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ルコールの行方


 第一のゲーム、<デンジャーロープ>。選ばれたのはルコール。ルコールは何とかクリア目前まで到達していた。だが、ゴールするには二つのロープを使ってゴールとされているコンテナに到着しなければならないのだ。制限時間は残り少なく、早くゴールしなければナイトたちの命も失われる。この状況下、ルコールはゴールするために動いた。


 高くジャンプしたルコールは、一本目のロープを掴むことに成功した。


「よし、まず一本!」


「だけど、その次が難しいぞ」


 ルコールの様子を見ていたナイトたちが、声を上げた。ルコールは何度もロープと体を前後に激しく揺らし、勢いを付けた。このやり方で、ゴール目前まで到達したんだ、同じやり方でクリアしてやるとルコールは思っていた。そんな中、ロココの声が聞こえた。


「おいおい、セックスでもないのにそんなに激しく腰を前後に揺らすなよ。ロープを孕ませるつもりか?」


「うるせぇ隕石野郎! クリアしたら、ハンマーでテメーの体を粉々にしてやるからな!」


 茶々を入れてきたロココに対し、ルコールは罵声を返した。あんな奴に構う暇はないと思い直したルコールは、次のロープをずっと見つめた。


 チャンスは一回。確実に成功させろよルコール、俺ならきっとできる! できるはずなんだ!


 自分自身にエールを送ったルコールは、タイミングを計って次のロープに向かってジャンプした。ルコールが伸ばした右手は、確実に次のロープに届いていた。


「よっしゃ!」


 届いたと、ウエートは思った。ジギーハも、余裕だなと思うような表情をしていた。誰もが、第一ゲームは無事に終わると考えた。


 やった! こりゃークリアできるな!


 宙に飛んでいたルコールも、クリアを確信した。だが、ルコールが右手でロープを掴もうとしたその瞬間、ロープは少しだけ前に動いた。そのせいで、ルコールの右手は空を掴んだ。


「え」


「おっと、丁度空調が動くころだ。この倉庫には、空調が付いているのか」


 と、ロココは笑いながらこう言った。ルコールの右手は、ロープを掴むことができなかった。


「そんな……」


 宙にいるルコールは小さくそう呟くと、そのまま下に落ちて行った。そして、ルコールの体は強い電流が流れる床の上に激突し、その瞬間にバチバチと強い音が響き、火花も大量に飛び散った。


「いやァァァァァァァァァァ‼」


 目の前で繰り広げられる惨劇を目にし、ティアナは悲鳴を上げながらその場にしゃがんだ。ナイトは目と口を大きく開け驚き、ジギーハはあたふたしていた。


「こ……こんなのってありかい⁉ ありなんかい⁉」


 混乱したトレトイルは、同じような言葉を何度も叫び、嗚咽した。ウエートは、船長と言う立場でありながら、何もできない自分に怒りを覚え、壁に拳をぶつけていた。




 数分後、大音量で響いていた電流音と、火花は収まった。ナイトは望遠鏡でルコールが落ちた場所を確認し、目をつぶって首を振った。


「黒焦げになっています。電流が発した際の衝撃か何か分かりませんが、体全体がバラバラになっています」


「これ以上言わないで!」


 ティアナの声を聞き、ナイトは小さくすみませんと言った。ナイトたちが悔しがる中、ロココは笑いながら口を開いた。


「いやー傑作だったな! クリア寸前まで言ったのに、まさかあそこで運悪く空調が動くなんて思わなかったよ!」


「お前が動かしたんじゃないのか⁉」


 ナイトは怒りのあまり、叫び声を出した。ロココは小さく笑い、こう答えた。


「ま、ゲームだから仕方ないと思ってくれよ。ゲームには運が絡むのも必然だろ? それじゃ、気を取り直して次に誰が挑戦するか指名するぜ」


「俺が行く!」


 と、ウエートが手を上げて前に歩いた。ロココはため息を吐き、こう言った。


「おいおい、俺が指名するって言ってんだろうが」


「次に誰がやるか決めるくらいの決定権ぐらいは欲しい。ゲームなんだろ? 公平性もちゃんとしてほしいな」


「はん。ゲームに公平性もクソもねーだろうが。俺は知っているぜ、人類は肌の色やら、目の色やら、性別、職業経歴、卒業した学校やらなんやらで差別をしていると。テメーら人間社会に公平性はねーだろうがよぉ?」


「人間社会とゲームを一緒にされては困る!」


 ウエートの強い口調を聞き、ロココは少しひるんだ。ロココはしばらく考え、舌打ちをしてこう言った。


「分かった分かった。テメーのお望み通り、次のチャレンジャーはあんただ。勝手にやれ」


「うむ」


 と、ウエートは短い返事をしてロープの前に歩いた。そんな中、ティアナがウエートに駆け寄った。


「止めて! 落ちたらあなたもルコールのように」


「俺は船長だ。これ以上犠牲者を出すわけにはいかない! 二人死んでしまったんだ。この悪い流れを、俺が断ち切る! ティアナ、俺は必ず戻ってくる。待っていてくれ」


 と言って、ウエートはティアナにキスをした。ナイトとトレトイルは驚き、ジギーハは冷やかしのつもりで口笛を鳴らした。その後、ウエートは両手を鳴らし、気合を入れた。


「では行くぞ!」


 気合の入った声を出し、ウエートは勢いを付けて走り出し、ロープに向かってジャンプした。


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