情は暗い。


 水を汲もうとしていた女性が、桶を引っ込める。


 そばにいた子どもが、不安そうに母親の服をつかんだ。


 カメラはさらに、街の外れへと向かう。


 そこには、水を供給するための巨大な水門があった。


 本来なら勢いよく流れているはずの水が、今は弱々しく流れるばかり。


 水門の根元には、黒い染みのようなものが広がっていた。


 その瞬間。


 水面が、不自然に揺れた。


 まるで、水の底に何かが潜んでいるかのように。


 ――ざぷり。


 小さな音とともに、水面に黒い泡が浮かび上がる。


 次の瞬間、映像は切り替わった。


 再び映し出されるのは、青く美しい街並み。


 そして、画面の中央に文字が浮かび上がった。


 **水の国アクエリア。**


 その下に、もう一文。


 **水脈と湖に抱かれし、水の恵みの国。**


 美しい音楽が静かに盛り上がり、映像は終わった。


     ◇


「…………」


 私はしばらく、何も言えなかった。


「……す、すご……」


 綺麗だった。


 本当に綺麗だった。


 でも、最後に映ったあの水路。


 あの黒い泡。


 あれは、何だったんだろう。


『入国演出きた!』


『景色めっちゃ綺麗……って、最後の水やばくない?』


『最初の映像と雰囲気が違いすぎる』


『あの黒い泡、絶対に異変と関係あるだろ……』


「……やっぱり、何か起きてるんだ……」


 私は画面を見つめた。


 ただ美しいだけの国ではない。


 この国では、何かがおかしくなっている。


 そして、私たちの目的は、その原因を調べること。


 画面の隅で、小さな光の精霊がふわりと浮かび上がった。


『水の国アクエリアに到着しました』


 続いて、クエスト画面が表示される。


『メインクエスト』


『水の国アクエリアへ行く』


『達成!』


 新しい項目が、その下に追加された。


『冒険者ギルドで情報収集する』


「……まずは、ギルドで情報収集……!」


 私はコントローラーを握り直した。


 あの水の異変について、何か知っている人がいるかもしれない。


 まずは話を聞いてみよう。


 ……寄り道は、そのあと!


『今、寄り道するつもりだっただろw』


「し、してません……!」


 私は地図を開き、冒険者ギルドの場所を確認した。


 水の国アクエリア。


 その美しい水面の下には、確かに何かが潜んでいる。


 それを確かめるため、私は仲間たちとともに、ギルドへ向かうのだった。


登録者1000人を突破したクロ! そして、いよいよ水の国アクエリア編が始まりました!


水の国で起きている異変とは何なのか。まずは冒険者ギルドで情報収集です!


面白かった、続きが気になると思っていただけたら、感想やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


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