天使は死んだ
コピーココロのデータが入っているナイトのタブレットが、レーザーによって撃ち抜かれた。ティアナの耳に刺してある小型イヤホンからは、テレビの砂嵐のような音しか聞こえない。
「読めたぜ、テメーらのからくりがよぉ」
ロココは笑みを浮かべ、風穴があいたタブレットを拾うナイトを見た。
「そいつがテメーらのからくりのタネってことだったんだなぁ‼ 俺の推測だが、お前はそのタブレットに俺が体を乗っ取ったAIのコピーデータを移した! それでそいつを利用し、俺のゲームデータにアクセスしていろいろと情報を盗み見してたんだな!」
ロココはそう言うと、両腕を大きく上げた。次の瞬間、ティアナの目の前にあるレーザーの動きが速くなり、迫るレーザーの網も早くなった。
「そんな!」
「なーにがそんなだ⁉ お前らはインチキをした! インチキの代償は急激な難易度の上昇! でも俺もそこまで悪魔じゃーない! 気合でどうにかすれば何とかクリアできるレベルにはしておいた! ヒャハハハハ! 俺って優しいだろ?」
ロココの笑い声を聞き、ティアナは苦虫を嚙み潰したような顔になった。ウエートはティアナの方を見て、声を出した。
「ティアナ! 君ならできる! あんな奴の言葉なんて聞くな!」
ウエートの声を聞き、ティアナはとにかく早くクリアしようと思い、立ち上がって前に進んだ。
レーザーの動きは早くなったけど、私の体が通れるくらいのスペースはある。ただ、動きが速くなっただけ!
レーザーの動きを見てこう思ったティアナは、タイミングを見計らってレーザーをかわした。その動きを見てウエートは歓喜の声を上げ、ナイトは安堵の息を吐いた。
「これならクリアできそうですね」
「ああ。あと少しでゴールだ。ティアナならやってくれるはずだ!」
と、ナイトとウエートは会話をしていた。
ゴールまであとわずか。ティアナは先にあるゴール地点を見ながらこう思ったが、内心ではロココが意地悪をするであろうと考えていた。ロココは意地が悪い奴であるとティアナは知っており、そういう奴だからこそ、安心しきっているゴール手前で何かをすると予測していた。
とにかくあと少し。それまで、気を抜かないようにしよう。
そう思い、ティアナはレーザーをくぐりながら進んだ。しばらくし、あと十歩ほどでゴールできる近さまでティアナは到達した。だが、後ろから迫るレーザーの網も、ティアナの少し離れた場所まで接近していた。
「ティアナ、あと少しだ!」
ウエートの声が聞こえた。ティアナは周囲を見回し、いきなりレーザー砲が現れるかどうか確認し、安心だと思って前に進んだ。
「おーっと。そろそろゴールか。でも……油断はしていないようだねぇ」
ゆっくりと動くティアナを見て、ロココは下種な笑みを浮かべてこう言った。その時、ティアナの背後からレーザーが放たれた。
「なっ⁉」
「通った場所のレーザー砲は使わないって……俺は言ってないからな」
驚く表情のティアナに向かって、ロココはこう言った。ティアナは急いで別の場所に移動し、放たれたレーザーに当たらずに済んだ。だが、二発目のレーザーが放たれた。
「ティアナさん! 二発目が!」
「もう、そんなの卑怯よ!」
「卑怯? テメーらだって粗悪なAIのコピーを使って、俺の手の内を探ってたじゃねーかァァァァァ‼」
大きな声で笑いながらロココはこう言った。ティアナは場所を変えてレーザーをかわした。だが、三発、四発目のレーザーが放たれるだろうと考え、ゴールしてこんなくだらないことを終わらせようとティアナは考えた。目の前にある二本のレーザーは激しく上下に動く。レーザーが上と下に動けば、飛び越えて先に移動できる。が、レーザーの動きは早く、なかなかタイミングを合すことができない。
「ほーれほれ。さっきの威勢はどこへ行っちゃったのかなー?」
立ち止まっているティアナを見て、ロココはこう言った。早くせねば、レーザーの網に焼かれるか、レーザーによって撃ち抜かれる。そう思ったティアナは目の前のレーザーの動きを見て、大きくジャンプした。
「飛んだか。へへ、デカ乳が大きく揺れてらぁ」
ジャンプしたティアナを見て、ロココは笑った。ティアナはタイミングよく、二本のレーザーが上下にある状況でジャンプした。
「これで……行けるか?」
ウエートは両手を握りしめてこの状況を見守っていたが、ナイトは最悪な状況になるかもしれないと思い、目をつぶっていた。
「頼む……クリアしてくれ!」
と、ナイトは小さく呟いた。
ティアナがジャンプしてしばらくの間が空いた。何も音がしないので、目をつぶっていたナイトは不審に思い、目を開けて周囲を見回した。大量に放たれていたレーザーは消えており、ティアナの後を追っていたレーザーの網も消滅していた。
「ウエート船長……ティアナさんは?」
ナイトは恐る恐るウエートに尋ねた。ウエートは前を見るようにとジェスチャーをし、そのジェスチャー通りにナイトは前を見た。そこには、ゴール地点で倒れているティアナの姿があった。
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