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何を見た
「赤西。文脈を読みなさいといつも言ってるだろう。真珠のことになると周りが見えなくなるのは君の悪い癖だよ」
黒い男モモセは、最後に僕の背中をポンと優しく叩きながら、白い男(赤西)に向かって首を振った。
猫を被るとはよく言うが、被っていた猫を脱いだら激情型の猫が出てきたらしい。赤西は全身の毛を逆立てそうな勢いでモモセを睨んでいる。
状況、と言うよりこの場の空気をどう読めばいいのかわからず困っていると、やっと煙草を揉み消したらしい真珠の声が響いた。
「そろそろちゃんと脳に血が巡ってきたか?」
真珠を見ると正面からまともに視線がぶつかった。見透かすような金色の瞳が僕をスキャンするように上から下へと不躾な視線を浴びせる。
「お前、あの展示で何を見た?」
誤魔化してもどうせ無駄だと本能が言う。
すでにこの人には、いやきっとここにいる美しい三人の男たちには、僕の大半を見抜かれている。
深呼吸を一つすると、身体中の乱れた回路が少し整ったような気がした。




