035 新たなる予兆
AMI歴12年6月15日 白銀楼第一小学校
宮代伊織
両親から再婚の意思を聞かされた僕達はその事を祝福し、その晩は全員でお祝いしました。
週末には、実母と育ての父の墓前へ全員揃って報告に行ってきました、二人とも踏ん切りはついているみたい。
育ての父と違い実母の人となりは伝聞でしか知らないけど、きっと天国の二人とも両親の再婚を喜んでくれると思う。
僕等がそんな日常の一コマに興じている間にも、奏ちゃん達は央華連邦軍と交渉を頑張っていました。
雷神の勇者を使者として捕まえた央華連邦のゼンモン持ち達と拉致被害者解放の交換交渉を進め。
紆余曲折を経ながらも最終的には見事交換が成立する運びとなり、央華連邦軍によって拉致されていた日本人のゼンモン持ちは解放されました、本当に良かった。
人質交換に応じない場合、捉えたゼンモン持ちは全てアメリカ軍に引き渡すと脅しをかけたけど、敵指令は中々首を縦に振らなかったそうだ。
そんな中交渉の決め手となったのは、奏ちゃんの矢を受けた為に指令の肩にかけられたペインの呪いなんだって。
なんでもペインの呪いをかけられた者は絶え間ない苦痛で満足に動く事も出来ず、更に新月の時に受けた呪いは満月に近付くにつれ痛みが増して行くという極悪仕様で、脅しも込めて解呪しないと痛みが一生続くよ!と教えてあげたら解呪を条件に入れて承諾してくれたと言う事です。
敵ながらその自分都合が第一の判断基準はどうなの?と思わないでも無いけど、こちらとしては都合が良かったのでまぁいいけどさ、おかげで無事取引は成立と相成りましたとさ。
こっちには日本国内で央華連邦軍の部隊が戦闘行為をしている場面に指令の顔まで映ってる映像記録もあるし、既にネットに上げた動画に加えて、これ以上の映像を拡散されるのも嫌だろうしね、羽依の奇行もたまには役に立つよ。
拉致の被害者たちは、央華連邦のゼンモン持ちのスキルでここしばらくの記憶を消された上で解放されたと言う事で、不可解な事件としてしばらくお茶の間を賑わしていた。
そんなこんなで親の再婚という新たなイベントが発生はしたけど。
長らく続いた奏ちゃんへの監視も無くなり、しばらくぶりに平穏無事な日々が戻ってきました。
まぁ海外まで見渡せば全然平穏無事とは言い難いんだけど。
さっき言った交渉が無事終わった後に、央華連邦では三藏郷と回教郷の独立戦争の激化によって戦線が拡大、更なる混乱が広がっていた。
三藏郷戦線は一進一退ながら徐々に央華連邦軍が押されていると伝えられている。三藏郷の都市が一つ、また一つと三藏郷解放軍によって占拠されて行っているらしい。
新疆回教郷自治区でも央華連邦の劣勢が伝えられる為、これまで央華連邦の強圧的な外交政策によって頭を押さえ付けられていた周辺諸国がこぞって声を上げ始め、対央華連邦との国境正常化運動が広まりを見せている。
央華連邦は徐々に四面楚歌に陥りつつある状況下で、化石燃料や希少金属の輸出禁止令を布告などを始め、経済面での対抗措置を取り始めたせいで世界経済は一層混迷の度合いを深めつつある。
西欧諸国が人道的立場を建前とし、三藏郷解放軍に肯定的な動きを見せる中、日本政府はこの争いからは距離を置き静観の構えだ、一応中国とも表面上はこれまで通りの関係を継続しつつ、三藏郷解放軍の動きに関しても旗幟を鮮明にせず曖昧な態度を貫いている。
ニュースではこれを機に日央国境条約の見直しを迫るべきだと言う意見も出ているみたいだけどどーなんだろうね?
そんなこんなで世界情勢は平穏無事とは言い難い状況になっている訳だけれど、一介の子供の身としてはあまり関係が無いと言うかどうしようも無い事ばかりではあるので、一応先に述べた通り僕達は平穏無事な日々であると、まぁそういう事です・・・ちっとも平穏じゃ無いって?
「でもよう、央華連邦がこんな有様になって、雷神の勇者と妹とやらは大丈夫なのか?」
「そうだねぇ、何としても妹さんを日本へ連れて来ると言ってたんだよね?国内がこんな混乱してたらそれ処じゃ無さそうだよね」
放課後の教室で亮人くんとその後の展開などつらつらとお話をしている。
「仮にも勇者を名乗るならそれくらい自分で何とかすべき」
さすがにこちらからこっちから央華連邦へ渡る事も出来ない、そこばかりは雷神の勇者には独力で何とかして貰う必要があるよね
「実はよ、五十棲だけなら細工次第では向こうへ行けるかも知れないって話なんだがな」
「えぇっ!?この情勢下で一体どうやって?」
「奴の種族的技能が使えればって話だ」
「はぁ、スキルで海外へ行けちゃうの?」
「いいわね、海外旅行し放題ね」
いいなぁ、今まであまりゼンモン持ちのスキルとか聞いても羨ましいとかは特に思わなかったけれど、これはさすがに羨ましいな。
「あぁ、奴は条件が揃った魔力の満ちた夜なら竜脈を渡って移動する事が出来るんだと」
「なんだか良く分からないんだけど・・・それはワープみたいな事が出来るって事?」
「自分の肉体ごと結界で包んで半ば幽体化させたうえで、竜脈源から現界と幽界の狭間へ進入して竜脈に沿って移動して現地の竜脈源で現界に戻るんだ。一瞬で移動って訳にはいかないが、まぁ肉体で現界を移動するよりは大分時間は短縮出来る」
「前に聞いた竜脈源てやつから竜脈源へ移動出来るって事なの?例えばうちの道場から砂金神社へ移動するとか、そういう事が出来るって解釈であってる?」
「そういう事だな、竜脈が繋がってさえいれば海を渡る事だって可能らしいぜ」
「ほへー・・・なんだかすごい便利な能力だねぇ」
さすがに四次元〇ケットから出て来るどこでも〇アのように自由に好きな場所へという分けには行かないか。
それでも十分凄いと思うけど、移動にかかる時間てのはどんなものなんだろう?
「まぁな、だが相応の制約やリスクも存在するってよ」
「制約とリスク?」
「まず現世と幽世が接近してる時期じゃないと使えない、具体的には星図で月が水属性の宮にあり、かつ他の惑星配置でも水の宮が強調される時期だな。更に一定以上は魔力が地上に満ちる上弦の月から下弦の月の間で無いと難しいと」
「ふむふむ?」
「あと移動中に辿るべき竜脈を見失えば、迷子になる可能性もある、そうしたら現世と幽世の狭間をさまよう事になって現世に戻れなくなる可能性だってある。そう言う意味では月以外にも水の星座を強調するような星の配置がある時が望ましいな、水の大三角でも出来ていれば大分安定するだろう」
「現世に戻れなくなるって・・・恐ろしい話だね??まるで神隠しみたい」
「あとは移動先の竜脈源も事前に自陣として結界を張って確保しておかないとリスクが高い、そうした上で竜脈源同士を繋ぐ竜脈にあらかじめ経路を通して強化しておけば格段にリスクを低減出来るそうだ」
「うーん??まぁ成功率を上げる方法があるなら少しは安心出来るのかな?でも、移動先の竜脈源に結界を張るって、結局あらかじめ普通に移動して結界を張る必要があるって事なんじゃ・・?」
「その辺は現地の人間に仕込んでやらせとけば可能だと、この場合雷神の勇者だな、ただまぁ五十棲の奴が雷神の勇者の為にそこまでリスクを負うような事はしねーかな、移動して治療して戻って来るとか強行軍になっちまうし」
「そりゃそうか・・・実際敵だった訳だしねぇ・・・央華連邦の領内へ行くのってリスク高い行為だよね」
そもそも五十棲くんは、伏虎さんだったっけ?彼の怪我を治療するのにも乗り気には見えなかったしなぁ。まぁ奏ちゃんが望めばホイホイと何でも言う事を聞きそうではあったけれど。
「ただこの事で奴に余計に貸しを作っておけりゃあ、あっちとの太いパイプが作れる訳で、それはそれで有用だと思うんだがな」
「ねぇ犬上くん、その竜脈を渡るスキルって一角獣固有のものなの?」
何か気になったのか玲ちゃんが質問に加わった。
「いいや、神格の高い幻獣なら割とメジャーな技能だぜ、例えば格の高い竜種だって可能だぞ、というかこの手の竜脈を使ったショートカットは古来『竜の道』と呼ばれているくらいだしな。あとは上位妖精族やらエルダートレントなんかは竜脈の扱いに長けた種族だから、その手の術はお手の物だろうな・・・まぁそもそもどっちも滅多に自分達の領土から出てこねーが・・」
「そうなのね・・・・」
「ん?何か気になるのか」
「うん、それなら例の小白竜って人も出来るのかなって」
「「あっ・・・・」」
「もしそれが出来るなら・・・」
「その気になりゃどこへでも突如あらわれて、好き勝手暴れる事が出来ちまうかもな」
小白竜と呼ばれるゼンモン持ちの女の子の話は、羽依が積極的に聞きたがり雷神の勇者に根掘り葉掘り質問を繰り返していた。そのおかげで僕達もそのとんでもなさは理解している、そんな子が自由に転移しながら攻勢をかけたら一体どれだけの被害が出るのか。
「三藏郷自治区の解放位はまだ手始めでしか無いのかも知れないね・・・」
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AMI歴12年6月2日
アメリア合衆国 NSB(連邦捜査局国家公安部) 内 対新人類作戦室
ミハイル・カースティン
「室長、只今日本より帰還いたしました」
「うむご苦労だったな、任務の途中で急に呼び戻す事になり、君も困惑した事だろう」
急な帰還命令により日本を引き上げる事になり、正直私も戸惑いを隠せなかった。
「いいえ、日本では結局ミズ奏のスカウトには失敗してしまいましたし」
「そうだな、しかし彼女達とそれなりに友好関係が結べたのは成果だろう、場合によっては協力を要請する事も出来るだろうしな。彼女達はその後DMCを含む央華連邦軍の襲撃にあったが、見事これを撃退したらしいな」
「配信された動画なら私も拝見しました、想像以上の手並みで一方的な戦果だったようですね」
「央華連邦軍は今後三藏郷戦線と国内の問題に掛かりっきりになると予測される、今まで好き勝手されていた周辺諸国の今後の動向も興味深い、各地で国境正常化の動きもあるようだし今後の央華連邦の動向も大いに気になる所だが、そろそろ本題に入ろうか」
「はっ」
「事の起こりは先月17日、七つの月の欠片達の落下点、ポイントゼロ近郊に紛れ込んだハンターが緑色の肌をした子供のような体格の謎の生物と遭遇、手にした刃物を振り回して襲い掛かってきたので所持していた猟銃でこれを射撃、散弾を浴びせ重傷を負わせたはずだが血まみれになりながら再び襲い掛かって来たため、銃で応戦しつつ車にて逃走したと」
謎の生物?
「幸い彼らは全員無傷だったが、手斧のような刃物で斬りかかられて車の窓ガラスが破損したとか。まぁ立ち入り禁止されている区域に不法侵入した挙句の自業自得ではあるが」
「彼らからの通報を受けた市警から軍へ報告があがり、軍の調査隊が現場周辺の調査を開始、ほどなく報告にあった謎の生物群と遭遇、やはり襲われたのでこれを交戦の末撃破した」
「すべて殺害したのですか?」
「あぁ、倒した謎の生物の死骸をDMCに確認させた所、この生命体は彼らの前世の世界で一般的な亜人種である所の『ゴブリン』である事が確認された」
「『ゴブリン』・・・異世界のモンスターがステイツに現れたのですか!?」
「翌18日、魔力探知に長けたDMCの協力を仰ぎ、ゴブリンの出現場所をつきとめようと探索を進めた所、未登録の・・・以前は存在しなかったはずの洞窟を発見、調査の為に未知の洞窟へ進入した所、何人もの隊員に異変が生じた、突如幻覚や幻痛に囚われだしたのだ」
「存在しなかった洞窟に謎の幻覚症状ですか・・・」
ポイントゼロ付近に洞窟・・・はて、以前どこかで聞いた話のような・・・?
「更に言うとその洞窟内には、地球上ではありえない程の魔力が充満していたと言うのだ」
「!?それは・・・・・」
「捜査に協力していたDMCが洞窟内で種族的技能を試した所、前世と遜色ないレベルで使用が出来たそうだ、隊員の陥った幻覚症状も合わせ彼はその洞窟が前世の世界でダンジョンと呼ばれていた存在であると確信したという事だ」
「ダンジョン・・・・ですか?」
「なんでも幻覚や幻痛はダンジョンショックと呼ばれる特有の症状だそうだ、重度の幻覚が収まらない隊員は外へ退避させ、症状が軽微だった者のみで探査を続行、そしてダンジョン内でゴブリンと遭遇し戦闘を開始したのだが、そこでは外での戦闘のように銃撃での効果が見られなかったと言う、装甲でも身に着けているかのように銃撃が弾かれてしまったと」
「その、先ほどまで有効だった銃撃がダンジョン内では無効化されたというのですか?」
「そういう事らしいな、接敵したゴブリンは同伴していたDMCがスキルを駆使して退治したという事だ」
「急に銃撃が通用しなくなったとはどういう事なのでしょう?」
「同伴していたDMC曰く、ダンジョンには魔力が満ちているのだから、その魔力で肉体が強化されていれば魔力が込められていない一般的な地球の銃火器程度の威力では効果が見込めないだろうと言う事だ」
「それでは・・・・」
「あぁ・・・ダンジョン内では我々の武装、少なくとも個人が携行出来る銃火器程度では無力化されてしまうらしい・・・まぁAMRやロケットランチャー辺りを持ち込んだ場合通用するかも不明だがどの道ダンジョン内での運用は現実的ではないな、ダンジョンを探索する為にはDMCによるチームを結成する必要があるだろうと結論付けた」
「DMCによる本格的なダンジョン探索をお考えなのですか?ダンジョンには何があると言うのです?」
「ダンジョン内に魔力が満ちている事は先ほど述べたが、何でもダンジョン内では幽界と現界の境界が曖昧になり、幽界の住人がダンジョンを通じて現界化しやすいと言う事だ、ゴブリンもそうやって現界化した者達だろうと言う事で、他にも多くのモンスターがダンジョン内で現界化している可能性が高いとな、場合によってはゴブリンのようにダンジョンから地上へ出て来る事も有り得ると・・・魔力が希薄な地上世界に強力モンスターが好んで出て来る可能性は低いと言う事だが、魔力が低い低級のモンスターであれば、ゴブリンのように食糧を求めて地上に出て来る事も考えられると言う話だ」
「それは、看過出来ない事態ですね・・・」
「うむ、またそのダンジョンはまだ地球に完全に定着している訳では無いとの事だ」
「それは又どういう意味ですか?」
「なんでもそれだけの魔力があるなら、竜脈を通じて周辺の土地に膨大な魔力が流れ込んでいなければおかしいと言う事だが・・・」
「ダンジョン周辺の土地の魔力には変化が無かったと・・?」
「僅かに魔力が多くなってはいたそうだが、地球上に存在する竜脈源と同レベルに過ぎなかったという話だ」
「では、仮にそのダンジョンが地球に定着したら、地球上の魔力量が跳ね上がってしまうと言う事なのでしょうか・・・」
「そのダンジョン近辺の土地の魔力量は確実に増えるだろうと言う事だ・・・そして時間が経てばその魔力にはより広範囲へと広がるだろうと」
「そうであるならば・・・ひょっとして三藏郷には既に定着したダンジョンが存在しているのではありませんか?件の小白竜の魔力の源はダンジョンなのでは・・」
「そうかもしれんが現段階ではまだ断定は出来ん、そしてまだこの話には続きがある、一旦撤収した探索隊をDMCを中心とした人材で再編成し、明くる21日に再びダンジョン探索を行うべく現地に到着した所、そこに存在していたダンジョンが忽然と消え去っていたと言うのだ」
「消えた・・・?」
「あぁ、定着してないと言う事は、そういう事態も起こるものらしい」
「どこかへ移動したという事なのですか?」
「いや、そうではないと、地球上での座標としてはダンジョンの位置は変化していないが、一時的に現界化が解かれ幽世の存在となっているという事だった」
「現実世界から消えたと言う事ですか」
「うむ、月齢の影響による魔力量の変化で、入口が出現したり消えたりするらしいと言う事だった」
「それはなんとも・・・幻想的なお話ですね」
「全く頭を抱えたくなるような事ばかりだよ、満月の前後数日間だけ地上に姿を現すだろうと言う事だ」
「しかしどうして地球上に突然そんなダンジョンなんて物が現れたのでしょうか・・・その、異世界ではダンジョンとはどのような存在なんでしょう?」
「とあるDMCから聞いた話によると、ダンジョンの起源には諸説あるそうだ。そんな中であくまで確証の無い噂レベルの話だと言う前提で聞いて欲しいとの事だが、極めて霊格の高いモンスター、神代に属する神獣や魔獣などの強大なモンスターの死後、死骸が正しく埋葬される事無く放置されていると、その死骸を苗床としてダンジョンが自然発生するという説があったそうだよ・・・」
「霊格の高いモンスターですか・・」
「そしてそれには神代の竜も含まれると言う事だ」
「!?それではやはり今回の事もムーンインパクトで地上に堕ちた七つの月の欠片達が原因と言う事ですか・・」
「DMCから聞いた情報が正しいとするのならば、可能性は高かろう・・・・」
「しかし・・・危ないところでしたね」
「何がだね?」
「タイミング次第では、ダンジョンに潜っている最中に入口が消えていた場合もあり得たでしょうし」
「なるほど・・・もしそうなったらダンジョンに進入した者達はどうなるのだろうな?」
「閉じ込められるのか、別の場所へ飛ばされるのか、好んでそのような体験をしたがる者もいないでしょうけれど」
「ふむん今度はその辺りも聞いておこう、それで今回君を呼び戻した理由だが・・」
その瞬間、途轍もなく嫌な予感が私を捉えた。
「まさか・・・今度は私にそのダンジョン探索の指揮を取れと?」
恐る恐る私が問いかけると、室長はにこやかに頷いた。
「察しが良くて助かるよ、ついては早速だが捜査メンバーの選定に当たってくれたまえ」
予感通りの言葉を聞かされ、軽く眩暈に襲われた。
帰国して早々これか、本当に勘弁してくれ・・・
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その夜久しぶりに帰国を果たした私は、市内の高級ホテルを予約して恋人とのしばらくぶりの逢瀬を楽しんでいた。
「ミハエルこのお香は何?あなたの趣味じゃないみたいだけど」
「日本で手に入れた物さ、何故か妙に気に入ってしまってね」
「エキゾチックで不思議な香りね・・・ふふふ、あなたと嗅いでいると何だか妙な気分になってくるみたい、何か妖しい成分が混ざっているのでは無いでしょうね?」
「ふむん、入国検査では何も言われなかったがな」
雰囲気作りと言う分けでも無かったが、日本で手に入れたお香を焚くと、不思議と淫らな雰囲気が漂い、久しぶりだったと事も有りいつも以上に二人で盛り上がってしまった。
そのおかげか精魂使い果たした行為の後、私は彼女と抱き合ったまま深い夢の世界へと墜ちて行った。
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夢だ・・・
これはいつも見る夢の中、いつも通りの場所・・・
夢の中の私は、先日この香を嗅いだ場所、砂金神社の一室にいた。
「ハイ!ミハエル」
目を見張るような美しいブロンドの美女がそこにはいた。
言っては何だが現在の恋人より遥かに魅力的で美しい女性だ、スタイルも顔の良さや蠱惑的な表情と何処をとっても素晴らしい、女神と見紛うばかりの素晴らしい女性だ。
「あぁ、君か・・」
「急な呼び出しで帰ってしまって寂しいわ、本国では一体何が起こっていたの?」
「いやぁ七つの月の欠片達の落下点、Xポイントの近辺でゴブリンが出現してね、調査したらなんとビックリダンジョンまで見つかったって話さ!」
「へーなるほど、詳しく教えて貰えるかしら?」
「あぁ、ダーリン勿論だとも・・」
私は夢の中の彼女といつものように会話を楽しんだ、私の人生の中でこんなにも一人の女性に夢中になった事は無い・・・・まさしく夢のような時間だ
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AMI歴12年6月3日 秋月家
秋月羽依
うーん、もうアメリアでダンジョンが発見されたかぁ・・・三藏郷にも既にあるのは確実だろうしなぁ、と言うか小白竜があれだけの魔力を使っているのは確実にダンジョンとパスが繋がっているからよねぇ。
もうムーンインパクトから10年以上は経つもの、白銀楼でもダンジョンが現界化してて不思議は無いのだけど。
どうしてここまで探してるのに白銀楼のダンジョンを発見する事が出来ないのかしら・・・
まさかもう既に誰かがダンジョンを発見した上で、魔力を独占する為に隠蔽しているとか・・・考えたく無いけどあり得そうな話よね。
「もしダンジョンを隠蔽してる奴がいて、そいつがダンジョンコアまで手に入れてしまったら最悪だわ・・・」
もしもそんな奴がいたとしたら、お姫様にとって最悪の相手になってしまう。
同格の6人以外にお姫様の敵となり得る存在など居ないと高を括っていたけれど、私達に先んじてダンジョンコアを手に入れたダンジョンマスターが現れるとなっては話が変わって来る。
そんな存在ともし敵対する事になれば精密な魔力の制御がおぼつかない現状のお姫様一人では敵わない・・・
「うん、もしもの時の為に、やっぱり伊織ちゃんはもう少しビシバシ鍛えておく必要があるわね!」
砂金神社での戦いでは、概ね望み通りの結末を迎える事が出来た。
央華連邦のゼンモン持ちは全員生け捕りにして、念入りにマーキングを施しておいた。
これで以降はゼンモン持ち達の夢を通じ、央華連邦内の動きも掴むことが出来るだろう。
七賢人を脅し無茶な中継を敢行させてまで一般兵を退去させる事に成功した。
敵指令に暗示をかけておいたお陰で、ゼンモン持ちだけの無謀な攻撃を仕掛けさせる事が出来たのは我ながら上出来だ。
おかげで伊織ちゃんにも適度な実戦経験を踏ませる事が出来たし、五十棲さんの能力の一端も把握出来た。
幸いママとおじ様がやっと再婚する気になってくれたし、これからは二人の愛の営みから私も少し精力≒魔力を分けて貰いやすくなるハズだ。
情報収集の為に糸を広げ過ぎたおかげで魔力消費が大変だけど、何とか情報網を維持する事は出来るだろう。
宮代流の達人で幽体が鍛えられまくったおじ様の精力なら、私の魔力源として申し分無い量が見込めるハズ。
生前のパパは正直淡泊過ぎて私の魔力源としては今一だったからねぇ・・・ママ程の美人が相手なら、男ならもっと毎晩励んで然るべきハズでしょうに!
その点おじ様は奥様を亡くされてから格闘技一筋で十年間完全に男やもめで女っ気皆無だったみたいだし、これはもう溜まりに溜まった分、これから毎晩凄い事になるに違いない!!今から期待が膨らむわ!!元々好き合っていたのに色々なしがらみで気持ちを押しとどめていた二人だもの。
ついでに伊織ちゃんの性教育の為の教材にもなったら一石二鳥だわね、男の子になる日も近そうだしもうそろそろ伊織ちゃんも大人の階段を昇っていい頃でしょう。
勿論伊織ちゃんの色々な初めては全てお姫様のものだけれども、少々おこぼれにあずかる位なら許してくれるでしょう!
後は風香ちゃんをどうするかだなー・・・もうちょっと何とかして女としての自信を付けさせてあげたい、前世に受けた恩はちゃんと返さないとだしねー!
こう見えて私は結構律儀なのだ。
あれ?1万文字近くにまでなってるぞ、そして後日譚というか閑話があと1話必要になっちゃいました。
ちょっと明日は難しいかな、2,3日以内に最後アップして2章完結予定です。
そしたら用語集と人物紹介を上げて3章を仕上げるまでは一旦投稿をお休みかなー
今回読んだら分かるかも知れませんが、3章ではダンジョンがピックアップされる予定です。
ここまで当作品をお読みいただきありがとうございます!
この作品を読んで少しでも
『楽しい』『続きが気になる』『この伏線ちゃんと回収されるの?』
などと思って頂けたのでしたら、感想やブックマークをお何卒よろしくお願い致します。
ページ下の評価システム【☆☆☆☆☆】をご活用いただければと思います。
ご評価頂けますと作者の励みになり、モチベーションの持続にも繋がりますので、
何卒どうかよろしくお願いいたします!




