両雄相対す
第12話
「はあァァァッ!!」
リカが叫びながら槍をいなす。
〘偵察班、画像が途切れたが何があった。〙
〘こちら偵察班結月、敵からの長距離攻撃により千賀の目が外れました。敵は何らかの方法でこちらに気付いたようです。〙
〘了解した。即時移動し、生存を最優先。〙
〘了解。〙
「3人とも聞こえたな、移動するぞ。リカ、走れるか?」
「オッケ〜行けるよ~!!」
「なら、千賀さんを連れて即離脱してくれ。」
「え、でもお二人が危険なんじゃ?」
「千賀さんの目を失うわけにはいかない。リカ頼んだ。」
「ん、分かった!!行くよ千賀さん《電光石火》」
千賀さんを背負ってリカが異常な速度で移動していく。
「悪いな、恭佑。貧乏くじだ。」
「な〜に、今んところ向こうも見つかってると思ってなくて慌てて移動してんだろ、コソコソ行けば逃げ切れるさ。」
ーーーーー
事前に決めていた移動先にはリカと千賀さん、更に補助の生徒が2名合流していた。
「あ、マギル!!良かった!!」
「あぁ、あの後は攻撃も来なくてな。こっちが見られた訳じゃなく、視線を感じてとりあえず撃ってみたのかもな。」
「そうですか、なら索敵を再開するのは止めた方が良いかもしれませんね。」
「賛成だな、どっちみちあれから時間も経ったしそろそろ領界に入るだろ。」
と、その時警報が辺り一面に響いた。
「噂をすれば…これから本格的に戦闘になる。一度学校へ戻ろー」
「私の攻撃を躱したのは貴殿等だな。」
目の前に音もなく1頭の火龍が対空していた。
突然の出来事に身体が硬直する。
「「はぁぁ!!」」
直接声を掛けられた訳じゃないからか、合流していた2人が先に硬直から回復し切りかかっていくが
「ふむ、判断は良いが力不足だ。《龍の威風・火炎》」
火龍の体から熱波が発し2人を弾き飛ばす。極近くの物を弾き飛ばす程の威力な様で熱い空気が後ろへ通り抜けていく。
「恭佑、撹乱!リカ、右から!」
「おうよ!《感覚撹乱・視覚》!」
「《破岩一焼》」
恭佑が龍の視界を次々に入れ替え視覚による状況判断を阻害する。と同時にリカが遠距離攻撃を左から仕掛ける。これはよく行うミスリードを誘う手段だ。
テレパシーの様な能力持ちがいないときは合図と異なる方向から攻撃を仕掛け反応するのを難しくする。特に恭佑の様な感覚を狂わせるタイプと合わせるとかなり有効だ。
更に俺は後ろへ回り込み《鏡剣》を発動させ、龍鱗を写して斬りかかる。がリカの攻撃は翼で防がれ、周囲を尻尾で薙ぎ払われた為、俺の攻撃は尻尾と打つかることとなった。
「中々の練度だ、悪くない。攻撃力もまずまず。久方振りに楽しく死合えそうだ。」
駄目か、3人の連携なら届くと思ったが差は致命的だ。
「恭佑!千賀さんとそこの2人を連れて撤退してくれ。リカはどうする?」
「クソッ!任せろ!」
「さっきは外されたから今度は残るよ!!」
「そうか、ありがとな。」
自分ではダメージを与えられない事に悪態をつきながら恭佑が3人を連れて撤退していく。その様子を龍は何もせず見送っていた。
「さぁ、リカ!1秒でも長く時間を稼ぐぞ!」
「うん、任せてよ!!」
きっと俺たち2人はここで死ぬ、だが仲間を逃がす為に命を張るのだから悪くない死に方だろう。
「素晴らしい!今の攻防だけで仲間を逃がし自らを盾に時間を稼ごうとするその姿、貴殿らは正に英雄の証を持っている!!我が名は炎龍ヴォルク・フランマース、我に英雄の名を教えて貰えぬだろうか?」
「結月マギル」
「焔リカ」
「然と受け取った、生涯その名を覚えておこう。では、存分に戦おうではないか!」
こんばんは、水守です。相変わらず進みが遅く申し訳ありません。読んでいただいている方を励みにこれからも頑張っていきたいと思います。評価や感想なども頂ければ幸いです。これからもよろしくお願い致します。




