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赤
その後のことはあんまり覚えていない。
僕が呼んだのかどうしたのか、慌ただしく駆けつけた教員たちが叫ぶように何かを言っていて、その後救急車のサイレンの音が聞こえた。
しかし救急車は高尾 灯を乗せることなく去っていき、いつの間にか今度は制服を着た警官と、テレビドラマでしか見たことのない青いつなぎを着た鑑識が高尾 灯の周りを取り囲んでいた。
僕は誰にも「帰っていい」と言ってもらえなかったので落語研究同好会の部室からその様子をずっと見ていた。
一体いつまで冷えて埃だらけの廊下なんかに灯を寝かせておくんだと、腹の底でもやもやとした苛立ちがあって、泣きたいような感じもあってでもここで僕が泣いてもなんだか変だなとか、とにかくゆるく混乱した状態で灯を見つめていた。
灯から流れた赤い血液が、その輪郭から少しずつ乾いて固まっていくことが時間の経過と現実感を感じさせる。よりにもよって放置され続けている血が灯のものだということが、どうにも耐え切れなくて、喉の奥がひりひり焼け焦げていくのをじっと黙って耐えていた。




