宇宙船の仲間たち
ヤヴァーイ号が発射して数時間が経過した。無事に宇宙に到達したヤヴァーイ号は、宇宙衛星シエフイにいた。そこで乗組員たちは仕事の内容を聞き、任務の支度をしていた。ナイトはリビングキッチンルームに残り、モニターに映るココロと話をしていた。
「今、ココロのプログラムを確認したよ。異常はなかった」
「一安心です。ナイト様、私の方でヤヴァーイ号の内部を確認しました。そちらも異常はありません」
「オッケー。それじゃ、皆が戻るまで僕は休むよ」
と言って、ナイトは近くにあった椅子に座った。ココロは椅子に座って休むナイトを見ながら、もう一度ヤヴァーイ号の内部を思い出していた。
ヤヴァーイ号の中には、五つのルームと呼ばれる区域がある。
ナイトとココロがいるのはリビングキッチンルーム。食事をするのはもちろん、ミーティングなどで使われる部屋である。
二つ目に、プライベートルームがある。この中にはいくつか部屋があり、船員に一つずつ部屋が割り当てられている。船員たちは寝る時、その部屋を使うのである。
三つ目に、ワークルームがある。ここにはナイト用に作られたココロのプログラムを確認する部屋や、任務中に手に入れた物質を調べる研究ルーム、食料保管庫など、それぞれの役割に当てられた部屋がある。
四つ目に、コントロールルームがある。ヤヴァーイ号の操作や、地球への連絡で使われるとても大事な部屋ある。そのため、この中に入れるのは限られた人間だけである。その中に、ナイトが入っている。
最後の五つ目に、サイドルームがある。ここはヤヴァーイ号の両側に置かれており、燃料など、重要なものが設置されてある。そして、ヤヴァーイ号から宇宙に飛び出すのにも、このルームにある部屋が使われている。
ナイトが安堵した表情で座っていると、リビングキッチンルームの扉が開き、仲間たちが部屋に入ってきた。
「待たせてすまないな、ナイト君! 話は終わったぞ!」
と、笑いながら近付いてきたのがヤヴァーイ号の船長であるウエート・ブライン、三十四歳。ウエートはキッチンに向かい、コーヒーを作り始めた。その姿を見て、次に部屋に入ってきた美女がほほ笑んだ。
「あなた、すぐコーヒーを飲むんだから。コーヒーは健康的だけど、飲みすぎには注意してね。いくら体にいいと言っても、飲みすぎたら毒になるんだから」
そう言って、美女はココロに挨拶をした。この美女の名はティアナ・フォアスト、二十八歳。ヤヴァーイ号の副船長であり、ウエートの彼女である。
ウエートがおいしそうにコーヒーを飲んでいると、それに気付いた男性が声を発した。
「船長! まーたコーヒーを飲んでいるんですか? あんたのコーヒー好きは知っていますが、少しは自重してくださいよ! 限りがあるんですからねぇ」
声を出したのはヤヴァーイ号のコック、トレトイル・ナッキン、三十歳である。ウエートは笑いながらすまないと言ったが、トレトイルの機嫌は戻らなかった。そんな中、少し間を置いて不機嫌そうな表情の男がリビングに入ってきた。
「む……チッ」
男はナイトの顔を見て、舌打ちをした。この男の名はルコール・パセルト、二十八歳。ヤヴァーイ号のコントロールを担当している。数少ないコントロールルームで作業ができる一人である。ルコールの舌打ちを聞き、ナイトが申し訳なさそうにそっぽを向くと、笑い声が聞こえた。
「だーっはっは! あんな長話は年寄りにはきつい! 簡単に話をまとめることはできんかのー?」
この愉快な男性はジギーハ・コルオン、六十五歳。宇宙で発見される鉱石の科学者である。ジギーハはナイトの横に座り、大きく息を吐いた。
「大変だよナイト君! 今回の仕事は未確認の隕石を一部採掘しろとのことだ! 安い金でこんな大変な仕事をさせる企業を君はどー思うかね? え?」
「え? ま……そりゃまぁ……大変でしょうね」
「おいジジイ、こんな野郎に話しかけんなよ」
と、次にリビングに入ってきた男、ベルンゼ・シクハークが低い声でこう言った。ベルンゼは二十九歳で、通信担当である。彼もまた、コントロールルームで操作ができる人間である。
「何を言うんだ君は? 空気を変えるようなことを言うもんじゃない!」
「ジギーハさんの言う通りだ」
コーヒーを飲み終えたウエートが、ナイトを睨むベルンゼに近付いた。
「何があったのか知らんが、今はいがみ合う状況ではない。他人の上げ足を取るようでは、まともな仕事はできん」
ベルンゼはナイトの前に立ったウエートを見て動揺し、舌打ちをして去って行った。ナイトに対して悪態をつくベルンゼを見て、ウエートはナイトを見た。
「彼は知り合いかね?」
「いえ……専門学校で一緒……だったかかな? ですが、そこまで話す仲ではありません」
と、ナイトは少し困惑してこう答えた。困った顔をするナイトを見て、ティアナはナイトに近付いた。
「困った時は私かあの人に言うのよ? ココロちゃんも心配するからね」
「はい。心配してくれてありがとうございます」
と、ナイトは丁寧に頭を下げてこう言った。トレトイルは少しだけ不穏な空気を察し、恐る恐るウエートに小声でこう言った。
「こんな険悪な空気で大丈夫なんですかね?」
「ま、何とかなるだろ」
ウエートから返ってきたのは、何とも気楽な返事だった。この返事を聞き、トレトイルは少し不安になった。
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