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014 ドラゴンは転生前の夢を見るか

AMI歴12年4月20日 砂金神社 社務所裏砂金家宅客間

ミハエル・カースティン(ミシェル・ダグラス)


『竜』(ドラゴン)の名を聞いた途端に涙を流した少年は、自分でも感情が揺さぶられている理由が何も分からないと言う。

想像もしなかった反応を前に、どう捉えるべきか判断が付かなかった。


この少年、宮代伊織はは自己申告による非『ゼンモン』を公言していて、ミズ奏も前世が人間であると保証していた。もっとも前世が人間であるという事は、必ずしも非DMCである事を意味しない。異世界にも人間は存在し、本国でも前世が人間のDMCは確認されているのだから。


この少年の言う前世の夢を見た事が無いイコール前世の記憶が無いという主張も、結局自己申告以外に我々に確認する術は無いのが現状だ。


まぁ目の前の少年の竜と聞いて自分が涙している理由が分からないという表情が演技だとしたら相当な食わせ者となるわけで、それなら最初から竜という単語に対してもポーカーフェイスを決め込めば良い訳だから、総合的に考えてこの涙と反応はこの少年の素なんだと判断する。


「そうですね、一口で竜と言われても・・・最上位の竜種と最下位の竜種ではそれこそ天と地ほどの差がありますよ?」


「詳しくお聞きしても?」


「最下位の竜種なら数もそれなりに多く、凶暴化している場合一般的には恐ろしい脅威ではありますが、大抵の種族国家で魔導士を含む中隊レベルの戦力があれば対処出来るでしょうし。中位の竜には大隊レベルが、上位の竜は軍団レベルの戦力が対処するだけでも最低限必要となると言うのが異世界(あちら)での常識でした。そして最上位たる神代竜などはそれこそ異世界(あちら)側でも伝説上の存在です、何せ神を滅ぼす程の力を持っているのですから、いかなる種族国家の戦力を総動員しても敵うものではありません。勇者を筆頭としたあらゆる種族の最強の英雄が集まりでもしなければ抵抗すら出来ないでしょう」


「神を滅ぼす?」


「最も高名で最も強大な種族、最も古き竜族とも云われる神代竜は遥か昔神々の大戦において地上における神々の肉体を滅ぼしたと云われています。それこそ神に等しき強さを持った最強の存在と認識されています。又、神々が肉体を失った事により、下方世界と上方世界の断絶が生じ下方世界がどんどん魔法の律する世界から乖離してしまうはずだった所を、神代竜の存在が(くさび)となって階層世界を繫ぎ止めていたとも言われてます。地球でこれだけ魔力が希薄なのも、こちらの世界には竜が存在しない為かも知れません。竜無き世界において、神の喪失に伴う上方世界と下方世界の乖離により、現界(このよ)幽界(かくりよ)の距離も異世界と比べてはるかに隔たりがあるのだと思います。それ故地球では魔力濃度も遥かに薄くなっているのだと。」


「なにやら私には理解出来ない話になってきたな?・・・それではおよそ体長が20m前後もある竜とはどのような種類が考えられるだろうか?」


「20mですか・・・?そうですね駆竜などの下等種では成長してもそこまでの大きさにはならないので、最低でも翔竜など中位以上の成竜で、あとは成長途中の若い上位種、最高位の古代竜や神代竜の幼い個体である可能性もあり得ますけど・・」


「竜の大きさだけ妙に具体的だねー?」


「いや、それは・・」


急に秋月羽依(あきづきうい)がこちらの質問意図を(ただ)してくる。私が思っても無かった方向から質問を受けたせいか、心理的な間隙を突かれ動揺が生じてしまう。


===============



「何処かでその位のサイズの竜を確認したのかな?」



「ーーーーーっ!?」



彼女の炊いたお香で部屋中が芳しさに包まれる、何故か臭覚が視界に影響を及ぼしたの如く錯覚し、視界が紫の煙に包まれているかのような幻覚に包まれていた。



不思議と秋月羽依以外の存在が急に希薄になったような気すらする。



「何を・・・見たの?」



彼女の美しくもあどけない容貌には、年齢に不似合いな妖艶な雰囲気が漂っていた。


その美しい翠の瞳に見つめられていると、何故か心臓を直接愛撫されているかのような得も言われぬ恐ろしさと被虐的な快楽が湧き上がってきて私の頭の中を埋め尽くしていった。




「アンゴルモアの写真に・・・竜の・・・影が・・・・・」



彼女の言葉が頭の中を反響している。あらゆる思考や状況判断がまとまりを欠いている。


私は自分が何を口走っているのかも理解出来ず、問われるままに答えを返していた。



「竜の影が映っていたのね?それがおそよ20mの大きさだったと?」



「七つの・・・月の欠片達との・・サイズの近似性から・・・12年前に、地球へ・・・」


何故か秋月羽依の姿がその瞳の輝きを除きシルエットでしか認識出来なくなっている。


うすぼんやりとした視界の中、彼女の側頭部からねじ曲がった角と背中には翼のシルエットが見えた気がした。



「ムーンインパクトの時に地球へ竜が降り立ったと?そう確証するだけの証拠があった?」



「証拠は・・・ない・・・・写真だけが根拠の・・・室長の・・誇大妄想に過ぎない・・・」



あぁ・・彼女の声が心地良い、その一言一言に心臓が嬲られるような快楽が身を包む。



「室長って誰?」



「NSB(連邦捜査局国家公安部) 内・・・対新人類作戦室室長の・・イーサン・ムーア氏・・」



「その対新人類作戦室の目的は?」



「DMCの・・監視と対策・・合衆国に利すればよし・・害する存在ならば排除も視野に・・」



そう言えば此処は何処だ・・・?先ほどまで居た奏の自宅の一室とは思えない。



「アメリカで竜のゼンモン持ちは発見されていないの?」



「私の・・・知る限りでは・・居ない・・」



「じゃあ最後に・・・アメリカに落下した7つの月の欠片達(セブンス・ムーンフラグメント)落下跡地の周辺で、新たに発見された洞窟はある?」



「洞窟?・・そんな話・・聞いた事も無い・・」



「そっか、ありがとう・・・もう良いわ」


===============


ハッ・・・と意識が覚醒した感覚を覚える、今何を・・・そうだ、秋月羽依に竜の20mという数字の意味を問いただされて一瞬困窮してしまったのだ。


「そうそう我が校の生徒となる予定の一人に、前世での最後の記憶がその位のサイズの竜と戦った事だと言う者が居てね、種類までは不明だと言う事だったので、その竜と言う存在に興味が沸いたのさ」


「ふーん、その人も強いゼンモン持ちだったのかな?」


「まぁそうだね、その彼が恐らく倒された程の竜というのはどういう存在なのかと気になってね・・結局20mというサイズだけでは細かく竜の種類を判別する事は不可能だと言う事だね・・・・質問に答えて頂きどうもありがとう」



何か大事な事を忘れているような違和感を覚えつつ、私は質問を終えた。


===============


AMI歴12年4月20日 砂金神社 社務所裏砂金家宅客間 砂金奏(いさごかなで)


連絡先を教えて貰いミシェル(仮)さん達はお帰りになりました。

伊織(いおり)くん達も今後の事で少しお話をした上でお帰りに。

色々と考えてもいなかった事態に遭遇して頭が混乱気味よ。


竜に関する知識は一通りお伝えしておいたけど、一体どうゆう意図で最後にあの質問をしたのかしら?


「んで結局断るつもりなんだろうな?」


少し話があると言って無理やり居残った亮人(あきと)と二人、何だかんだ言いながら一番気安い相手なのは確かなのだ、残念ながら。


「うーん、やっぱりどれだけ綺麗事(きれいごと)を並べようと、ゼンモン持ちを一か所にまとめておきたいって言う理由は、ゼンモン持ちが人類社会にとって害悪であると判断された時にまとめて処分する為だと思うのよね」


「うわぁ・・・悲観的だねお前」


「何よ、私の考え方が悪いみたいな言い方、あんな胡散臭(うさんくさい)提案(ていあん)警戒(けいかい)するに決まってるでしょ」


「でもよそんなの一か所に集めたら逆にゼンモン持ちに徒党(ととう)を組まれる可能性だってあるだろ」


「まぁゼンモン持ちに愛国心は期待出来ないわよね」


でも日本の現状みたいに、各地に何を仕出かすか分からない潜在的な不穏分子が散らばっているよりは、出来るだけ一か所に集めて監視しておきたいのだろう。


「それよりアイツが言ってた通りに央華国とやらがお前を拉致しに来たらどーすんだ?」


「神社内なら竜脈源(エーテルポイント)もあるし、警戒用の簡単な結界なら敷いてあるからある程度は安全だと思うのよね、後は一人で出歩かない事かな・・(はじめ)くんにエスコートをお願いしようかしら」


「んだよ、素直じゃねーなー、頼りになる護衛ならここに居んだろ」


「はあっ!?アンタなんか最初から頼る気無いっての!私はまだアンタが前世でした事許してないんだからねっ!!」


「へーへーしつこい女は嫌われるぞ」


誰がアンタなんかに素直に頼ったりするもんですか。

こんな時に頼りになる相棒(あいぼう)が懐かしい・・・


「フンっ!あーあ、こんな時にユヴァルニースが居てくれればなぁ・・」


「あー、あの一角獣(ユニコーン)な・・・やだやだ、アイツも地球(こっち)側のどっかに居るのかねぇ?」


どんな時でも一緒に居て私をサポートしてくれていた優しくて頼りになる相棒だ。

彼の脚力と回復魔法にどれだけ助けられたものか。

彼も日本の何処かに転生しているのだろうか・・・

そんな事を考えていると気持ちが沈みそうになる、駄目だ、ここは話題を変えよう。


「ねえ、最後の質問てどういう意味があったんだと思う?」


「さぁな?竜のゼンモン持ちでも居たんじゃねーの?」


「カマを掛けた・・・って訳じゃ無いよね?」


「お前が前に言ってた事か?それだって確証があっての事じゃねーんだろ」


「うん・・・・」


「そーいや秋月妹が質問を投げかけた時、妙に長い沈黙があったのは何だったんだろな?」


「ん?そんな事あったっけ?」


「おいおい?」


長い沈黙?何を言ってるのかしら?


玲さんのゼンモンを竜だと当たりをつけてカマを掛けたのかとも思ったが、別段玲さんの反応を気にしてる様子も見れなかったな。



秋月玲さんのゼンモンは恐らく『竜種』だ。



状況証拠ばかりで確証は無いのだが、私は半ばそう確信していた。

それも半端な力の持ち主では無く、神代の原種に近しい竜なのでは無いかと思っている。


だけどそれが断言し辛い理由が伊織くんの存在だ。


「伊織の奴は何で急に泣き出したんだろうな?」


「玲さんのゼンモンが竜だと断言するには、やっぱり伊織くんの存在がネックなのよね」


「宮代流の錬気交流ってやつの話か、まぁ確かに異なる種族の幽体をあのレベルで交流させるとか普通無理のある話だがなぁ」


「別に交配可能な程度に近しい種において、表層的な部分のみの交流ならまだ問題無いと思うんだけど・・・あの二人の交流はかなり深いレベルで行われているから」


人と妖精族(エルフ)などの亜人種は普通に交配可能だ、人と竜種は極僅かではあるが交配したという記録は残っていた。


そう言った交配可能な種族同士なら幽体の表層的な浅い部分の交流なら問題無く可能だろうが、あの二人が行っている幽体の交換はもっと深い部分、生命そのものの本質的な部分にまで踏み込んでいるようにさえ見える。


竜の気、生命を直接取り込むなんて、普通の人間なら拒絶反応が出るような云わば猛毒だろう、本質が違い過ぎるのだ。


「じゃ伊織は人と竜とのハーフって線はどうよ?」


「さすがにドラゴンハーフなら私の精霊眼で人間以外の特徴が見て取れるわよ」


「金竜王を奉じる竜大帝国の人間か、あとは西方の王国にあったろ?古の大戦で活躍した竜と人が結ばれて建国した王朝が、そこの直系の子孫とかは!?」


「西方にあった竜騎士の王国に、大陸中央に位置していた竜の大帝国ね、遥か昔の祖先に竜の血を引く王家ね・・・・うーん、どうだろう?そこまで竜の血が薄かったら私にも人間と見分けが付かないだろうけど・・・でもそこまで竜の血が薄まってたらやっぱりあの二人程の交流は難しいと思うのよねぇ?」


「あいつ等の記憶が戻れば一発なんだがな」


何であの二人の記憶は戻らないのだろう、玲さんは夢は見ているらしいのだが記憶に残らないと言っているけど。


「そーいやよ、秋月妹のゼンモンて何なんだ?」


「え?」


「なんだよそのリアクション」


「あれ、何だろう気にして見てしまった事があったような・・・見ても分からなかったんだっけ・・・?あれ?」


見たけど分からなかったんだと思うんだけど、何だろうこの何か忘れているような違和感は・・・?

まぁそんな気にするような事でも無いか。



===============


AMI歴12年4月 路上 宮代伊織(みやしろいおり)


奏ちゃん宅をお暇して、風香ちゃんを家まで送り、自宅までのわずかな帰り道。

今日の出来事が色々と頭を巡り、僕は少しぼーっとしていた。


何だか思いがけない話が色々聞けたなぁ・・・まだ阿波根さんとの戦闘の余韻が収まらない内に、同年代の『ゼンモン』持ちの子が、世界各地で色々な事に巻き込まれていると言う事実を突き付けられ、気持ちの整理が付かないでいた。


『ゼンモン』とか、自分とは関係ない話だと思ってたんだけど、『竜』という単語に過剰に反応してしまうのは、思い出せないけど僕は竜と何か前世で関わりがあったからなのかなぁ・・・?

そんな考え事をしていたら、後ろから僕を抱き抱えたまま歩いている玲ちゃんの腕に優しく力が込められた。


「伊織、今日はお疲れさま」


「うんありがとう、さすがに疲れたよねぇ」


「ねぇ玲ちゃん・・」


「ん?」


「僕は何者なんだろうね」


「伊織は伊織、私の未来の旦那様」


「あれ?嫁じゃなかったの?」


「今日の伊織は可愛いよりもカッコ良かった、だから」


「そっか・・・それなら良かった・・のかな?」


玲ちゃんの目に少しは男らしく映ったのだとしたらやっぱり嬉しいかな。


「僕達の前世には、何があったんだろうねぇ?」


「必要な時が来れば思い出すよきっと、思い出せない今はいくら悩んでも無駄だと思う」


「普通そう割り切れるものでも無いと思うんだけど・・・まぁそうだよね」


やっぱり玲ちゃんの方が考え方も男前な気がするなぁ。


「伊織ちゃんは頑張ってたとは思うけど、最初にミノタウロスの突進スキルを受けちゃったのは油断だったと思うなー!」


「あー、まぁ確かに少し良いのが入ったからと、そのまま一気に終わらせようとしちゃったかな」


羽依のダメ出しに頷くしか無い僕であった。


「伊織ちゃんにはもっともっと強くなって貰わないとなんだからね!」


「頑張ってはいるつもりなんだけどねぇ・・・」


「まだまだ足りないよー!これからもっと強い『ゼンモン』持ちや卑劣な能力を使う『ゼンモン』持ちだって出て来るかも知れないんだからねー!」


「ん??何で僕その人たちと戦わなきゃいけない前提になってるの??」


「伊織ちゃんにはちゃんとお姫ぃ様を守って貰わないといけないんだから!」


「はぁ・・・?」


僕が玲ちゃんを守る?僕より全然強い玲ちゃんを??


「そんな必要あるのかな?」


「なぁに伊織、私の事守ってはくれないの?」


「いや、そんな事は勿論無いですよ・・・ただ釈然としないだけで」


「とりあえず、アイツの言ってた央華国からちょっかいを出しに来る奴がいるかもだからね!」


「それって玲ちゃんじゃ無くて奏ちゃんが目的なのでは・・?」


奏ちゃんは亮人くんと一くんに任せた方が良いんじゃ無いかなぁ?


「とりあえず家に帰ったら」

「シャワーね」


あっ・・ハイ・・・


===============


AMI歴12年4月20日 砂金神社 社務所裏砂金家宅客間 砂金奏(いさごかなで)


あの時、阿波根(ミノタウロス)を吹き飛ばした玲さんの中段突きは、物理法則でいったらあり得ない現象を引き起こしていた。物体の持つエネルギーは質量と速度の二乗に比例する。

これは現界(げんかい)を支配する物理法則だ、こと肉体(フィジイカルボディ)に関する力の作用は通常この法則からは逃れられない。これを覆すには幽界(かくりょ)から現界への魔術的、あるいは魔法的な干渉が必要になる。


宮代流の技法『気』による身体能力の強化は、肉体の能力を限界近くまで引き出す技であるが、その範疇はあくまで本人の肉体的資質を超えるものではない。


心意体の内三合は神経伝達での限界を超えた能力を引き出す事は出来るけど、筋力自体は人体が本来持つ生来の機能に頼ったものである。


通常の神経回路を使用した動作では扱えない量の筋肉を同時に最適化した動きで連動させる事で驚異的な身体能力を体現するが、筋肉が蓄えたエネルギー変換と酸素との化学反応は超えれない。


というのが私が精霊眼を駆使しながら宮代流の技を観察させて貰って出した結論だ。物理的にはあくまで身体本来の能力を極限まで高めて操作するだけの技術だと認識している。


それに対して、玲さんが突きで阿波根を吹き飛ばした現象は宮代流の『気』の技法だけでは説明が付かない。あの突きには二人の質量比と速度を超越した『力』が働いていた。


「あれはきっと慣性制御(イナーシャルコントロール)を使っていたと思う」


慣性制御(イナーシャルコントロール)?」


「運動の第一法則、慣性質量を直接魔力で制御する・・・竜族の固有魔法よ、竜族風に言うなら慣性制御(トレークハイツコントロール)ね」


「重力操作系の魔術なら土の上位精霊と契約すればお前だって出来るだろ?」


「それはあくまで土の精霊にお願いして望む現象を引き起こして貰っているのよ、竜族の固有魔法は違う、竜族自身の意思で魔力を操り直接物理法則を捻じ曲げる魔法なのよ」


「魔法・・・直接世界の法則を覆す魔の法か」


「そう、あくまで神の定めた世界の法則、世界基盤魔法(ワールドベースマジック)に則った手順を踏んで望む結果を導き出す魔術とは全くの別物よ・・突きが当たる瞬間、衝突の際の作用と反作用をも直接操り、自らの慣性質量は増大させていたのだと思う」


「はぁーん?やっぱり竜族ってのは滅茶苦茶な種族だなぁ、でもお前やけに詳しいな?竜族の知り合いでもいたのか?」


「私は直接の面識は無いけど、月の森に竜とその魔法の研究に熱心な変わり者の元老がいたのよ、一時期竜泉郷に滞在してた事もあるって」


「まぁしかし、それなら秋月姉のあの突きの威力にも説明は出来そうだ・・・けどよ、それひょっとして伊織の奴も使ってねーか?」


「多分・・・・使ってる、変換出来る力は玲さんに及ばないようだけど・・・」


「人間なのに竜の固有魔法を?」

「人間なのに竜の固有魔法をよ」


「やっぱり伊織の前世は竜騎士じゃねーの?」


「古の竜騎士は、竜と意思を通わせる事によって、自在に竜魔法を操ったと伝説にはあるけど・・それでもあくまで竜魔法を操る主体は竜なのよ、竜騎士は竜と意思を合わせる事で間接的に竜魔法を操っていたってだけで、直接竜騎士が竜魔法を操っていたわけではない・・ハズ。(はじめ)くんから聞いた話では、風の妖精族の聖地を奪還する為の戦では、邪竜との戦いにその竜騎士国の末裔と神代竜が手を貸してくれたそうだけど・・・私は直接会った事が無いのよね」


(はじめ)の奴が故郷を取り戻した戦いか。直接竜騎士が竜魔法を操っていたわけではないつってもよ、伊織の前世で他にあり得そうな可能性はねーんだろ」


「まぁねぇ、竜珠の事は知ってる?」


「竜族が持つ宝玉だろ?確か竜族の魔力の源だとか言われてて、竜族の弱点にもなるとか」


「正確には魔力の源では無く、竜族の強大な魔力を操る為の、魔力のコントロールに特化した外付けの魔術演算領域(マギアリソース)みたいなものらしいの。竜族は生まれた時から親から継承した竜珠の設計図が幽体に刻まれていて、その設計図に沿って魔力を編み上げて物質化(マテリアライズ)する事で竜自身が作り出すらしいのよね」


「それが?」


「かの竜騎士国では、開国の祖たる竜騎士の騎竜である神代竜の竜珠がその死後に国宝として伝わっていたと言われているのよね、神代竜の血を引く直系の王族のみがそれに触れる事が出来て、その竜珠により竜騎士の技を伝承してきたとか」


「なんだよ、それっぽい話があるじゃねーかよ、でも魔法とかじゃ無くて技なのか?」


「竜騎士国秘儀中の秘儀だもの、正確な話なんて分からないわよ、そもそも今の伊織くんが竜珠なんて持ってるわけ無いからやっぱり関係付けるのは無理があるかなぁ」


「秘儀ね・・あー俺も昔噂で聞いた事があるわ竜騎士国の王たる竜騎士が使う秘儀、竜の力を借りて成す神をも殺す神代竜の奇跡の魔法・・・確か名前が・・・」


竜・剣(ドラゴン・ソード)、神代の戦で神々の肉体を滅ぼしたと言われる伝説の竜魔法ね、竜族風に言うなら・・・そう、竜・剣(ドラッヘン・シュヴェールト)かしら」


世界設定の説明会が続いてます。アクションが無いよアクションがー


と言う訳で主人公達の前世に関する奏ちゃんの考察がメインになってます。

あと一人なんか動きが妖しくなってきてるのが居ますが、主人公達側の人間である事は確かです。

さりげなくタイトルに触れられておりますが、本格的なタイトル回収回はまだまだ先になりそうです。次回からは又新キャラが出てくる展開が続きます。


ここまで当作品をお読みいただきありがとうございます!


この作品を読んで少しでも

『楽しい』『続きが気になる』『この伏線ちゃんと回収されるの?』

などと思って頂けたのでしたら、感想やブックマークをお何卒よろしくお願い致します。

ページ下の評価システム【☆☆☆☆☆】をご活用いただければと思います。

ご評価頂けますと作者の励みになり、モチベーションの持続にも繋がりますので、

どうかよろしくお願いいたします!

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