# 第十一話 遺跡の案内人、会話がリアルすぎませんか!?
八話から、、属性は 炎、水、風、地、氷、草って書いていたんですけど、雷属性が抜けてました! ごめんなさい!
今回は古代遺跡の探索を続けます!
仲間たちとの掛け合いや、遺跡に隠された謎にも注目です。
ぜひ最後までお楽しみください!
古代遺跡・第一層。
「……よし。次こそ、操作ミスをしない!」
私はコントローラーを握り直した。
先ほどの戦闘では、勇者を操作するつもりがガルドに切り替わり、回避するつもりがフィリアに切り替わり、必殺技を出そうとしたらメニューが開いた。
……うん。
散々だった。
『まずはボタン配置を覚えようw』
『戦闘より操作との戦いになってる』
『ガルドの出番が多すぎるんだよなぁ』
「うぅ……! 分かってますよぉ!」
私は涙目になりながら、画面を見つめた。
画面の中では、勇者、ガルド、フィリアの三人が遺跡の通路に立っている。
それぞれが武器を構え、周囲を警戒していた。
……こうして見ると、本当に冒険しているみたいだ。
しかも、仲間たちはただ立っているだけではない。
ガルドが大剣を肩に担ぎ、フィリアが壁の模様を調べている。
しばらくすると、二人の間で会話が始まった。
『……ずいぶん古い遺跡ね』
『ああ。俺もこんな場所は初めてだ』
『大剣を振り回すだけのあなたでも、古代文明には興味があるの?』
『おい、誰が大剣を振り回すだけだ!』
『違うの?』
『違うに決まっているだろうが!』
「ぷっ……!」
思わず吹き出してしまった。
なにこれ。
仲間同士で勝手に会話してる!
しかも、ガルドがフィリアにからかわれている。
『ガルド、完全にいじられ役で草』
『フィリア容赦なくて草』
『この二人、相性いいのか悪いのかw』
「い、いいじゃないですか! こういう掛け合い!」
私は笑いながら、主人公を前へ進めた。
すると、ガルドがこちらを向いた。
『おい、勇者殿。笑っていないで先へ進むぞ』
「えっ!? 私に話しかけてきた!?」
『そりゃ仲間だからなw』
『ちゃんとこっちの行動を認識してるんだな』
「す、すごい……!」
ただの決められた会話ではない。
こちらの行動に合わせて、仲間が自然に反応している。
私は改めて、このゲームの作り込みに感動した。
……まあ、感動している場合ではない。
探索を進めなければ!
◇
通路を進むと、広い部屋に出た。
天井は高く、壁には青白い鉱石が埋め込まれている。
部屋の中央には、円形の台座。
その奥には、装飾の施された石扉があった。
「おおっ! なんか重要そうな部屋!」
私はカメラを動かし、周囲を見回した。
すると、台座の前に半透明の人影が浮かび上がった。
「……えっ?」
淡い光が集まり、女性の姿を形作る。
長い髪。
白い衣装。
そして、どこか無機質な瞳。
『ようこそ、魔力研究所管理区画へ。来訪者の認証を開始します』
「ひゃっ!?」
私は思わず声を上げた。
突然、人が現れた!
いや、人というより……幽霊?
いやいや、ゲームなんだから幽霊くらい出てくるかもしれないけど!
『おお、イベントか?』
『急に重要そうなキャラが出てきたな』
『この遺跡の管理者かな?』
女性はしばらくこちらを見つめていた。
やがて、首を傾げる。
『認証を確認。冒険者登録情報を照合……完了。勇者の資格を確認しました』
「ゆ、勇者の資格!?」
まさか、主人公が勇者だから反応したのだろうか。
女性は静かに頭を下げた。
『私は研究所管理補助人格、セレネ。施設の案内と、一部の記録閲覧を担当しています』
「せ、セレネさん……?」
『はい。何かご質問はありますか?』
「えっ、質問?」
画面には、いくつかの選択肢が表示されていた。
・この遺跡について
・古代文明について
・この先に何があるのか
・自由に質問する
「……自由に質問!?」
私は思わず身を乗り出した。
そういえば、このゲームにはマイクを使った会話機能がある。
街では緊張して使えなかったけど、相手が人間ではない案内役なら、少しは話しやすいかもしれない。
……いや、AIだと分かっていても緊張するものは緊張するんだけど!
「え、えっと……」
私はマイクに向かって話しかけた。
「この遺跡って、何のために作られたんですか?」
すると、セレネはわずかに微笑んだ。
『良い質問ですね。この施設は、かつて古代文明が保有していた魔力制御技術の研究施設でした』
「魔力制御技術……?」
『はい。大規模な魔力を安定させ、複数の属性へ変換するための研究が行われていた記録が残っています』
「えっ、複数の属性!?」
私は思わず画面に近づいた。
属性を変換する研究。
それって、もしかして……。
『ただし、記録の一部は破損しています。詳細を知るには、施設の奥にある記録装置を復旧させる必要があります』
「……なるほど!」
ストーリーの核心に関わる情報かもしれない。
私は興奮しながら、さらに質問した。
「じゃあ、この遺跡の奥に行けば、もっと詳しいことが分かるんですか?」
『可能性はあります。ただし、奥の区画には現在も防衛機構が稼働しています。十分に注意してください』
「ぼ、防衛機構……?」
その言葉に、私は少しだけ身構えた。
つまり、強い敵がいるかもしれない。
……いや、でも。
その先には、古代文明の秘密があるかもしれないのだ。
「……行くしかないですよね!」
『おお、やる気だ!』
『さっきまで操作ミスで泣いてた人とは思えないw』
『好奇心が恐怖を上回った瞬間』
「だ、だって気になるじゃないですか!」
私は勢いよく頷いた。
そのとき、セレネがこちらを見つめた。
『ところで、あなたは先ほどから、ずいぶん緊張しているようですね』
「…………え?」
……え?
今、なんて?
『声の揺れや返答までの間隔から、緊張している可能性が高いと判断しました。必要であれば、説明の速度を落とすこともできます』
「な、ななな、なんで分かるんですか!?」
『会話の傾向を参考にしています。もちろん、判断が正しいとは限りません』
「そ、そうなんですね……」
すごい。
ただ会話をするだけじゃなくて、こっちの様子まで見ているみたいだ。
……いや、実際にはマイクの音声から判断しているんだろうけど。
それでも、なんだか本当に心を読まれているような気分になる。
『クロちゃん、AIに性格を分析されてるw』
『NPCにまでコミュ障がバレてるぞ!』
『セレネさん、うちのクロちゃんをよろしくお願いします』
「ちょ、ちょっと! コメント欄まで何言ってるんですか!?」
私は顔を赤くしながら、セレネに向き直った。
「だ、大丈夫です! 緊張してるだけなので!」
『承知しました。それでは、通常の速度で説明を続けますね』
「……はい」
……なんだろう。
普通に返事をしてくれるだけなのに、妙に安心する。
このゲーム、すごすぎない?
◇
セレネから情報を聞いたあと、私たちは部屋の奥へ進んだ。
そこには、三つの装置が並んでいた。
一つ目は、床に埋め込まれた青い結晶。
二つ目は、壁に取り付けられた赤い結晶。
三つ目は、天井近くの高い位置にある装置だった。
「……また仕掛けですか!?」
私は思わず声を上げた。
『謎解きの時間だ!』
『仲間への指示を使うんだぞ』
『さっき覚えた操作、もう忘れてそうw』
「忘れてません!」
……たぶん。
私は操作ガイドを開いた。
青い結晶は勇者の光属性に反応するらしい。
赤い結晶は魔力を供給すれば起動できる。
そして、天井近くの装置は、離れた場所にあるレバーと連動しているようだ。
「なるほど……!」
私はまず勇者を操作して、青い結晶に触れた。
パァァァ……!
結晶が光り、装置の一部が起動する。
「よしっ!」
次はフィリアだ。
私は切り替えボタンを押した。
――ガルド。
「違ぁぁぁう!!」
画面の中では、ガルドが堂々と立っていた。
『……何だ? 俺の出番か?』
「違います! フィリアです! 魔法使いのほうです!」
『ガルド、呼ばれたと思ったのにw』
『この切り替えミス、もはや様式美』
『ガルドも困惑してて草』
「もう! ボタンが多いんですよぉ!」
私は改めて操作キーを確認し、今度こそフィリアに切り替えた。
フィリアが杖を掲げる。
赤い結晶に向かって魔法を放つと、装置が起動した。
「よし! あと一つ!」
最後は高所の装置だ。
私はガルドに切り替え、レバーの近くまで移動させた。
その場で待機。
勇者に切り替え、遠くの足場へ移動。
そして、フィリアに切り替えて……。
「…………あれ?」
私は画面を見つめた。
今、誰を操作していたっけ?
『クロちゃん、迷子になってるw』
『キャラクターが三人いるからなw』
『落ち着いて操作しよう!』
「わ、分かってます!」
深呼吸。
まずは画面の表示を確認。
操作キャラクターはフィリア。
ガルドはレバーの前で待機中。
勇者は足場の上。
よし。
私は勇者を操作して、遠くの装置を調べた。
カチッ。
装置が起動し、三つの結晶が同時に輝いた。
ゴゴゴゴゴ……!
奥の壁が動き、隠されていた通路が姿を現した。
「やったぁぁぁ!!」
私は思わず両手を上げた。
……いや、コントローラーを持っているので片手だけだけど!
『おめでとう!』
『操作ミスを乗り越えたw』
『今のはちゃんと連携できてたぞ!』
「ふふん! どうですか!」
私は少しだけ得意げになった。
画面の中の勇者も、胸を張っている。
その後ろでは、ガルドがレバーから手を離し、フィリアが杖を下ろしていた。
『ようやく開いたな。まったく、手間のかかる仕掛けだ』
『あなた、ほとんどレバーを押していただけでしょう?』
『それが重要な役目だったんだ!』
『はいはい』
「ふふっ……!」
また笑ってしまった。
この二人、ほんとに仲がいいのか悪いのか分からない。
でも、こういう会話があるだけで、冒険がずっと楽しくなる。
◇
隠し通路の先には、小さな部屋があった。
中央には、黒い石でできた台座。
その上には、古代文字が刻まれた円盤が浮かんでいた。
「……なんだろう、これ」
私は近づいて調べた。
すると、画面に表示が出た。
『記録装置。起動には特殊な魔力結晶が必要です』
「……あっ!」
私はアイテム欄を開いた。
先ほど宝箱から手に入れた、用途不明の魔力結晶。
もしかして、これを使うのでは?
「えっと……使ってみます!」
アイテムを選択し、台座に近づける。
すると、魔力結晶が淡く光り始めた。
パァァァ……!
結晶が台座へ吸い込まれ、円盤がゆっくりと回転する。
部屋全体に、古代文字が浮かび上がった。
『記録装置を起動しました』
「おおおっ!」
私は思わず声を上げた。
やっぱり、重要アイテムだったんだ!
円盤の中央に光が集まり、映像のようなものが投影された。
そこには、見たことのない建物が映っていた。
巨大な塔。
空に浮かぶ島。
そして、複数の属性を示す紋章。
炎、水、風、地、氷、草、雷、光、闇。
九つの紋章が、円形に並んでいた。
「……すごい」
私は思わず呟いた。
映像の中では、古代の人々が装置を操作している。
しかし、次の瞬間。
映像が乱れた。
激しい光。
崩れる建物。
そして、画面の隅に一瞬だけ映った、黒い影。
『警告。記録データの一部が破損しています』
「えっ……?」
映像が消えた。
部屋は再び静かになった。
私はしばらく、何も言えなかった。
……今のは、何だったんだろう。
古代文明が滅びた理由?
それとも、何かの事故?
黒い影は、いったい……?
『気になる終わり方だな』
『絶対に後で重要になるやつ!』
『古代文明、何があったんだ……?』
「うぅ……! 気になります!」
私は頭を抱えた。
こういうの、気になって仕方がない。
でも、今はまだ分からない。
先へ進めば、何か手がかりが見つかるかもしれない。
そう思ったときだった。
『……勇者殿』
ガルドの声がした。
「……え?」
『今の映像を見たか?』
私は画面の中のガルドを見つめた。
彼は、先ほどまでの軽い調子とは違う、真剣な表情をしていた。
『あの黒い影……ただの記録映像とは思えん』
フィリアも頷いた。
『ええ。魔力の流れが乱れていたわ。あれは、何かが起きた瞬間の記録なのかもしれない』
「……二人とも、ちゃんと見てたんだ」
思わず呟いた。
当たり前なのかもしれない。
でも、プレイヤーだけが映像を見て、仲間は何も反応しない――そんなゲームではない。
仲間たちも、それぞれの視点で出来事を受け止めている。
ガルドが大剣を握り直した。
『先へ進もう。何があったのか、確かめる必要がある』
『賛成よ。ただし、準備は整えてからね』
「……はい!」
私は頷いた。
まだ分からないことだらけだ。
古代文明の秘密。
用途不明だった魔力結晶の役割。
そして、映像に映った黒い影。
この遺跡には、きっと何かが隠されている。
「……よし。もっと奥まで探索しましょう!」
私はコントローラーを握り直した。
画面の中の勇者が、仲間たちとともに通路の奥へ進んでいく。
その先には、まだ見ぬ謎が待っている。
――なお。
このあと、次の扉を開けるための操作で、私はまたガルドを呼び出すことになる。
『……俺、また何かしたか?』
「違いますってばぁぁぁ!!」
古代遺跡の静寂に、私の悲鳴が響き渡った。
……冒険は、まだまだ始まったばかりである。
仲間たちが自分から会話してくれると、冒険している感じがぐっと増しますよね!
そして、遺跡で見つかった謎の記録……。古代文明には、いったい何があったのでしょうか?
次回も、クロの冒険は続きます!
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