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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第十一章 レクイエム編

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新たな方針

 あの後、ポルクやアンリエッタ。それに、アンナ達に、共同墓地での出来事を話した。複雑な心境だっただろうが、誰もが何も言わずに言葉を飲んだ。


 そして、帝国の企てを聞いた、ヴェインさんとフューズさん。二人には心当たりがあったらしい。しかし、証拠は既に消されており、帝国の関係者は既に撤退済みだろうと話していた。


 ボク、ポルク、フューズさん、ヴェインさんの四人は、その後も残って話し合った。帝国への備え。王侯貴族への対処。ヴォルクス領の経営。それぞれの、取るべき方針について……。


 その翌日に、ボクは『白の叡智』の仲間達を集める。朝食前の時間、クランハウスのリビングへと……。


「あ~、そういう訳で、今日から彼女が、新しく仲間に加わる事になりました~」


「皆様ご存知と思いますが、元『銀の翼竜』のアンリエッタです。宜しくお願い致しますわ」


 アンリエッタは、ペコリと頭を下げる。ヴォルクス城から直行で来た為、今の彼女は白のドレス姿。場所を考えると、ちょっと珍しい光景である。


 そして、そんなアンリエッタを、メンバーは茫然と眺める。『白の叡智』の全員が、状況に付いて来れていなかった。


 ちなみに、そのメンバーにはギルも含まれている。実はボクも朝帰りの為、まだ彼にすら話して無かったりする。


 アンリエッタは顔を上げ、一同にニコリと微笑む。その笑顔はいつも通り。ヴォルクス城で見せた感情は、ここでは出さないつもりらしい。


「ア、アレク様……。これは、一体どういう……」


 皆が固まる中で、珍しくギルが発言する。普段であれば、彼は皆の陰になりたがる。


 しかし、今回ばかりは流石に、黙っていられなかったらしい……。


「ポルク達と話し合ってね……。これが、ベストだろうって結論になった……」


「ですから、その経緯をご説明下さい……!」


 おぉ、ギルから始めてツッコミを受けた……。謎の感動があるな……。


 ボクは回らない頭を何とか動かす。そして、少しずつ説明を行う。


「えっと、ポルクが新領主に就任……。『銀の翼竜』は解散……。アンリエッタの扱いに困る……。本人の希望で『白の叡智』に加入……って流れだけど、オーケー?」


「アレク……。お前、寝てないのか……?」


 呆れた様子で、ギリーが訊ねて来る。それに対し、ボクは苦笑を浮かべる。


 そして、状況を察してくれたのだろう。ギルは気を取り直し、改めてボクに質問する。


「では、本当にアンリエッタ様は……?」


「はい、今日からこちらでお世話になりますわ」


 ギルの問いに、微笑みで返すアンリエッタ。その返事に、一同は再び驚きを示す。


 そんな中でも、一番驚いたらしいのが……。


「ア、アンナちゃん……!? 気をしっかり……!」


 よろけて倒れそうな所を、隣のロレーヌが支えていた。どうやら、人見知りなアンナには、衝撃が強過ぎたらしい。


 そんなアンナの様子に、アンリエッタはクスクス笑っていた。


「あ~、それと、当面はクラン方針として、レベルアップと、装備強化に集中するから……。メリッサとかクラン事務局には、ポルクの方から連絡行ってると思うよ……」


「ふむ……。北への備えか……?」


 ギリーの質問に、ボクは頷いて見せる。ただし、それだけでは無いので、補足説明も行う。


「それも当然あるね……。後は、最高難易度の依頼を達成可能になって、この国全体の発展を促す……。この国の狩場を開拓しまくって、冒険者や兵士の全体的な底上げを行う予定……」


「なるほど。高級素材の流通とか、狩場情報の公開を行うんだね?」


 ボクの言葉に、ハンスさんが真っ先に理解を示す。そして、その言葉で、大半のメンバーは理解したみたいだ。


 ただ、シア達の製造組は、理解出来ていない様子。なので、一応の説明を加えておく。


「あ~、オリハルコンとか、ドラゴンの鱗とか……。素材が流通すれば、高級装備の値段が下がる……。狩場情報が公開されれば、今までより一段上の狩場に挑める……。そうやって、人が育ちやすい環境を作って行く……。そうすれば、カーズ帝国も迂闊に手を出せなくなるからね……」


 これが、ポルク達と相談して決めた、『白の叡智』の活動方針である。ただ、強いだけの個のクランでは無い。ボク達は、全てのクランを引っ張り上げる、リーダー的なクランとなるのである。


 その他にも、話し合った事は色々ある。アンリエッタ加入の理由なんかも……。


 ただ、今すぐ話す必要は無いだろう。ボクの出自なんかも、今すぐ何かが出来る訳でも無いしね……。


 ……というか、もうそろそろヤバいな。


 目を開けてるのも辛くなって来た……。流石にもう、休ませて貰うか……。


「あ……。アレク……!」


「ん……?」


 隣のアンリエッタが、ボクに呼び掛けて来る。ボクは朦朧とする頭で、彼女の方へ振り向く。


 すると、アンリエッタは、ニコリと微笑む。そして、何故かこちらに、両腕を広げて見せた。


「どうぞ、お休み下さい」


「は……?」


 アンリエッタは何を言ってるんだろう? 彼女の意図が、まったくわからない……。


 そう思うと同時に、ボクは限界を迎える。目も開けていられず、その場でグラリと姿勢を崩す。


「あっ……!?」


 アンナの短い叫びが聞こえる。しかし、ボクは何の反応も出来無かった。


 ボクは柔らかな何かに包まれ、そのまま深い眠りへと落ちてしまう……。

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