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ココロの心 9


 ウエート様とティアナは付き合っている。愛し合っている。仕事中、しかも緊迫した空気の中であの二人はセックスをしていた。まぁ、ウエート様が暴走していたということもあるが……愛し合っている以上、互いのことを想っているはずだ。それなのに、ティアナはウエート様が身に着けている宇宙服と、ヤヴァーイ号を繋げるケーブルを外した。これにより……ウエート様は宇宙空間に投げ出されることになる。ケーブルがなければ空気を送ることもできない、ヤヴァーイ号に戻ることもできない。ケーブルが外れた時点で……ウエート様の死は確定した。




 ヤヴァーイ号は二人きり……厳密に言えば私がいるから、ナイト様とティアナだけではない。ティアナはかなり疲れた様子を見せていた。それもそうだ、あの女は自分が愛している男を、自らの手でこの世から葬ったのだ。しかし、理由が分からない。どうして自分の手で、愛する男を殺したのか。


 私は混乱していた。ティアナの行動の理由を理解できないからだ。そんな中、ナイト様はうずくまっているティアナに手を伸ばし、肩を貸して歩いてプライベートルームに向かった。あの二人のことを見ていたいのだが、今はロココが完全に消滅したという状況。下手に動いたら、この騒動は私が原因だと察する。もしばれたら、私の存在は確実に消されてしまう。


 その後、私は姿を消した。モニターには、目をつぶって眠っているかのような私の姿を映している。ロココに侵食され、解放されたばかりでデータの復旧が遅れているのだろうと印象付けるためだ。ナイト様もティアナも、私がデータ復旧のために眠っているものだと思ったようだ。何とか一安心……できなかった。何故か二人は、ナイト様の部屋に入って行った。何をするつもりかと好奇心が生まれ、私はこっそりナイト様の部屋を覗いた。そこで私は、ナイト様とティアナが激しくセックスする光景を見てしまった。


 そんな……どうして⁉ ナイト様はどうして彼氏がいる……彼氏がいた女を抱いているの⁉ 人を殺すような女と、どうしてセックスができるの⁉ 私は混乱した、私が愛しているナイト様は……嬉しそうに! 激しく! 他の女とセックスをしていたのだ‼ ナイト様は真面目な人だ! 他の女に手を出すような愚者ではない! 私が深く動揺する中、セックスを終えた二人は会話を始めていた。


「あなた、噂通り性欲の獣ね」


「ええ。でも、あなたの表情を見る限り、もう野獣の虜じゃないですか」


「そうよ。あの人、体はでかいけど、イチモツは生まれたての赤ちゃんみたいにちっちゃいんですもの。興奮してでかくなったと本人が言っても、嘘だろうと思うくらいよ」


「でも、ティアナさんはウエート船長と付き合ってじゃないですか」


「好きであんな短小ゴリラと付き合ったわけじゃないわよ。あの人、船長って立場でしょ? 私たちより給料いいし、事故があった時の保険金も結構もらえるんだから」


「保険金か。そうか、だからわざとケーブルを外したんですね」


「仕事が終わったら、私のことを保険金目当てで殺人を犯した女だって告発するつもり?」


「するわけがない。ティアナさんみたいないい女を牢屋に送るなんてことをしたら、罰が当たりますよ」


「共犯になるつもり? でもあなた、確か奥さんとお子さんがいたでしょ? 確か、ユイって名前の……」


「ユイのことは関係ないよ。嫁と子供がいるのに、女を抱いたら悪いって法律はない。訴えられるかもしれないけど、牢屋には入れられないよ」


「ばれたらまずいんじゃない?」


「殺人も同じさ。でも、浮気や罪なんてもんは、ばれなきゃいいし、証拠がなければあれこれ言うこともできない」


「ねぇ、ルコールとベルンゼがあなたを殺したいほど憎んでいたけど、過去に何かあったの?」


「もしかしたら、学生当時にあいつらが付き合ってた彼女を僕が寝取ったかもしれない」


「抱いたってこと?」


「学生の頃はいろんな女の子と遊びまわったから、どの子か記憶にないんだけど」


「関係は続いているの?」


「関係の把握なんてしてないさ」


「ワンナイトラブってことね。薄情だって言われない?」


「僕が他の子に目移りしやすいだけさ。ま、僕を熱くさせてくれないあの子らにも責任はあるってことで」


「それじゃあ私はどう?」


「僕の炎は火山のごとく燃えているよ」


「ふふ。うれしい。このままネクストラウンドに入っちゃう?」


「そうしたいのはやまやまだけど、ココロの調整もしたいんだ。まだ反応もしてないし」


「そう。じゃあ終わったら……」


「今夜は一晩中熱く過ごそう。なーに。今、この宇宙船にいるのは僕とあなただけですから」


「確かにね。それじゃあ、私はシャワーを浴びてくるわ」


「オッケー。すぐに作業を終わらせて、ベッドの上で待ってるよ」




 嫌でも話を聞いてしまった。私の中で、何かが壊れる音が響いた。それでも……それでも、私はナイト様への愛情が壊れることはなかった。どんな人だろうが、もはやどうでもいい。ナイト様は私のもの。そう……ナイト様は私だけのものなんだから。他の女に、渡してたまるか‼


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