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ココロの心 2


 私たちを乗せたヤヴァーイ号は、無事に宇宙に向かうことができた。最初の目的地である衛星シエフイには、ナイト様以外の人たちが出向くことになっている。私とナイト様、しばらく二人きりの時間である。ナイト様は私のことを気にしており、プログラムの確認をしつつ私に声をかけてくれる。本当に優しい人だ。この時、私はシエフイと言う名前の衛星が原因不明の爆発で木端微塵に吹き飛び、中にいる人全員死ねばいいのにと思った。全員死ねば、ずっとナイト様と二人きりだから。だが、そんな過激なワガママは通らなかった。時間が経ち、ウエートさんたちがヤヴァーイ号に戻って来た。その中に、ナイト様を毛嫌いするルコールとベルンゼの姿があった。あの二人は、ナイト様の姿を見て嫌そうな顔をしていた。




 皆様のプロフィールはデータで確認したが、実際に目で見て、話をしないとどんな人物か分からない。プロフィールには、嘘を記入することが可能だからだ。


 ウエートさんはプロフィール通りの人だった。真面目で素直な性格で熱血漢。だけど、状況によっては冷静になって物事を考えることができる人。数々の任務に出向き、達成して帰ってきているものだから、同期はもちろん上司からも評判はいい。ウエートさんは好きなコーヒーを飲みながら、皆様と話をしていた。その会話の輪の中に、ナイト様はいた。だが、ルコールとベルンゼは二人で黙々と作業をしていた。そんなにナイト様のことが嫌いなのだろうか。まぁ、あんな奴らのことなんてどうでもいい。


 コーヒーを飲み続けるウエートさんを叱っていたのはトレトイルという人物。宇宙関係の仕事に携わる人ではないが、コックとしてヤヴァーイ号に乗り込んだ。見た目は苦労人という言葉が似合っているが、見た目で判断する物じゃない。過去、トレトイルはSNSにおいて、独自に開発した料理の写真を投稿したり、動画を投稿して人気になり、若手カリスマ料理人としてメディアに顔を出していた。しかし、女性問題が発生し、それが原因で人気は落ちて行った。その女性問題と言うのが、DV疑惑だ。当時付き合っていた彼女に暴力し、暴言を吐き、肉体的にも精神的にも追い詰めた挙句、自分は別の女性と性的関係を持っていた。それがきっかけで付き合っていた女性は精神崩壊。女性の家族はトレトイルを訴えた。だが、トレトイルはかなり頭が回る奴であった。DVの証拠をすべて秘密裏に処分し、逆に女性の家族を相手に名誉棄損と言うことで裁判を起こした。その結果、証拠が不十分のせいでトレトイル側の勝利。女性の家族たちは上告したが、すぐに破棄された。裁判に勝利したが、この事件のせいでトレトイルの株は大きく落ちた。


 昔は人気だったが、自身の過ちと共に人気を失うとは、まぁ自業自得だなと私は思いながら、ウエートを叱るトレトイルを見ていた。そんな中、ジギーハの笑い声が聞こえた。ヤヴァーイ号搭乗メンバーの中で最年長であるジギーハの過去は、闇そのものだった。宇宙鉱物の研究に関しては、彼の右に出る者はいない。世間ではそう言われていたのだが、本当は違う。ジギーハの周りにはライバルがたくさんいた。そのライバルは、ジギーハよりも優秀だった。ライバルの方が先に出世すると焦っていたかどうか分からないが、多分焦っていただろう。焦ったジギーハはたくさん勉強し、多くの研究のデータを発表した。だが、それらすべてのデータはあまりにも幼稚なものだった。確実にライバルに追い抜かれると考えたジギーハは、とんでもないことを考えた。ライバルの発表データを盗み、それを自身が作ったデータと偽って世間に公表した。愚かな考えを実行した後、学会や世間はジギーハのことを見直してしまった。盗んだデータが、ジギーハが作ったものだと勘違いしてしまったのだ。ジギーハはそれをきっかけに波に乗り、一気に自身の名を世間に広めていった。もちろんライバルは黙っていなかった。すぐにジギーハが研究を盗んだと声を上げた。しかし、声を上げたのが遅かった。すでに世間はジギーハの味方となっており、当時テレビに出ていたジギーハも盗んだデータを自身のものだと思わせるような仕掛けをし、データを公表していた。その結果、勘違いしたSNS利用者は逆にライバルを批判した。これにより、精神を病んだジギーハたちのライバルは、一人ずつ学会から姿を消していった。こうして、ジギーハは天下を取ってしまった。




 人には罪を犯した過去がある。大なり小なり、ありとあらゆる罪だ。トレトイルの件に関しても、ジギーハの件に関してもはっきり言ってしまえば、私から見てどうでもいい話だ。あんな奴らの過去よりも、私はナイト様の方が大事だからだ。しばらくして、皆様は仕事を始めた。そんな中、ルコールとベルンゼがこっそりと話をしていた。あの二人のことだから、きっとナイト様の悪口をネタにしているのだろうと思った。苛立つが、少し気になるため、私は聞き耳を立ててしまった。


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