7.切片篇・科学技術・社会・筋肉世代と資源の欠乏
切片篇・科学技術・社会・筋肉世代と資源の欠乏
謎の声1:「人力動力の復興のもと、日本を動かす要素が変わったね。」
謎の声2:「筋肉が、廃墟日本の中核をなす動力になったんだ。」
サイバールインズと化した日本では、エネルギーと物資が欠乏し、平民区の住民たちは、あらゆるものを筋肉で動かすことを余儀なくされていた。
『楽園図』
台地の上には、子供たちが心を焦がれさせる楽園がある。子供たちは広場で歓声を上げ、はしゃぎ回り、自分たちのエデンを満喫していた。
「ママ、これ欲しい!」一人の子供が母親の服の裾を引っ張りながら、もう片方の手で隣の屋台を指差した。
「はいはい、ひとつね。」母親は首相の写真集——いや、首相の肖像が刷られた紙幣の束を取り出し、売り子に手渡した。
売り子は紙幣を傍らの手押し車に放り込み、子供に棒を一本手渡した。「しっかり持っててね〜」
「うん!」子供は棒を受け取ると、まるで松明のように高く掲げた。棒の先端には、風船が一つ結びつけられていた。
ヘリウムガス——完全なる輸入物資。水素ガス——精製には貴重なエネルギーを消費する。どちらも、サイバー廃墟化した日本には手の届くものではなかった。「棒つき風船」は、子供たちの子供時代の記憶となった。
「バターポテト一つ!」一人の青年が食べ物の屋台の店主に声をかけた。
「あいよ!」食べ物屋の店主はジャガイモを鉄板に乗せながら尋ねた。「お支払いは通貨で? それとも筋肉で、それとも……」
「筋肉払いで!」青年はそう答えながら、屋台の脇へと歩いていった。そこには数台の伝動発電用自転車が置かれており、その伝動機構と電線は、屋台の焼き台などの設備と繋がっていた。
ペダルが高速で回転するにつれ、伝動機構は機械エネルギーを焼き台へと伝え、焼き台の下の円盤が高速で回転し始める。摩擦熱によって機械エネルギーは熱エネルギーへと変換され、炉は熱く焼けていく。もう一方の運動エネルギーは電気エネルギーへと変換され、たこ焼き器へと送られ、たこ焼き機もまた、ほかほかと熱を帯びていく。
「いいねぇ〜 兄ちゃん、よくやった」店主は焼き上がったジャガイモに十字の切れ込みを入れ、合成バターを塗りつけると、紙幣で包んで青年に手渡した。
そう、合成バターだ。本物の動物性バターは、乳製品価格の高騰とともに、とうの昔に住民たちの日常の食卓から遠ざかっていた。サイバールインズと化した日本における合成バターは、各種の低コスト物質と香料を組み合わせたものだ。傍らのたこ焼きもまた同様で、様々な安価な合成代替物質に満ちている。わずかな本物のタコに、大量の合成タコが混ぜ込まれ、鰹節は主に人造の熱収縮性セルロースでできている——これらの半透明な合成フィルムは、熱を受けるとまるで生きているかのように激しくうねり、本物の鰹節を模倣するのだ。クレープなどについても、だいたい似たような状況で、安価な合成食品が住民たちの食卓に溢れていた。
「クレープ一つ〜」ロリータ服に身を包んだ少女がそう言うと、動力自転車にまたがった。彼女の数人の仲間たちは傍らで休んでいたが、身につけたロリータドレスには、繕った跡がいくつも見られた。
「頑張れお嬢ちゃん、あと20度だよ。」店主は電気プレートの傍らにある温度計を見ながらそう言った。
少女は太ももの筋肉を引き締め、ペダルを漕ぐ速度を上げた。自分のクレープのために、さらに力を込めて発電する。
「よし、できた。」店主は温度計を見ながらそう言うと、手際よくクレープを作り始めた。
「紙幣の袋じゃなくて、油紙の袋にして。写真を撮りたいから。」少女は発電を続けながらそう言った。
「あいよ〜」店主は形の整ったクレープをへらですくい上げ、油紙の袋に入れると、トッピングを加え、完成したクレープを少女に手渡した。
少女はペダルを漕ぎながらクレープを受け取ると、笑顔を作り、仲間のカメラに向かってピースサインを決めた。この瞬間が、アルバムの一ページとして切り取られる。
遊園地の各種施設もまた、この時代を十分に映し出していた。
メリーゴーランド——子供たちに人気のアトラクションで、待機列には長い行列ができるのが常だった。かつての時代、この人々はただ突っ立って待つだけだったが、後2040時代になると、彼らの役割が十分に活用されるようになった。メリーゴーランドの動力は、まさにこの行列の人々から得られる——待機列の周囲には大量の動力座席が設置され、人々は列に並びながらメリーゴーランドに動力を供給する。来園客は、列に並んでいる間、子供と一緒にペダルを漕ぎ、順番が来たら一緒にメリーゴーランドを楽しむこともできるし、自分一人で動力を供給し続け、順番が来たら子供だけにメリーゴーランドを楽しませることもできる。
回転盤の速度や音楽などの演出は、すべて行列の人々の頑張り具合に左右される。動力が十分であれば回転速度も十分で、音楽の演出も良くなる。逆に動力が足りなければ、回転盤は遅くなり、音楽までもがエネルギー不足で調子を崩してしまう。
時にはこんな光景も見られる。父親が子供を連れて列に並び、一人で動力を供給する。順番が来ると、子供は木馬に乗り、父親は前方の普通席へ行って休む。父親は休みながら、木馬の上で笑う子供を眺めている。大きな回転盤は回り続けるうちに、だんだんと速度が落ちていき、音楽の調子が狂い始め、照明の演出までもが不気味になっていく。
すると父親は振り返り、後ろに並ぶ人々に向かって大声で叫ぶ——「後ろの奴ら、サボるなよ! うちの子がまだ乗ってるんだぞ! もっと速く漕げ!」
観覧車——カップルたちの一番人気のアトラクションで、今や独特な変速運動と化していた。
連れ立って訪れたカップルたちはゴンドラに乗り込み、ムードを高めながらゆっくりとペダルを漕ぐ。観覧車が回転し、ゴンドラが上昇していくにつれ、ムードもまた一段階ずつ高まっていく。ムードの温度がまさにゴンドラとともに頂点に達しようとしたその時、観覧車の回転速度が突然落ち、なかなか頂点まで上りきらない。実は、先に頂点に達したカップルが、この瞬間を永遠に留めておきたいと願うあまり、意識的にか無意識にか、両足を緩めてしまっていたのだ。この状況に気づいた、頂点の一歩手前のゴンドラのカップルは、驚くべき力を発揮し、猛烈な速さでペダルを漕ぎ、観覧車の回転を押し進める。
観覧車——このアトラクションは、カップルたちの駆け引きの中で、一つの高所変速運動と化していったのである。
お化け屋敷——本物の恐怖。
遊園地を訪れた客の多くは、お化け屋敷を最後のアトラクションとして選ぶ。この施設は、客を遊覧列車に乗せ、軌道に沿って進ませるというものだ——もちろん、前進の動力は依然として客たちの筋肉である。ただしこのアトラクションでは、ペダルを漕ぐ速度に特に要求はない。乳酸が溜まった両脚を休ませるために止まったとしても、臆病者たちの漕ぐ力に便乗すればいい——客たちはそう考えていた。
かつてお化け屋敷の主役といえば、怨霊やゾンビといった、日常生活にはまず現れない存在だった。しかし後2040時代になると、お化け屋敷にはもっと客の神経を揺さぶる主役が登場するようになった。前進する最中、それらは突然姿を現し、客たちを悲鳴とともに逃走へと駆り立てる。
追徴ロボット——日常生活の中で実際に目にする存在。だがそれが現れるたびに、客たちは「幽霊」や「ゾンビ」、「猛獣」を見た時よりも大きな悲鳴を無意識のうちに上げ、まるで両脚の乳酸など存在しないかのように、狂ったようにペダルを漕ぎまくるのだった。
流亡姫避難所
高麗姫:「あはは〜 他の場所はみんな現金かカードかって聞くのに、この遊園地ったら通貨か筋肉かって聞いてくるのね〜」
ツァーリ姫:「極悪税務は幽霊よりも恐ろしい。客たちは悲鳴を上げてお化け屋敷から逃げ出すが、外にある日本そのものが、ただの巨大なお化け屋敷に過ぎないのだからな。」
日本姫:「かつて、子供が手を離してしまい、空へと飛んでいった風船を見て泣いていると、大人たちはこう慰めたものでした。『風船は人の理想のようなもの、理想は自由なもの、自由な風船のように、自分の理想を叶えていきなさい』と。けれど後2040の日本には、空へ飛んでいく風船もなく、自由な理想もありません。あるのはただ、棒のように硬くなった筋肉——その上に支えられているのは、今にも崩れ落ちそうな暮らしだけなのです。」




