予期せぬ悪夢
ナイトはプライベートルームにあるパソコンを利用し、ココロのプログラムを調べていた。
「あれ? あれ? おかしいな、どこにも異常はない」
そう呟きながら、長いプログラムコードを何度も見返していた。そんな中、心配したティアナがナイトの部屋に入ってきた。
「どう、異常は見つかった?」
「それがないんですよ。どのプログラムも外部によって改ざんされた形跡もありません」
「そう……ココロちゃんの様子は?」
「まだ苦しむ声を上げています。時折、僕のことを呼んでいるので僕も声をかけていますが、向こうには聞こえていないようで……」
ナイトはそう答えつつ、心配そうにタブレットに映る苦しそうに声を上げるココロを見た。
リビングキッチンルームにいるウエートたちは、プライベートルームに向かったナイトとティアナが戻ってくるのを待っていた。ウエートはコーヒーを飲みつつ、何も映らないモニターをじっと見ていた。
「船長、そんなもんをじーっと眺めても何も変わりませんよ」
と、ベルンゼがこう言った。
「君の言う通りだが、何かがあれば映るはずだ」
「エロ動画でも持ってくればよかったですかね? 俺の部屋にエロ動画のデータが入ったメモリがあったはずです」
ルコールが小さな笑い声を出しながらこう言った。だが、それが気に食わなかったのか、ウエートはルコールを睨んだ。
「冗談ですよ。すみません」
「今、我々は任務中だ。エッチなことをしたくなるのは同じ男として気持ちは分かるが、今はそんなことをしている場合ではない」
「ケッ、お真面目だねぇ。そんなんじゃ、あいつに……」
ルコールが話をしている中、トレトイルが声を出した。声を聞いたウエートはすぐに、トレトイルの方を向いた。
「何かあったのか?」
「船長、コンロの調子がおかしいんだ! これじゃあスープどころか料理が作れないぞ!」
「ケッ、そんなことかよ。下らねーことで慌てるなデブ。変な声を出したから驚いたじゃねーか」
と、笑いながらベルンゼがこう言った。その声を聞いたトレトイルはお玉を鳴らし、怒りを露わにした。
「笑っていられるのも今のうちだぞ! あったかい料理を食べられなくなるんだぞ! 料理ってもんは、君が考えるより難しくて複雑なんだ!」
「あいあい。俺がわるーござんしたよっと。だからこれ以上、豚のようにぶーぶー文句を言うのは止めてくれよ?」
そう言いながら、ベルンゼは持っていた雑誌を机の上に置いた。
「つーかさ、ジギーハのじーさんには何も言わなくていいのか?」
ベルンゼの言葉を聞き、ルコールとトレトイルははっとした表情になった。
「確かにそうだな。あのじーさん、まだ作業場にいるだろ?」
「連絡したほうがいいよねぇ」
「今、連絡をしているんだが、ワークルームにいるはずのジギーハさんに通信が繋がらないんだ」
ウエートの言葉を聞き、呆れた表情になったベルンゼがこう言った。
「あのクソジジイ、作業に集中したいからって通信を切断しやがったな」
ワークルーム内にあるジギーハの研究室、ジギーハは無我夢中で隕石を調べていた。
「電力が足りん。これじゃあ赤外線がこの石の奥まで届かないじゃないか。電力を上げねばならぬ!」
と言って、ジギーハは椅子から立ち上がろうとした。だがその時、作業台にある巨大なアームの関節部から小さな電流が流れた。
「んじゃ?」
電流が流れる音を聞いたジギーハは、巨大なアームの方を振り向いた。その時、巨大なアームはジギーハに向かって動いた。
「あ……が……」
アームの先端にある赤外線装置が、ジギーハの額に突き刺さった。この赤外線装置の先端は赤外線を出しやすく、正確に動かしやすいようにドリルのような形になっていた。安全上を考慮して、先端は丸くなっているが。それでも、勢いを付けて動かせば人の額を貫くほどの威力は出る。額を貫かれたジギーハは後ろに下がった。弱い勢いだが、何とか額から赤外線装置を外すことができた。しかし、額からは大量に血が流れだした。
「た……助け……」
苦しそうに声を出しながら、ジギーハはリビングキッチンルームにいるウエートたちに連絡をしようと、机の上にある受話器に手を伸ばした。しかし、再び巨大なアームが動き、受話器を取ろうとしているジギーハの後頭部を突き刺した。ジギーハは口を大きく開け、体を震わせながらその場に倒れ、その人生に幕を閉じた。
ナイトはため息を吐き、目頭を押さえた。
「分からない。どのコードがおかしいのか本当に分からない」
「とりあえず、一度休みましょう。疲れたままだと、初歩的なミスを犯すわ」
「ええ……そうします」
そう言ってナイトは立ち上がり、ティアナの肩を借りながらリビングキッチンルームに向かった。疲れ果てたナイトの顔を見たウエートは驚き、すぐに近寄った。
「ナイト君! こんなに疲れた顔をして……目も真っ赤じゃないか」
「ずっとパソコンの画面とにらめっこをしてたもんで……」
「とりあえず空いている席に座るんだ。今すぐ疲れがぶっ飛ぶようなコーヒーを用意する」
と言って、ウエートは急いでコーヒーの用意をした。そんな中、突如照明が消えた。
「何だ?」
「停電か?」
「うわー! これじゃあ何が何だか分からんよ!」
暗闇の中、声だけが響いていた。しばらくして、消えていたはずのモニターが光り出した。
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