恐怖のビームロール
怒りを露わにしたベルンゼが落ち着きを取り戻したところで、ロココは第四のゲーム、<ビームロール>の開始を宣言した。
「それじゃあ激おこぷんぷん丸だったベルンゼさん! ビームでサイコロステーキみたいにならないように気を付けるこった!」
「うるせークソAI!」
「ベルンゼ、あいつのペースに乗せられているぞ!」
ウエートの言葉を聞き、ベルンゼは自身の両頬を叩いて気合を入れた。そんな中、イヤホンからコピーココロの声が聞こえた。
「ベルンゼ様。今回も私があいつの動きを読み、どんな動きをするか伝えてまいります」
「AIに頼るのは気に食わねーが、生き残るためだ。仕方ねー」
と言って、ベルンゼは一歩歩いた。すると、周囲に無数のレーザーが現れた。
「動きはゆっくりです。最初の関門はタイミングを見て、のれんをくぐるように動いてください」
「簡単すぎるな」
「最初だからです。ゲームと同じやり方ですよ。最初は楽だけど、後々難しくなってクリアができなくなる」
「本当にゲームで遊ぶガキみたいだな、ロココのクソ野郎は」
小さな声でコピーココロと会話をするベルンゼは、最初のレーザーを何とか潜り抜けた。
「へぇ。やるもんだな。恐怖心っつーのがねーのか?」
「うるせータコ。黙ってみることができねーのか?」
「スポーツには実況がつきものだろ? その方が盛り上がる」
「盛り上がるのは喋ってる奴らだけだ。選手にはそんな声は届かないし、観戦している連中も見る方に夢中で、うるさい声には耳を傾けない」
ベルンゼの言い返しを聞き、ロココはふざけた表情をした。
「ブサイク面のくせに、そんな賢い言葉を返すとは驚いたよ。昨日のうちに頭がよくなる本でも読んだかね?」
「俺は元から頭がいいんだ。テメーみたいにガキのような残酷なゲームを考えるだけの頭脳を持っちゃいねーんでな」
「そうかいそうかい。それじゃ、早く先に進みなよ自称天才ブサイク君。このゲームをクリアして、君の頭脳の良さをこの私に見せつけてくれたまえ」
「ふざけたことを抜かしやがって!」
苛立ったベルンゼだが、前を見て落ち着きを取り戻した。まだ始まったばかり、ロココを黙らせるにはこのゲームをクリアするしかないとベルンゼは考えた。
それからベルンゼはゆっくりと歩きつつ、コピーココロのアドバイスを聞いてレーザーを回避した。その様子を見たティアナは、ナイトの方を見た。
「コピーココロちゃん大活躍ね」
「確かにそうですけど……」
「ロココのことだ。これをクリアしても、同じことを何度もさせると考えているのだろう?」
小声でウエートが会話に入ってきた。その通りだとナイトは小声で返事をしつつ、頷いた。ウエートはゆっくりと歩いて進むベルンゼを見て、言葉を続けた。
「最初だからか、レーザーの動きがゆっくりだ。次は難易度が上がりそうだな」
「ロココのことですし、確実に上げるでしょう。ベルンゼが死ななければいいですが……」
と、ナイトは心配そうな顔でこう言った。そんな中、ウエートは意を決してあることをナイトに質問した。
「ナイト君。君とベルンゼ君の間には何かがあったのか?」
この質問を聞き、ナイトは驚いた表情をした。
「過去に……ですか?」
「ベルンゼ君……そして命を落としたルコール君は君のことを恨んでいるように見えた。何かがあったとしか……」
この問いに対し、ナイトはしばらく考えた。そしてこう答えた。
「すみません。分からないんです。彼らは僕が通っていた専門学校の同期と言っていますが、僕はプログラム、彼らは別のクラスです。何故、恨まれているのか僕の方が聞きたいですよ」
「本当に身に覚えがないのか? 例えば、女関係で何かあったとか?」
ナイトの両目は少しだけ上がった。だがその直後、ティアナの声が響いた。
「ベルンゼ君! 下がって!」
ベルンゼは上から放たれるレーザーに気付かず、歩き続けていた。ティアナの声を聞いたベルンゼは上を見て、すぐに後ろに下がった。その直後、上からレーザーが降ってきた。
「あ……あぶねぇ」
額から流れる冷や汗を拭い、ベルンゼはロココを睨んだ。
「おいコラ! 不意打ちは卑怯じゃねーか!」
「卑怯も何もねーだろうが! そう簡単にクリアできるほど、甘くねーことだ! ほら、突っ立ってお喋りしていると、後ろのこわーいレーザーが追い付いちゃうぜ?」
ロココの言葉を聞き、ベルンゼは後ろを振り向いた。そこには絡み合うように放たれたレーザーがあり、ゆっくりとベルンゼに向かって近付いていた。
「そんなのアリかよ! 時間制限はないって言っただろうが!」
「確かに言ったさ。でも、後ろからレーザーが追いかけてくるとは言ってないぜ?」
「あとから設定を追加したのか? クリアさせる気ねーだろお前‼」
「ギャーギャーうるさいブサイクだな! 死にたくなければさっさとクリアしろよ! そーすりゃー命は助かるんだからよォ‼」
「この野郎、クリアしたらお前のプログラムを力づくで消してやるからな!」
と言って、ベルンゼは走り出した。ゆっくりと動くレーザーを難なく飛び越え、ベルンゼはゴール地点に到達した。
「どうだ! 見たか、クソ野郎‼」
ゴールしたと同時に、ベルンゼはロココに向かって右手の人差し指を向けた。
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