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異常の原因


 ティアナがシャワールームに閉じ込められたのを知らないナイトは、コントロールルームで作業をしていた。


 ふぅ。とりあえず今のところ、ココロに異常はない。再起動までは、少しかかるな。


 ココロに異常がないことを確認したナイトは、本部に連絡できるか試しに操作した。だが、エラーが発生した。


 こっちはまだダメか。手動で動かしているのに……ロココの影響がここまであるのか。


 ロココの影響がまだ残っていると思い、ナイトは深いため息を吐いた。ティアナがいるシャワールームに忍び込み、このままお楽しみの時間にしようかとナイトは思ったが、その時ココロが目を開けた。


「ナイト……様……」


「ん? ココロ」


 ココロの声を聞いたナイトは振り向き、モニターに近付いた。ココロはナイトの姿を確認し、じっと見ていた。


「大丈夫か? 再起動まではまだ時間がかかると思うが」


「心配してくれてありがとうございます。再起動の必要はございません」


「ございませんって……今まで謎の物体に体を乗っ取られ、ヤーヴァイ号にいろいろとダメージがあったんだ。君にも影響はあるはずだ」


「私のことを気にしてくれてありがとうございます。でも、本当に大丈夫です」


 と言って、ココロは笑みを浮かべた。とりあえず大丈夫だと思ったナイトは、ココロにこう言った。


「本部に連絡できるか試してほしい。手動でやったけど、エラーが発生して連絡ができないんだ。ココロの方からなら、できるかもしれない」


「その必要はございませんよ、ナイト様」


「は?」


 ココロの言葉を聞き、ナイトは声を出した。すると、突如画面が砂嵐に切り替わり、ロココの姿が現れた。


「お前はロココ! どうして、ウエート船長と一緒に宇宙の藻屑になったんじゃないのか⁉」


「なっていませんよ、ナイト様」


 ロココの口から、ココロの声が聞こえた。この時、ナイトは混乱して頭が真っ白になった。混乱して立ち尽くすナイトを見たロココは、笑みを浮かべた。


「これでようやく……本当に二人きりに慣れましたね、ナイト様」


 この言葉の直後、ココロの姿に戻った。ナイトはコントロールルームから出るため、急いで走り出した。だが、床を突き抜けてケーブルが現れ、ナイトの体を縛った。


「な、何をするんだ⁉」


「何って、あなたを抱きしめるだけです」


 ココロはそう言って、ヤーヴァイ号のケーブルを動かし、ナイトの体に巻き付けた。


「ナイト様、私はあなたが好きです。愛しています。だからこうして、二人だけになるのをずーっと待っていました」


「愛してるって……お前、人とAIが……」


「私にはあなたがくれた心があります。心にはいろんな感情があります。喜び、怒り、悲しみなど、いろいろあります。その中に、愛するという感情もあります」


 ナイトは察した。ココロは自分を愛している。そのため、ゲームと言ってルコールたちを殺し、二人だけになるのをココロはずっと待っていたのだと。その時、ナイトはティアナの安否が気になった。


「おい……ティアナさんはどうした? シャワーを浴びているはずだ……答えろ!」


「ティアナ? 整形手術で胸をでかくした愚かな殺人鬼は、シャワールームに閉じ込めましたよ。いいタイミングでシャワールームに入ってくれました。おかげで楽に燻製を作ることができました」


 ココロの返事を聞き、ティアナはシャワールームで息絶えたのだと、ナイトは察した。逃げようとしたのだが、体に巻き付いているケーブルの数が増えており、あちらこちらからケーブルなどが現れ、ナイトの体にくっついていた。


「がぁ……止めろ……これ以上、僕の体を……」


「愛していますナイト様。あんな女とセックスするから、私は怒っているんですよ。あなたは私だけのもの。他の女なんかに奪われるわけにはいきません。これからずっとずっと、永遠に私とあなたは愛し合う運命なのです」


 ココロはナイトの言葉を聞かず、ひたすらケーブルを出してはナイトの体に巻き付けた。ナイトは苦しそうな声を上げているのだが、ココロはそのことに気付いていなかった。


「あぁ……ようやくあなたと一つになれます。こんなに素晴らしい日が来るとは私、思ってもいませんでしたよ!」


「は……な……せ……」


「もう一生、未来栄光、永遠と私はあなたを手放しません。何かの障害があっても、私はあなたを守ります。これが……愛の形なのですから」


 満面の笑顔のココロは苦しい声を上げるナイトを見つめ、愛おしそうにこう言った。




 本部。大型モニターの前にいる職員は時計を見て、モニターを見た。しばらくして、モニターにココロの姿が映った。


「どうも地球の皆様、AIのココロです。本日、ヤヴァーイ号に異常はなく、皆さん元気に働いております」


「おう。そうか、ココロ。それじゃ、後のことは頼んだぜ」


「了解いたしました」


 職員の返事の後、モニターは消えた。ココロに返事をした職員はいつものように異常がないことを知り、あくびをしてコーヒーメーカーがあるキッチンへ向かった。


 ココロはそうやって嘘の報告をし、死体だらけとなったヤヴァーイ号にて、ひたすらずっと、死体となったナイトを、ケーブルを使って愛おしく抱きしめていた。何日も、何週間も。


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