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020 勇者ときどき忍者

AMI歴12年5月15日 砂金神社 砂金家居間

宮代伊織


監視員をおっぱらうと意気込んで飛び出して行った亮人くんに。


「私もいく~!」


と何故か羽依がついて行ってしまった。


「えぇ?羽依まで付いて行くの!?」


「ご安心を師匠!僕がフォローしますよ」


そう言うと今度は(はじめ)くんまで飛び出して行ってしまった。

正直(はじめ)くんのフォローと聞いてもあまり安心は出来ないなぁ。(失礼)


亮人くんが監視員の一人とひと悶着起こすと、相手はそのまま逃走してしまったようだ。


社務所の中から遠巻きに見ていただけなので詳細は分からないけど、ストーカーがどうとか騒いているようだった。確かに行動はストーカーだけど、変質者では無く職業的ストーカーなんだけどなとか思ったが、全然気の毒に思うような事でも無かったしより質が悪かったね。


「うん、犬上くんのおかげで央華連邦の監視員は全員ここから離れていったみたい」


「本当?良かったー」


「でもってそのまま今度は逆に追跡をはじめたみたいだね、大丈夫なのかなぁ?」


「僕も加勢したい所だが、土地勘も無いしここは大人しくさせて貰おう」


「まぁ十五日(まんげつ)の亮人を傷つけられる相手なんてそうそう居ないでしょうから大丈夫よきっと」


「狼男には銀の武器しか効かないとかだったっけ?転生後の身体でもそれって有効なの?」


「あの馬鹿、前に自傷実験してみたらしいわよ・・曰く普通の日はナイフで切ったら普通に指から血が出たけど、十五日前後はナイフじゃ指は切れなかったって言ってたわ」


「うへぇ、自分で指を切るとか嫌だ嫌だ・・・」


「そう言えば五十棲さんは種族的技能(ネイティブスキル)を何か使えるの?」


「ふっ、我が姫の望みとあらば僕は何だってしてみせるよ!」


「いや、そーゆーのはいいですから」


奏ちゃんは真顔だ。


「貴女が負った傷ならば、どのような傷であろうとたちどころに癒してあげよう」


一角獣(ユニコーン)の角が無くても回復技能(ヒール)が使えるの?良かったーそれは心強いわね」


「へー、五十棲くんはヒーラーなんだね」


一角獣(ユニコーン)の角と言えば回復素材の代名詞みたいなもの」


「前世では欲の皮がつっぱった輩に角を狙われたものだよ」


「病気の治療とかも出来るのかな?だとしたら凄い事になりそうだけど」


「残念ながら実際の所は怪我の治療程度だね、それも時間がかかる、根本的にこの世界には魔力が足りないんだ」


「やっぱりそこがネックねぇ」


「でも五十棲くんの能力も重要性で言ったらかなりのものじゃないの?」


「モルモットは勘弁願いたいね」


「魔力さえもう少しなんとななれば、治癒能力も向上するって事よね・・」


「そう言えばこの神社の敷地内に入ってからは、外と比べれば大分魔力濃度がマシなように感じるな」


「ここには竜脈源(エーテルポイント)もあるし、簡素ながらも結界を敷いているからね」


そんな事を話していたら、スマホのチャットアプリに一くんから連絡が入った。


>>二人に敵の妨害、自分は尾行続ける


これ監視員を尾行しながら入力してるのかな?敵とか妨害とか、もう少し詳細が知りたいなぁ。亮人くんと羽依は妨害にあって尾行が続けられなくなったけど、自分だけはこのまま尾行を続行すると言う事なんだろうけど。


>>了解、気を付けて


とりあえず、既読だけ伝えておこう、下手な事書くと一くんの邪魔になると言うか、僕の意思を尊重するあまり現場での判断を狂わせそうな気がする。


「妨害って何があったんだろうか」


「三人共大丈夫かな?」


状況がわからずにやきもきしながら続報を待つことにした。


ピコン


「あ写真、羽依からだ・・・なんの写真・・・・だっ!?」


羽依からメッセージ無しの写真だけ送られてきたが、手前に自撮りで羽依がピースサインをしている姿があり、後ろには気絶してると思わしき黒服の男性が倒れ、それを背景に誇らしげに拳銃を掲げる笑顔の亮人くんの姿が写っていた。


「これ・・・銃?まさか本物??」


「何やってるのよあの馬鹿・・・・」


「このドヤ顔が腹立たしい」


「とっ、とりあえず二人は無事そうで良かったね?」


普通に銃とか持ち出してくるような相手が奏ちゃんを狙ってるのかと改めて恐ろしさを感じるべき場面なんだろうけど、この亮人くんと羽依の能天気な写真を見せられてそんな感情を抱くのは難しかった。もう少し真面目にやってくれないかな・・・


ピリリリリリリ


と、亮人くんから電話だ。


「もしもし亮人くん?」


『おう、悪いな伊織、俺たちの尾行は失敗しちまった』


「それはいいけど、二人とも大丈夫なの?さっきの写真は何」


『あーあれな、『賢者の森』に冗談としてアップしようとか秋月妹が言っててよ』


「『賢者の森』って・・・あれ銃だよね、本物の?それをを『賢者の森』で見せびらかせるつもりなの??」


『だからよ、顔にボカし入れてあくまでモデルガンを使ったお遊びですよって(てい)でUPすんの、あいつらに対する牽制になるんじゃ無いかって秋月妹が言うからよ』


「・・・・・・思いっきり挑発行為じゃないのそれ?」


『そっちが他国で不法行為してる証拠を掴んでるぞって警告だよ警告、これ以上やるつもりなら相応の覚悟をしとけってな』


「あーうーん、どうなんだろうそれ、っと、いけない話が飛躍してる、まず確認なんだけど、さっきの写真の後ろの男の人達が尾行を妨害してきたって相手って事でいいんだよね?銃で撃たれたりはしなかったの?羽依は?」


『あーまーこっちは無事だ、心配すんな、まぁこれから戻るから詳しい事は直接話すわ、秋月妹は今交渉中でよ』


「交渉中ってなに??はー・・もうわかった後で聞くよ・・けどその気絶してる男の人達も連れて来るつもりなの?」


『いや、こいつらは例のアメリア人のおっさんに預けちまうつもりだ、それも後で話すわ、とりあえずじゃーな』


「て、ちょっと亮人くん?!アメリア人て?!(はじめ)くんはどーなってるの??もしもーし?」


ツーツーツー


「切れてるし・・・」


「とりあえず二人は無事そうで良かった?」


「しかし銃か・・本当に洒落で済むような状況ではないのだね」


「あとは(はじめ)くんの連絡待ちだね」


はぁ・・・何が何だか分からない、一人で尾行を続けている一くんは大丈夫なのだろうか?


=============


AMI歴12年5月15日 白銀楼市内 民家屋根上

十一(つなしはじめ)


ふふふふふ・・・あの二人の尾行が途絶えたと思って目標の男は油断しきってる。

スマホで師匠に報告したけど、特に指示は無かったのでこのまま尾行を続けよう。

僕は姿を隠し、音を隠蔽し、距離をとりながら音を頼りに追跡を続ける。


風神の勇者として風の精霊との親和性が高い僕は、地球(こっち)でも頑張れば風の精霊の力を借りる事が出来るのだ。


遠くの音を拾ったり、自分の音を消したり、風の補助を受け素早く動いたり高くジャンプしたりもお手の物。

勇者としてそれはどうなんだとも思うけど、盗聴なんかも大得意なんだよね。

体重を消して音も無く建物を屋根伝いに移動しながら目標を追跡する姿は、さながら忍者のようだと我ながら思う。


話は変わるけど、実は宮代流では暗器の扱いも習っていて、特に棒手裏剣の扱いは熱心に習ったんだよね。


その甲斐あって今では結構な腕前だと自負しているよ!!


そして僕の懐には常に携帯用の折り畳み警棒と短めの棒手裏剣が忍ばせてあるのだ!忍者グッズってこう、持ってるだけでワクワクするよね!!ニンジャグッズには男の子のロマンが溢れていると思いませんか?


まお危ないので基本的にはゴム製のカバーが付いた状態で使用します、ゴムスタン弾みたいなものだよね。


因みに警棒と手裏剣の製作者はクラスメイトの石動(いするぎ)太一郎(たいちろう)くんなのです、正直彼の作品は市販品より余程頑丈・高品質なうえ魔力も通しやすくとても使い勝手が良くて助かっているんだよね。


彼とも前世からの縁があって色々と助けになってもらっています。長くなるから詳しい話はここでは割愛しますけど。


そんな訳で僕は不謹慎ながら忍者っぽいシチュエーションにワクワクしながら追跡を続けている。

男は時折スマホを使って連絡を取っていて、話し声は精霊の助けを借りて盗聴すれば聞こえるのだけど、生憎な事に日本語じゃ無いので会話の意味が不明なんだよね、残念無念。


しばらく尾行を続けると、やがて男はセキュリティレベルの高い高級マンションへと入って行ってしまった。


Oh・・・これはやっかいな・・・正面玄関はルームキーが無いと開かないタイプで距離を開き過ぎていたせいで飛び込む前に玄関は閉ざされてしまった、建物左右の駐車場と駐輪場にも囲いがあって自由には入れない。


裏からなら入れるかなー?でもこれは不法侵入になっちゃうのかな・・・とりあえず足音を追い続ければ部屋の場所だけならわかるかも?足音に集中していたけど途中エレベーターに乗られたせいで足音を見失って(?)しまった、今度はエレベーターの音に集中して・・・8階・・いや9階で降りたかな、さすがに距離があって音を拾うのも限界かも、音って上へ上へと伝わる性質があるから、上の音を下から拾い続けるのは難易度が上がってしまうのだ。


手前のエレベーターを9階で降りて、奥の方へ30歩程の部屋に入った模様。大体の位置関係ならわかったけど、部屋番号は分からないなー、建物の外からではここらが限界か。


確認の為にぐるっとひと区画分を歩いてマンションの裏側に回ってみると、人の背程の塀に囲まれた中庭が見えた、正面玄関とは違って人気は無いけど裏門も正面玄関と同じルームキーで開錠するタイプのようでこれまたキッチリと施錠されている。中庭から上の方を見上げると、中庭に面してむき出しの廊下が見える、その気になれば塀を飛び越えてマンションに入る事は容易に出来そうではある。


「一応防犯カメラもついてるか・・・」


と言うか、防犯カメラの数は結構多いぞ、やっぱりこのマンションはセキュリティレベルがかなり高めな気がするぞ、まぁだからこそ拠点の一つにしてるんだろうけど。


マンションの名前自体はよく聞く全国に展開している大手不動産会社のもので、知る限りでは央華系の資本が入っている訳でも無いはずだから、マンションそのものが敵の拠点て事は無いと思うんだけど。


やろうと思えば侵入は出来るけど、防犯カメラに犯罪の映像記録が残される可能性が高いのは嫌だなぁ。


まぁ手段が無い訳じゃ無いけれど、さてさてどうしようかな。

我らが勇者(はじめ)くん担当回です。

まぁ子供の頃って誰でも忍者グッズに憧れるますよね?次回は引き続き一くんの戦闘シーンとなります。地味に序盤から顔を出していた石動太一郎くんの事にも触れております、彼の事情もそのうち描かれる予定です、まぁゼンモンが何だかはすぐ予想が付きそうな感じですが。


ここまで当作品をお読みいただきありがとうございます!


この作品を読んで少しでも

『楽しい』『続きが気になる』『この伏線ちゃんと回収されるの?』

などと思って頂けたのでしたら、感想やブックマークをお何卒よろしくお願い致します。

ページ下の評価システム【☆☆☆☆☆】をご活用いただければと思います。

ご評価頂けますと作者の励みになり、モチベーションの持続にも繋がりますので、

どうかよろしくお願いいたします!

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