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# 第十話 仲間との連携って難しすぎませんか!?

今回は、いよいよ仲間と一緒にダンジョン攻略!


キャラ切り替えや仲間への指示など、新しい要素が盛りだくさんです!


ぜひ最後までお楽しみください!



 街の探索をひと通り終えた――と思う。


 たぶん。


 いや、まだ見落としはあるかもしれないけど!


「……よし。そろそろ冒険に出ましょう!」


 私はコントローラーを握り直した。


 ここまで、街を歩き回ったり、冒険者ギルドで登録したり、武器屋を見たり。


 気づけば、かなりの時間が経っていた。


 まだ魔王どころか、まともに魔物と戦ってすらいない。


 ……いや、チュートリアルでは戦ったけど!


『街の観光がメインコンテンツになってて草』

『RPGあるある。店を全部回ってから進む』

『そろそろ冒険しようぜw』


「だ、だって気になるじゃないですか!」


 私は地図を開いた。


 街の外には、いくつかの探索エリアが表示されている。


 草原。


 森林。


 そして、少し離れた場所にある――遺跡。


「……遺跡!」


 その文字を見た瞬間、私の目が輝いた。


 遺跡。


 古代文明。


 隠された財宝。


 謎の仕掛け。


 そして、ダンジョン!


「行きます! 遺跡に行きましょう!」


『急に元気になったw』

『さっきまで街の路地を調べてた人とは思えない』

『宝箱があったら開けてくれよな!』


「もちろんです!」


 私は意気揚々と、街の門へ向かった。


 ――その前に。


「……あっ、仲間!」


 そうだった。


 せっかく冒険者ギルドでガルドを仲間にしたのだから、彼を連れていかなければ意味がない。


 私はメニューを開き、パーティー編成画面を確認した。


 現在のメンバーは、勇者とガルド。


 最大人数は四人。


「うーん……二人だと、ちょっと心細いですよね」


 候補者一覧を開くと、先ほど気になっていた魔法使いの少女が目に入った。


 長い銀髪に、青いローブ。


 名前はリリア。


 紹介文には、攻撃魔法を得意とする若手魔法使い、と書かれている。


「……この子、かわいい!」


『また見た目で選んでるw』

『性能も確認しような!』

『魔法使いはいたほうが便利そう』


「み、見た目だけじゃないです! 魔法使いって、冒険に必要そうですし!」


 私は必死に言い訳しながら、リリアを選択した。


 勧誘の会話を始めると、彼女は少し驚いたような表情を浮かべた。


『私を旅に誘うの? 魔王討伐なんて危険な旅だけど……本気?』


「ほ、本気です!」


 もちろん、選択肢を選んだだけだ。


 それでも、妙に緊張してしまう。


 私は画面の選択肢を見つめた。


 ・一緒に旅をしてほしい

 ・魔法の腕前を見せてほしい

 ・また今度にする


「……一緒に旅をしてほしい!」


 選択。


『……分かった。私の魔法が役に立つなら、協力するわ』


 加入成功。


「やったぁ!」


 画面に、リリアがパーティーメンバーに加わったという表示が出た。


 これで、勇者、ガルド、リリアの三人パーティーだ。


 前衛のガルド。


 魔法で援護するリリア。


 そして、光の力を使う勇者。


「おお……! ちゃんとパーティーっぽくなってきた!」


『編成を考えるの楽しいよな』

『これで戦闘も楽になりそう』

『残り一枠はどうする?』


「それは……これからの出会い次第、ということで!」


 私はパーティー画面を閉じた。


 よし。


 今度こそ、出発だ!


     ◇


 街の門を抜けると、草原が広がっていた。


 風に揺れる草。


 遠くに見える山々。


 そして、地平線の向こうには、古びた建造物らしき影が見える。


「あれが……遺跡!」


 私は主人公を走らせた。


 その後ろを、ガルドとリリアがついてくる。


 ちゃんと二人とも、勇者の後を追いかけて移動していた。


「すごい……! 仲間が一緒に走ってる……!」


『そこに感動するのw』

『パーティー組んだんだから当然だろw』

『でもこういうの見ると冒険って感じする』


「だって、さっきまでギルドにいた人たちですよ!? それが今、一緒に旅してるんですよ!?」


 考えてみれば、すごいことだ。


 自分で仲間を選び、一緒に冒険へ出る。


 これぞRPG。


 これぞ王道ファンタジー!


 ……まあ、操作しているのは私なんだけど。


 そんなことを考えながら進んでいると、画面の端に小さな表示が現れた。


『遺跡周辺エリアに到着しました』


「おおっ!」


 目の前には、崩れかけた石造りの建物が広がっていた。


 苔むした柱。


 半分埋まった石像。


 地面には、見たことのない模様が刻まれている。


 入口らしき場所は、巨大な石扉で塞がれていた。


「うわぁ……! 雰囲気ある……!」


 私はカメラを動かし、周囲を見回した。


 建物の壁には、古代文字のようなものが刻まれている。


 近づくと、主人公がそれを調べる動作をした。


『古代文明の文字だ。現在の言語とは異なるようだ……』


「えっ、読めないんだ!?」


『そりゃ古代文字だしw』

『後で解読できるようになるやつかな?』

『こういう伏線好き』


「後で読めるようになるんでしょうか……!?」


 気になる。


 ものすごく気になる。


 でも、今は先に進まなければ。


 私は石扉の前へ移動した。


 すると、扉の横にある石板が光り始めた。


『遺跡の封印を解除してください』


「……封印?」


 画面に、周囲を調べるよう促す表示が出た。


 どうやら、近くに仕掛けがあるらしい。


 私は周囲を見回した。


 少し離れた場所に、床から突き出した石の台座がある。


 その上には、青く光る結晶。


「……あれかな?」


 主人公を動かして近づいてみる。


 しかし、結晶に触れても何も起こらなかった。


「えっ? 違う?」


 もう一度調べる。


 反応なし。


 周囲をぐるぐる回る。


 反応なし。


「……ええっ!? 何をすればいいの!?」


『まず説明を読もうw』

『周囲を調べろって出てるぞ』

『仲間がいるんだから使ってみよう』


「仲間……?」


 コメントを見て、私はメニューを開いた。


 すると、画面の端に操作ガイドが表示された。


『仲間への指示』


 待機。


 指定地点へ移動。


 ……指定地点へ移動?


「えっ、仲間に指示できるんですか!?」


 私は説明を読んだ。


 どうやら、仲間を指定した場所へ移動させたり、その場で待機させたりできるらしい。


 さらに、仲間を操作キャラクターに切り替えることで、その人物自身を動かせるようだ。


「……えっ、待って?」


 私は説明をもう一度読んだ。


 仲間に指示を出せる。


 仲間を自分で操作できる。


 つまり――。


「キャラクター、切り替えられるんですか!?」


『今さら気づいたwww』

『説明に書いてあっただろw』

『これがこのゲームの肝っぽいな』


「だ、だって! まだちゃんと使ったことないんですもん!」


 私は操作ガイドを確認した。


 キャラクター切り替え用のボタン。


 仲間への指示を開くボタン。


 それから、各キャラクターに割り当てられた操作キー。


「……多くないですか!?」


 思わず声が出た。


 攻撃に回避にジャンプにガード。


 属性切り替えに必殺技。


 さらに仲間の切り替えと指示まである。


「NEXCより覚えること多い気がするんですけど!?」


『別ジャンルのゲームだからなw』

『操作を覚えるところから冒険』

『クロちゃん、頑張れw』


「うぅ……! やりますけど!」


 私はまず、ガルドを選択した。


 画面が切り替わる。


 勇者の姿が消え、代わりに大剣を背負ったガルドが表示された。


「おおおっ! 本当に切り替わった!」


 視点もガルドに移っている。


 試しに移動してみると、ガルドが歩き出した。


 攻撃ボタンを押すと、大剣を振り下ろす。


 勇者とは少し違う、重たい動き。


「うわっ、モーションまで違う!」


『キャラごとに操作感が違うタイプか』

『大剣は攻撃遅めだけど強そう』

『使い分けが重要になりそうだな』


「すごい……! ちゃんと別キャラなんだ……!」


 私はしばらくガルドを動かしたあと、リリアへ切り替えた。


 すると、今度は杖を持った魔法使いの姿になった。


 攻撃ボタンを押すと、杖の先から小さな魔法弾が飛び出した。


「おおっ! 魔法!」


 さらにスキルボタンを押すと、リリアが杖を掲げた。


 足元に魔法陣が広がり、火の玉がいくつも浮かび上がる。


「えっ、かっこいい!!」


 火の玉が前方へ飛んでいき、遺跡の壁に当たって消えた。


「すごい……! キャラクターごとに戦い方が全然違うんだ……!」


 勇者は光の力を使う。


 ガルドは大剣で敵を叩き伏せる。


 リリアは魔法で遠距離から攻撃する。


 それぞれの得意分野を活かして戦うゲームなのだ。


 ……これは、楽しい。


 ものすごく楽しい!


「早く戦闘でも試したいです!」


『その前に遺跡攻略しようなw』

『まだ扉開いてないぞw』


「あっ、そうでした!」


 私は慌てて操作を戻した。


 そうだ。


 今は封印を解除しなければならない。


 石板には、こんな表示が出ている。


『三つの祭壇を起動してください』


「……三つ?」


 周囲を確認すると、遺跡の入口付近に、三つの台座が設置されていた。


 一つは青い結晶。


 一つは赤い結晶。


 そして、もう一つは高い柱の上にあるらしい。


 ただし、三つ目の台座へ続く道は崩れていて、普通に歩いていくことはできそうにない。


「ええっ!? どうすればいいの!?」


 私はカメラを動かした。


 すると、離れた場所に、小さな足場とレバーが見えた。


 レバーの近くには、細い通路。


 そして、こちら側には動かせそうな石のブロックがある。


「……あっ、もしかして!」


 私は主人公を操作し、石のブロックを調べた。


 しかし、勇者では動かせないらしい。


「えっ、なんで!?」


 説明を確認する。


『この仕掛けは、力のある者でなければ動かせない』


「……力のある者?」


 私はガルドに切り替えた。


 石のブロックを調べる。


 すると、ガルドが両手をかけ、力を込めて押し始めた。


 ゴゴゴゴゴ……!


 重たい音を立てながら、石のブロックが動く。


「おおおっ! 動いた!」


 ブロックは、崩れた通路の下へ移動した。


 これを足場にすれば、上へ登れそうだ。


「なるほど! キャラクターごとの能力を使うんだ!」


『いいぞ!』

『こういうパズル好き』

『戦士だから力仕事担当w』


 私はガルドをその場で待機させ、勇者へ切り替えた。


 ブロックを足場にして、崩れた通路を登っていく。


 途中、狭い足場を飛び越えなければならない場所もあった。


「ひゃああっ!? 落ちる落ちる!」


 何度かジャンプに失敗しかけたものの、どうにか先へ進むことができた。


 そして、三つ目の祭壇にたどり着いた。


「やったぁ……!」


 祭壇に触れる。


 青白い光が広がり、遺跡全体が小さく震えた。


 画面の端に、起動済みの祭壇が一つ増えたことを示す表示が出る。


「よし! あと二つ!」


 残る二つの祭壇も、周囲の仕掛けを解きながら起動させていく。


 青い結晶は、勇者の光の力を使うことで起動できた。


 赤い結晶は、リリアの魔法で仕掛けを動かす必要があった。


「えっ、勇者じゃダメなの!? リリアに切り替えて……えっと、このボタン!?」


 操作を間違えて、何度かガルドに切り替わってしまった。


「違う! ガルドじゃないです! リリアです!」


『操作ミスwww』

『ガルド、呼ばれたのに何もできないw』

『仲間の切り替え、慣れるまで大変そう』


「もう! ボタンが多いんですよぉ!」


 それでも、何とかすべての祭壇を起動させることができた。


 そして――。


 ゴゴゴゴゴ……!


 大きな音とともに、遺跡の石扉がゆっくりと開いていく。


「…………!」


 私は思わず息を呑んだ。


 扉の向こうには、暗い通路が続いていた。


 壁には青い光を放つ鉱石が埋め込まれ、奥の方からは不思議な音が聞こえてくる。


 そして、画面に新たな表示が浮かび上がった。


『古代遺跡・第一層』


「……開いた!」


 私は思わず声を上げた。


 ここからが、本当のダンジョン攻略だ。


 宝箱。


 仕掛け。


 魔物。


 そして、最奥には何が待っているのだろう。


「行きます……!」


 勇者を先頭に、ガルドとリリアが続く。


 私は慎重に通路を進んだ。


 すると、少し先に宝箱が見えた。


「…………あっ!」


 私は思わず足を止めた。


 宝箱。


 ダンジョンに宝箱。


 しかも、まだ誰も開けていない。


「開けます! 絶対開けます!」


『目が輝いてるw』

『罠に気をつけろよ!』

『宝箱はロマン』


 私は宝箱へ近づいた。


 調べる。


 カチャリ。


 蓋が開き、中から光があふれた。


『アイテムを獲得しました』


 中身は、回復薬が三つと、見慣れない小さな結晶だった。


「おおっ! 回復薬! それから……何だろう、これ?」


 結晶の説明には、こう書かれていた。


『古代の魔力結晶。用途不明』


「……用途不明?」


 私は首を傾げた。


 何に使うんだろう。


 武器の強化?


 魔法の強化?


 それとも、遺跡の仕掛けに使うアイテムなのだろうか。


「こういうアイテム、後から必要になるんですよね……!」


『大事に持っておこう』

『売却しないようになw』

『用途不明アイテムはだいたい怪しい』


「絶対に取っておきます!」


 私はアイテム欄を確認してから、再び通路を進んだ。


 その先には、複数の魔物が待ち構えていた。


 小型の石像のような敵が、こちらに気づいて動き始める。


「うわっ!? 敵!?」


 私は慌てて勇者を操作した。


 光の剣で攻撃する。


 しかし、敵の体力は思ったほど減らない。


「えっ、硬い!?」


 その隙に、別の魔物が横から飛びかかってきた。


「ひゃああっ!?」


 回避。


 攻撃。


 また回避。


 敵の攻撃を避けながら、何とか一体を倒した。


 けれど、まだ二体残っている。


「ちょ、ちょっと待って! 多いですって!」


 私はガルドへ切り替えた。


 大剣を振り下ろす。


 重たい一撃が敵に直撃し、体力が大きく減った。


「おおっ! ガルド強い!」


 続いてリリアへ切り替え、魔法を放つ。


 火の玉が敵に命中し、残りの体力を削っていく。


 そして最後は、勇者の光の攻撃で撃破した。


 画面に、戦闘終了の表示が出る。


「…………はぁぁぁ……!」


 私は椅子の背もたれに体を預けた。


 危なかった。


 操作を切り替えるだけでも大変なのに、戦闘中に仲間を使い分けるなんて。


「……これ、慣れるまで時間かかりそう……」


『でもちゃんと使い分けできてたぞ!』

『ガルドの火力すごいな』

『リリアの魔法も強そう』

『連携できるようになったら楽しそう』


「……たしかに」


 私は画面の中の三人を見つめた。


 勇者だけでは苦戦する敵も、ガルドの力とリリアの魔法があれば倒せる。


 それぞれの得意分野を活かせば、もっと効率よく戦えるはずだ。


 そして、仲間への指示も使いこなせるようになれば、もっと複雑な仕掛けだって解けるようになるかもしれない。


「……よし」


 私はコントローラーを握り直した。


「練習します! 絶対に使いこなしてみせます!」


『頑張れクロちゃん!』

『次回はもっとスムーズな連携に期待w』

『まずはボタンを間違えないところからだなw』


「そ、そこからですけど!」


 私は少しだけ笑った。


 まだ操作は覚えきれていない。


 仲間への指示だって、使いこなせるとは言い難い。


 でも。


 このゲームには、まだまだ知らない仕組みがある。


 仲間と協力して仕掛けを解き、役割を使い分けて敵と戦う。


 そして、遺跡の奥には、まだ見ぬ謎が眠っている。


「……やっぱり、このゲーム、面白い!」


 私は再び、遺跡の奥へと進んでいった。


 ――なお、このあと操作ミスでガルドを何度も呼び出すことになるのだが。


 それは、また別のお話である。


仲間と協力して仕掛けを解くのって、RPGならではの楽しさがありますよね!


クロも少しずつ操作に慣れていく……はずです(笑)


次回も冒険は続きます!


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