3.切片篇・経済・社会・都市廃墟
切片篇・経済・社会・都市廃墟
夜の帳が下り、東半球は一面の闇に包まれた。だが再び、点々とした光が瞬き始める。
謎の声1:「日本の光源分布が変わったね。」
謎の声2:「そうだね。従来の都市発光帯は、ほとんど完全に暗くなってしまった。」
「金がなければ何も買えない。」——子供の頃にこの真理を悟った太郎は、大人になってからも、たびたびこれを再び噛みしめることになる。ちなみに、新たにもうひとつ悟ったこともある。「通貨が紙くず同然の国は、何も輸入できない。」ということだ。
後2040時代の日本は、もはやエネルギー輸入の費用を完全に負担できなくなっており、化石燃料の輸入はほぼゼロにまで落ち込んでいる。エネルギー構造は、安価な原子力発電とわずかな再生可能エネルギーに完全に依存する形となった。
「ダンピングさまさまだよ。この安売りされた太陽光パネルがなかったら、どうやって暮らしていけばいいんだか。」——ある住民の言葉。
しかし官僚の支出が膨張し続けるにつれ、日本政府の財政状況はますます悪化していった。ついには核燃料の輸入すら難しくなった。こうした背景のもと、日本政府はひとつの決断を下す——日本国内の原発とその周辺地域、そして各種の権利をひとまとめにして、外国資本へ売却したのだ。以後、当該地域は外資が所有・運営することとなり、日本はそこからエネルギーを購入する側へと転じた。——外資免税特区が誕生した。
後2040の日本の発光帯は、そのほとんどが外資免税特区に集中しており、特区の外の灯りはまばらだった——たとえそれが日本政府自身の拠点であってもだ。こうした地域は「平民ダークエリア」と呼ばれた。
広大なダークエリアには、かつて巨大なインフラと安定した基本供給が存在していた。しかしエネルギー不足と経済崩壊とともに、すべてが変わってしまった。
停電は日常茶飯事となり、高層住宅に暮らす平民にとって、仕事帰りに階段を上って帰宅することが毎日の日課となった。ガス供給も途切れがちだった。もっともそれも、もはや問題ですらなかった——エネルギー価格はとうの昔に、庶民には到底支払えない水準にまで高騰していたからだ。ダークエリアの住民たちは、エネルギー価格がじりじりと値上がりしていくのを目の当たりにし、風呂一杯の湯を沸かす費用があっという間に一般サラリーマンの日給を上回るようになると、その時から、エネルギー供給に何かを期待することすらやめてしまった。
時が経つにつれ、インフラは次第に荒廃していった——巨大なインフラは巨大な維持コストを意味し、それは経済崩壊した日本には到底負いきれないものだった。維持に必要な大量の資材にせよ、労働力にせよ、後2040の日本が賄えるものではなくなっていた。円の暴落と外貨準備の枯渇により、日本はとうの昔に建築資材や工事用資材を輸入できなくなっていた。そして工事に必要な若い労働力は、まさに絶対的な希少資源と化していた——賃金の逆転により、日本は海外の貧しい国々からの労働力を失っただけでなく、貴重な自国の若い働き手までも大量に失った。かつての規模のインフラは、もはや今の日本の施工チームには到底維持しきれないものとなっていた。
かつて日本は、震災後の道路や施設の復旧を迅速に成し遂げることができた。だが後2040時代には、わずかに残ったインフラも災害のたびに少しずつ失われていき、都市の内も外も、傷み果てた姿をさらしていた。「一粒種の施工隊」が、いくつかの重要路線を維持するだけで、もはや限界だった。
「毎日道を歩いていて、唯一願うことといえば、老朽化したカーテンウォールのガラスに当たって死なないことくらいだよ。」——ある徒歩通勤のサラリーマン。雨水で自浄作用のある一部の建築を除けば、ほとんどの建物の外壁はメンテナンス不足でボロボロに見える——というより、実際にボロボロなのだ。ガラスが抜け落ちたまま埋められもしていない外壁の穴や、そこにときおり芽吹く緑の植物を目にすれば、きっとそう思わずにはいられないだろう。
劣悪なインフラ整備状況は、日本政府が大きな期待を寄せていた観光業を打ち砕いた。日本政府はかつて「円安によって観光収入が大幅に伸びる」ことに望みを託していた。しかし海外からの観光客たちは、毎回見て回れるのが決まったいくつかの地域だけであることに気づき始めた。少し道を外れればボロボロで、山間部に至っては修復されないままの土砂崩れがあちこちに見られる——観光は冒険と化し、日本の観光業もまた、斜陽を迎えることとなった。
日本はかつてゴミの輸出国だった——国内のゴミを海外へ輸出し、貧しい国々の労働力によって、その中の資源が選別・回収されていた。後2040の日本は、一時期ゴミの輸入国となったこともある——海外のゴミを輸入し、そこから資源を回収していたのだ。だがその後、円が紙くず同然となるにつれ、ゴミすら輸入できなくなった。当時輸入された大量のゴミと、今では運び出すこともできず、運び出されることもないゴミが、都市の周縁部の各所に「ゴミ山」を形成した。ゴミ山地帯にも生計を立てる者たちがいる——彼らは「ゴミ山の民」と呼ばれ、独特の「山地生態」を形作っていた。
かつての都市は、今や廃墟。エネルギー不足と老朽化の果てに、都市はついに荒れ果てた廃墟と化した。
流亡姫避難所
高麗姫:「あはははは〜 2040年の日本のサラリーマンの願いが『ガラスに当たって死なないこと』だなんて〜 笑っちゃうよね〜」
ツァーリ姫:「金こそが命だ。現代都市のすべては支払い能力の上に成り立っている。金がなければ基本供給もメンテナンスもない。都市は廃墟に成り下がるしかない。」
日本姫:「かつて東京駅で、一人の女の子が人目を避けるように身を小さくしているのを見かけました。襟元の防汚インサートはすっかり黄ばんでいて——長いこと、お風呂に入れていなかったのです。本当に、おいたわしいこと。」




