029 砂金神社攻防戦Ⅳ
0時頃に次話もあげる予定です、よろしくお願いします。
AMI歴12年6月1日 砂金神社境内 右側面
宮代伊織
ろくな灯りも無い神社側面脇に陣取った僕と羽依は、来るべき敵の襲来を待ち構えていた。
ここは正面入り口から見たら右側側面になり一つ側道へ出る出入口がある、その右側出口から神社を出て左に向かうと少し下った場所に駐車場があり、その場所は唯一神社近くまで車道が通っている場所になっている。
反対側の左側面は、神社の敷地のすぐ外が勾配のきつい傾斜地になっていて、竹藪が密集しており、とても人が通れるような環境では無い。竹藪の切れ間からは街並みが見下ろせるので、夜には綺麗な夜景を見る事も出来るのだ。
しかしこちら右側面からは夜景は見えない、代わりに光害も少ないので星空を堪能するには良いと言えるかも知れない。元々は外灯が一つあったのだけど、灯りが切れてから取り換えていないらしく、中央の参道付近と比べるとここは著しく光量が少ないのだ。
「ねぇ伊織ちゃん?」
「なぁに羽依?」
「私も正面の方に行っていいかな?」
「え?駄目だよ勝手に任された場所を動いたら」
「うーん、ここは伊織ちゃん一人いれば十分だよー」
「いやいやいや、僕だって何してくるか分からない初見のゼンモン持ちを何人も一人で相手するの嫌だよ」
「正直前に戦った阿波根と比べたら全然雑魚だと思うよ?奏ちゃんの結界の効果もあるし」
確かに、宮代神社内は普段から清涼な『気』が溢れていて、錬気するのに大分楽な場所だったけど、奏ちゃんが結界を敷たと言ってからこっち、今まで以上の『気』を感じられるようになった。
「仮にも助っ人として来てくれた年上の相手を呼び捨てはどうかと思うよ?大体なんで正面に行きたがるのさ?あっちの方が敵が多いから?」
自分で言っておいてなんだが、羽依はそんなキャラじゃ無いよなぁ。
「勿論!勇者VS勇者因縁の対決を録画する為に決まってるじゃん!!」
「・・・あー・・・・」
襲い来る疲労感と共に吐き出すような納得の言葉が僕の口から洩れた。
「なによー?その『あー』は!」
「でもそれじゃ行っても無駄じゃない?」
「なんで?」
「だって雷神の勇者の相手は、助っ人の阿波根さんがするって言ってたよ?」
「えー?なんでぇ!?」
「なんでって・・・そもそもそれが阿波根さんが手助けしてくれる理由らしいし」
「駄目よそんなの!雷神の勇者と阿波根が戦ってる姿なんて録画しても、どっちが悪者か分からないじゃない!!」
だから呼び捨てー!更にそれって阿波根さんが悪者顔してるって事だよね・・・失礼な乳妹だな本当に・・・
「はー、大人しくここで敵を待たなきゃダメだよ?」
「萎えるわー・・・そうだ、じゃあお姉ちゃんも居ない事だし、せめて伊織ちゃん私とイチャイチャしようっ!!」
「いや、玲ちゃんの視力ならきっと御神木の上からだってここ見えてるからね・・・」
「いいじゃーん!見えているけど手を出せない場所にいる今こそ見せつけるチャンス!」
それ下手したら奏ちゃんの考えた配置を無視して玲ちゃんが飛んで来るよ。
「もう羽依!ふざけないの!!」
「ちぇーっ・・・」
さすがにちょっと本気で怒ってみたよ。冗談だとは思うけど、こんな時くらい真面目にしてほしいよ全く。
ホーゥホーゥ
そんなやり取りをしていたら、警戒を促すようなフクロウの鳴き声が響いた。
「来たかな」
「じゃあせめて伊織ちゃんの活躍を録画するよー」
いや、羽依も手伝ってよ!!そもそもこの暗がりで録画なんて出来るのかね
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AMI歴12年6月1日 砂金神社境内 裏手
犬上亮人
裏手の森の側で、俺と五十棲の二人は襲撃者を警戒している。
正直なんでこいつと・・・と思わなくも無いが、伊織や秋月妹と比べたら俺とコイツを組ませるのが順当かも知れんが。でもなぁ、正直こいつと共闘しろとか言われてもなぁ。
「お前さぁ前世では馬のくせして本気でアイツに懸想してたわけ?」
「誰が馬だ、気高き一角獣を馬と一緒にするなっクソ犬!!」
「はぁ?一緒だろうがそんなモン・・・ったく獣の分際で」
「獣はお前もだろうっ!!!て言うか前世でのお前の所業こそ獣の名に相応しいだろうがっ!!」
なんだろうね、奏に同じような事を言われても何とも思わないが、コイツだとムカツクなぁ。
「僕は・・・・前世ではただ彼女の幸せを願っていただけだ・・・」
幸せねぇ・・・
「そう言う君こそ、前世で散々戦っていた彼女に対して今は恋しているとでも言うつもりなのかい?」
「あぁ、俺ぁ奏の事が好きだぜ」
「彼女の事を散々苦しめておいて・・よくもまあそんな事が言えるものだ、全くもって図々しい奴だな・・」
「はぁ?前世は前世、今は今だろ」
「その理屈だけで前世に虐げられた側の感情が収まる訳ないだろう・・・」
「別に俺が一方的に攻め立ててた訳じゃねーだろうが、戦争だったんだからお互い様だ」
「ハッお互い様だから水に流しましょうとでも?正気とは思えないな」
「だからっていつまでも過去に拘ってたってしょうがねーだろうがよ・・」
「過去に拘るか・・・・何で僕等は・・・こんな過去のしがらみを背負ったままこの世界に生まれたんだろうな・・・」
「俺に言えることは、ここで今そんな事を幾ら考えたって正しい答えに辿り着く事なんて無いって事くらいだな」
「まったく・・・君と言う男は・・・」
「ただよ、今の会話で一つ分かった事があるぜ」
「何だい」
「お前はアイツの事をかつての相棒である月の森の妖精族、フィルレーンだと思っている。俺はアイツの事は幼馴染の砂金奏だと思っている、そう言う事だ」
「それは・・・・でもそれはどちらも彼女だろう?」
「そうかな?・・後はそうだな・・・アイツ自身が自分の事をどちらだと思うかだな・・・」
その言葉を最後に俺達は黙り込み、それぞれの思考の迷宮に囚われていた。
ホーゥホーゥ
夜の帳の中、虫の音とフクロウの鳴き声だけが静かに響いていたその時、後方の御神木に立つ乙女より夜の静寂を切り裂く嚆矢が放たれた。
ヴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゥ
「何っ!?」
「破魔の鏑矢だ」
奏が放ったであろう鏑矢が独特の鈍い音を響かせながら森へ抜けると、何かが破られたような衝撃と共に、森の中からこちらへ向かって来る男一人と女二人の三人組の姿が急に顕わになった。
「ちっ!風下から来てたか」
「この距離まで気付かないとは我ながらふがいない、奏が今の破魔矢で隠蔽スキルを打ち破ってくれたのか・・・」
神社裏手の森の中を、風下まで回り込んだ上で隠蔽スキルに身を隠し、こちらに急襲をかけようとしていたらしい。朔日のせいか、どうも俺の勘も鈍っていたようだ。
まぁいい、この失態はお前らを叩きのめす事で濯がせて貰おうか!
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AMI歴12年6月1日 砂金神社境内 右側面
宮代伊織
側面から侵入しようとしてきたのは三人の男、僕は相手に女子が居ない事にホッとしていた。さすがに本気で女子と戦うのには抵抗があるからね。え、毎日玲ちゃんと戦っているだろうって?稽古と実戦じゃ全然違うし・・・本人には言えないけれど、そもそも玲ちゃんを普通に女子扱いするのって無理が無い?そりゃ見た目は誰よりも綺麗だけどさ。
それはそうと、三人とも右手に剣を握っているのがとても物騒だ。
カメラを構えて突っ立ったままの羽依をその場に残し、僕は出来るだけ気配を殺して石灯籠の影に身を伏せる。やがて塀を飛び越えて侵入して来た男が、暗がりにたたずむ羽依の姿を見てその場に身構えるそぶりを見せたので、僕は剣を持たない左側面から奇襲をかける事にした。
縮地を使って滑るように一番手前の相手に接近すると、ようやく僕の存在に気が付いた相手が慌てた様子で向きを変えようとする。
ん?
僕が襲おうとした相手の『気』が妙な動きを見せる。
体外に集まった気が、触手のように僕の方へ伸びて来るのを感じ、僕は柔の気を練った手刀でその触手を打ち払いつつ相手の懐へ潜りこんだ。
先ほどのは驚いた表情はこちらの油断を誘う演技だったのかな?先ほどより本格的に狼狽している男の水下に剛の気を込めた掌底を叩き込み、崩れそうになった男の腕を極め剣を取り落とさせた。
打撃を受け脱力した男の腕を取って、少し離れた場所からこちらに何か仕掛けようとしている二番目に近い男に向かって投げ飛ばした。
投げ飛ばした男を隠れ蓑にしながら接近し、投げた男がぶつかってもつれた瞬間に二番目の男に足払いを仕掛ける。
もつれた状態で足払いを受けて重なるように倒れた男達に対し、剛の気を込めた蹴りを肝臓に向けて叩きこんだところで、少し離れていた三人目が猛烈なダッシュとともに大振りの剣を横なぎに振り回してきた。
「ちょっ、羽依一人くらい相手しといてよっ!!」
「伊織ちゃんガンバレー!」
今一やる気の感じられない声援を送りながら、本当に僕の戦いを録画する事に専念している羽依。本気だったのか乳妹よ・・・
しかし、やっぱり真剣相手は想像以上に怖いぞ・・・宮代流の型の練習でも、刀相手の型はそんなに熱心にやってこなかったしなぁ、まさか実戦で刀相手の立ち回りが必要になる事があるなんて思ってもみなかったよ。
僕は剣を振るう男相手に後退を続ける、男の背後では転倒していた二人も立ち上がりつつある、水下と肝臓を撃ち抜いたおかげでまだダメージから回復出来てないようだけど、三人同時に相手するのはさすがに勘弁願いたい。
男は基本的に僕との間合いを保ったまま、無理せず淡々と一方的に斬り付けられる状況を堅持しつつこちらを追いつめてくる。
一人で無理攻めはしないで、仲間の回復をまって有利な状況を作って本格的な攻勢に出る算段なんだろうか。落ち着いていて嫌な感じだ。
稀に剛の気の発動を感じるけど、阿波根さんとは威力的には比べ物にならないかな。
でもってこっちも回避行動を何回か繰り返すにつれ、剣の間合いは大体掴めたぞ。とは言え隙を少なくし絶え間無く繰り出される斬撃を前に近付く事すら出来ず、このままではせっかくダメージを与えた二人の戦線復帰を許してしまう。
内心少し焦れながら後退を続けると、最初に身を隠した石灯籠がすぐ背後まで近付いて来た事を悟る。
これを使えばいけるかな?
宮代流「鏡花水月」の応用で、気で練り上げた分身をその場に残して僕本体は後ろへ下がると、男は気配だけの僕を切りつけようとして空振りをし、思惑通り石灯籠を強く剣で打ち据える結果となった。
ガキンッ
「!?」
石灯籠を斬りつけた衝撃で一瞬動きが止まった男に対しチャンスと見た僕は、すかさず両手に用意した指弾を顔と拳めがけて放った。
ビッ
ゴツッ
「が!?」
気を込めて左右の親指で弾かれたパチンコ玉は、狙いたがわず男の眉間と剣を握る拳に命中した。
石灯籠を斬りつけた衝撃で、剣を握る手に痺れが走っている状態で、突然額と拳にパチンコ玉を受けた男が怯んだ隙に、縮地を使って間合いを詰めると。剣を持った男の腕を握って捻り、剣を奪いながら四方投げを決める。追い打ちをかけようとしたところで、立ち直った二人目の男の周辺に気が集まるのを感じた。
「やばっ」
慌てて投げた男から離れて勘に任せて回避行動をとると、一瞬前まで立っていた場所を何かが通過していくのを感じた。今のは何だろう?
離れた隙に剣を奪った男も再び立ち上がって来たし、最初の奴もダメージから大分回復してるっぽい、うーん細かくダメージは与えているけどどうにも倒し切れないぞ。二人から剣を奪っただけ状況は少し好転してるかなー?
「伊織ちゃん一人の時の『気』のレベルで戦ってるけど、今この結界内でなら一人でもいつもより『気』が練れるはずだよ」
羽依に言われて自覚する、いつもの側に居る玲ちゃんと一緒に気を交換しながら錬気する時と比べ、僕一人だけで錬気すると気の質と量が大分劣った状態になってしまう。
その為一人だけで錬気している時は普段よりも消費する気の量を減らした低燃費モードとでも言うべき状態を維持する癖が身についていた。
「なるほど」
改めて錬気のレベルを一人の時と比べて一段階高めるために深呼吸。
最初に投げた男が何事か声をあげて羽依の方を指さしている。
幸いやや離れた所からカメラを向ける羽依の存在が改めてフューチャーされたようで、敵も羽依の事を警戒し始めているみたい。チラチラと羽依を気にする素振りを見せている。
互いに警戒を強めた睨み合いが続く中、おかげで僕はゆっくりと調息を終え気を練る事が出来た。
間が必要だったのは相手も同様だったのか、羽依の方を見ていた二番目の男に気が集まるのを感じる、さっきの何か飛ばしてきたスキルを今度は羽依に向けて放つつもりか!?
「羽依っ!」
「ほい」
僕の声と二番目の男のスキル発動が重なり、カメラを構えたままの羽依が横へ回避した。
警告するまでも無く、羽依もスキルには気付いているか、カメラを構えたままの姿には余裕が感じられる。
男のスキルはどうも尾てい骨の辺りから伸びた気の先から放たれているように見える、肉体的には何も無いのだけど、奏ちゃんが言う所の『気』で出来た身体、『幽体』とか言うもう一つの身体に尾が生えているって事なのかな?
さて、今僕の手の中には敵から奪った剣が握られている、宮代流では刀術他武芸十般の棒や槍などの基礎的な扱いは習うのだが、刀を握った経験はあっても央華連邦式の剣はさすがに扱った事が無い。
無いんだけど・・・不思議な事に僕は剣を握ると自然に構える事が出来て、気が付くと練り上げた気を自然と剣に込めていた、それは完全に無意識の内の行動だった。
今なら、何でも斬れる気がする・・・・・けど
うん、峰打ちにしておこう。
「あっ」
握った剣の感触を馴染ませていると、ダメージから回復してないように見えた一人目の男の方へ、最初に奪って地面へ放り投げていた剣が空中を浮かび戻ってゆく。
最初にこちらに伸ばしてきた触手のような気を剣まで伸ばして引き寄せている?まるでそれは伸ばす事の出来る不可視の3本目の腕だな。
「亮人くんが言ってたいつの間にか銃が奪われていたって、これのせいなのかな?」
「何か見覚えがある気がしたけど、そう言えば前に亮人っちと一緒に戦って私が投げ飛ばした男だね」
そう言う事は先に言おうよ。
今更だけど区別を付けづらいので、これから仮に最初に投げ飛ばした男を「腕男」、見えない尻尾から何か飛ばしている男を「尾男」、剣を奪った男を「剣無し」と呼称する事にしよう。
尾男は多分遠隔攻撃にはそれなりの溜めが必要なようだし、羽依を警戒しているので一旦は後回しにしよう。
僕は完全に気を練り終えたところで剣を奪い返そうと突っ込んできた剣無しを迎え撃つ。その背後から腕男が例の腕に剣を持たせて、僕の死角となる剣無しの背後に伸ばしてきてるのを感じる。剣無しを隠れ蓑にした不意打ちのつもりなんだろうけど、残念だけど僕には気の動きでバレバレなんだよねぇ。
防御の為の柔の気を練りつつ、剛の気をこめた剣を剣無しに振るう。剣無しは剛の気で防御する気のようだけど、そんな貧弱な気では僕程度の剛気すら受け止められないと思うよ。
剣を振るった瞬間、剣男の頭上から腕男の見えざる手に握られた剣が僕に襲い掛かる。
しかし予測されたその攻撃は予め練っていた柔の気を込めた左手で受け流しつつ、剣無しを防御ごと剛の気を込めた峰打ちで強打した。
正直柔剛の気を同時に扱うのはかなり難しいのだけど、何とかいけたかな。
「ぐっ」
僕の剣による攻撃を腕で受けきれず峰打ちを胴体に受けたダメージでその場に崩れ落ちる剣無し、倒れた後はかすかに痙攣するのみだ。
すかさず僕は返す刀で腕男の見えざる手を今度は剣の刃の方を使って切り上げた。
みえざる手は僕の気を受けた剣に分断され、剣を握っていた気の塊は霧散して、その場に握っていた剣だけが落ちる。
「があぁぁ!?」
あれ?見えない手にも痛覚があるの?悪い事しちゃったかな。
そうは思いつつ苦痛に悶える腕男に対しても縮地で間合いを詰め剛の気を込めた剣で肩を峰打ちする。
「!!」
強打を受け前のめりに倒れた腕男は、そのままピクリとも動かない。
あと一人。
残った尾男は仲間二人が瞬時に無力化されたのを見ると、羽依に向けていた尾を僕に向けて例の遠距離攻撃を放ってくる。
気配を察していた僕は横っ飛びにその攻撃を躱すと、その隙に尾男は向きを変えて一目散に逃走をはじめた。
「「あっ」」
一人で逃走に入るとは予想してなかった僕等は虚をつかれ、全力で走り去る尾男に一瞬で距離を開けられてしまう。
「逃げられちゃったねー」
のんきな事を言っている羽依をおいて、疾く縮地を発動しておっとり刀で追いかけるけど、このままでは多分本当に逃げられてしまう。追いながら指弾で足を撃っても有効打になるかは微妙な距離だ。
そう思った僕の脳裏に、奏ちゃんから渡されていた植物の種の事が思い浮かんだ。
「使ってみるか」
走りながら種を取り出し右手親指にセット、狙いを定めて尾男の背中に向かって指弾を放つ。
僕の気が込められた植物の種は、空中でその内に宿した命の萌芽を種火へと変え男の背中に着弾。
すると瞬間的に男の全身を鮮やかな炎が包み込んだ。
「ぐわあぁっ!!」
暗闇に包まれていた神社の側道は、一瞬まばゆい炎に照らし出される。
炎につつまれた男は驚きと瞬間的な熱さからパニックに陥り転倒する。男が地面に転がると嘘のように炎は消え去り煙すら立たない、炎と転倒の衝撃から男が立ち直れていない間に追いつくと、そのまま顔面を蹴り飛ばした。気を込めて人中を貫いた僕の蹴りを受け、尾男もそのまま気を失う。
なんでも奏ちゃんから貰ったこの種は御神木の実らしい、奏ちゃんの呪いを受け種が持つ生命力を瞬間的に炎の精霊に捧げて一瞬だけ燃え盛る炎を生み出すそうです。
それも物理的な熱量と言うより幽体へのダメージを与える炎だから物を燃やす力はそんなに強く無くて代わりに幽体への特効があるらしい、つまり肉体を持たないアンデッドにも有効だとか説明されてもなんだかなぁだったけども、まぁ効果は御覧の通りでしたね。
「これからどうするの?」
一応僕の後を追いかけてきていた羽依に問われる。
「とりあえず男をふん縛ってるから玲ちゃんに連絡とってみて」
「はーい」
携帯を取り出す羽依を横目に、僕は気絶した男を後ろ手に縛りあげるのだった。
振り返ってみると、側面からの奇襲で機先を制する事が出来たので、戦闘は終始優位に運べてたと思うけど。試合みたいな形で正面から同時に三人を相手取っていたら、初見でスキルの連携を受けてあっけなく倒されていた可能性が高かったんじゃ無いかねこれ、怖いなぁ。
いや、羽依が素直に手伝ってくれていればそうでも無いか・・・
「しかし逃げる相手を後ろから襲って燃やすなんて、伊織ちゃんも割と鬼畜の所業だよね」
録画しているだけのお前が言うか・・・
あとやっぱり武器を持った相手に素手は厳しいね、次があれば大人しく最初から武装しておこう。
使ってみて奏ちゃんの種火の有用性も分かったし、次からは牽制としてこれも積極的に活用していこう。
と、そこまで考えてナチュラルに次に戦う時の事を考えている自分に戦慄を覚えた。
あれ、僕ってこんなに好戦的だったかなぁ・・・
久しぶりに主人公のアクションシーンです!って・・・よく考えたら2章に入ってから一度も主人公のアクションシーンて無かった・・・?あ、お父ちゃんに襲われるシーン(?)があった!良かった良かった(良くねぇよ!!
ここまで当作品をお読みいただきありがとうございます!
この作品を読んで少しでも
『楽しい』『続きが気になる』『この伏線ちゃんと回収されるの?』
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