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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第十章 クラン対抗戦編

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アレク、招待状を受け取る

この章から、週三(月・水・土)の0時で更新する予定です。

更新ペースが安定してくれれば良いのですが……。

 今日もまた、ボクは領主の城に呼ばれていた。ここ最近は、週次で呼ばれている気がする……。


 そして、今日の用事は真面目な物らしい。迎えの馬車には、アンリエッタとポルクの姿があった。ボクはギリーとギルを連れ、ユリウスさんの元へとやって来たのだった。


「クラン……対抗戦……?」


「うむ。王国主催の催し物に、『白の叡智』も招かれている」


 応接間のソファーに座り、手渡された手紙を受け取る。それは、国王の署名入り招待状。『白の叡智』への、参加要請であった。


 ちなみに、ボクの向かいにはユリウスさんが座り、その隣にはポルクが座っている。


 ギリーとギルは、ボクの背後に控る。そして、ボクの隣には、何故かアンリエッタが座っている。


 ……いや、この配置はおかしいだろ。外堀を埋められてるみたいで、背中に嫌な汗が滲んで来る。


「そして、ポルク達『銀の翼竜』にも、同じく招待状が届いている。招待状が送られているのは、ミスリル級のクランのみらしいな」


「はあ……。なるほど……」


 ボクは手元の招待状に目を落とす。回りくどい書き方をしており、とても長い文章である……。


 そして、要約するとペンドラゴン王国内のクランで、交流戦を行おうという呼び掛け。お互いに実力を確かめ合い、冒険者同士で切磋琢磨して欲しいという趣旨が書かれている。


 ボクは招待状を、背後のギルに手渡す。そして、ボクはユリウスさんへ、皮肉を込めて訊ねる。


「こんな事をしてる場合ですかね? 王都の復興は、そこまで進んでるんですか?」


 ボクが揶揄したのは、レッド・ドラゴン襲来の傷跡の事だ。王国は騎士団が大打撃を受け、クランも勢力が半減している。


 王都の街並みだって、多くの建物が燃え崩れたと聞いている。王都の住民にだって、それなりの死傷者は出ているはずなのだ。


 交流戦なんて行う余力があるなら、それを王都の復興支援の資金に回すべきと思うんだけどね……。


 しかし、ユリウスさんは、ボクの反応を予想していたらしい。皮肉気な笑みで、大きく頷いて見せる。


「アレク君の意見はもっともだ。しかし、王族や貴族は、そう考えないのだよ。彼等にとって最も大切なのは、周囲に対する見栄なのだからね」


「ああ、そういう事ですか……」


 つまり、王国中の国民が、ボロボロの王都に不安を持っている。それに対して、王族や貴族は、これだけの余裕があると見せたいのだ。


 クラン対抗戦という余興を行い、これだけの力があると誇示したいのだろう。何ともくだらない事である……。


 そして、今度は隣のアンリエッタが、クスクスと笑う。ボクに対して、優しく諭す。


「あら? でもこれは、悪くない考えなのですよ? 交流戦で王都の活気も出ますし、国民の多くが安心を得る事が出来るのですから」


「それに、王都とヴォルクス領の関係が、良好であるアピールにもなるでしょう。今がどうかは別として、ボク達が参加する事で、今後の交流が活性化する可能性は高いですね」


「それに何より、貴族も王都の民も、いい加減に待ちわびているのだ。賢者ゲイルの後継者を、いつになればその目で見れるのかとね」


 どうやら、彼等は参加に前向きな考えみたいだね。三人とも、貴族の考えを持っているから……。


 そして、どうもこの流れは良くない。ボクの退路を断とうという流れに思える……。


「……ちなみに、断る事は出来ますか?」


 ボクはユリウスさんへ訊ねる。そんなボクに、ユリウスさんは困った表情を浮かべている。明らかに作っているとわかる、わざとらしい表情を……。


「ふむ……。これまで、王都側からアレク君を庇い続けて来たが、これを断ると難しくなるな……。恐らくは国王達も強硬手段に出ざるを得ない……。国王からの勅令により、王都への移転を余儀なくされる事だろう……」


「まあ、それは大変ですわね……」


「流石に勅令は断れませんね……」


 何という三文芝居……。三人共に、口元がにやけているのだが……?


 ボクは諦めて息を吐く。そして、肩を竦めて意思を示す。


「わかりましたよ……。今回は大人しく、王都へ行く事にします……」


 ボクの返事に、三人はクスクスと笑う。想定通りの結果となり、実に満足そうな表情をしている。


 そんな彼等の態度に、ボクは苦笑を浮かべる。内心では良い機会かとも思い。


 ……それというのも、王都から逃げ続けるのも、そろそろ限界だと感じていたからだ。


 先程ユリウスさんが、これ以上は庇えないと言った。そして、それが冗談では無い事を、ボクは理解していた。ヴァーム砦の一件もあるからだ。


 そして、今回ならアンリエッタやポルクも同行する事になる。二人のフォローがあれば、幾分かは状況がマシになると思えた。


 ――後はボクが、王女を前に平静でいられるかだが……。


 ボクは背後に視線を向ける。すると、やはりギリーが心配そうに、ボクの事を見つめていた。


 アンナには伝えていない。だけど、ギリーは知っているのだ。ケトル村襲撃の引き金が、王女の来訪によるものだと……。


 なので、ボクは笑みを浮かべる。ギリーを安心させる為、力強く頷いて見せた。


 ……きっと大丈夫。今のボクはあの時と違う。守るべき物が沢山増えたのだから。


 ギリーやアンナ。そして、大切な仲間達の為である。王女を前にしても耐えてみせる。


 こうしてボクは、王族達の待つ、王都へと向かう事を決心するのだった……。

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