ココロが生まれた日
西暦3333年。人類はありとあらゆる技術を生み出し、活用して生活面において革新を起こしていた。そしてついに、手軽で簡単に宇宙へ旅立てる方法を見つけ、誰でも宇宙旅行を楽しめる時代になった。それでも、宇宙の謎を解き明かすまでにはいかなかった。
技術が発展したのは宇宙関係ではない。AI関係も発展していた。AIが登場した時代と比べ、AIは人類の生活に欠かせないものになっていた。
AI生成プログラマーのナイト・マコトノは、パソコンの画面を凝視しながら新しいAIのためのプログラムを作っていた。そんな中、同僚のドスコイ・ウワテナゲがコーヒーカップを持ってやってきた。
「お疲れさん。作業を始めてかなり時間が経ってるぞ。ぶっ通しでやるのもいいけど、集中力が落ちて質が悪くなるぞ」
「ああ、ありがとう。警告を受け取っておくよ」
ナイトはドスコイの顔を見て、安堵の息を吐き、コーヒーカップを受け取った。ナイトがコーヒーを飲んだのを確認したドスコイは、パソコンの画面を見て声を上げた。
「そろそろ完成するか?」
「あともう少しだよ。ぶっ通しでやった結果がこれさ」
と言って、ナイトはマウスやキーボードでパソコンの画面を切り替え、ドスコイに見せた。そこには、十代くらいの少女が目をつぶって眠っている様子が映っていた。
「これが、探索用宇宙船ヤヴァーイ号に搭載予定のAIか。子供っぽい見た目だが、それでいいのか?」
「船員に安心感、そして安らぎを与えるようなキャラデザインにしてくれと言われたんだ。子供なら受けがいいかなって思ってね」
「まぁそうだが、こりゃーあまりにもアニメに出てきそうな絵面だぞ」
「日本で作られたアニメは、何千年経った今でも世界の人々を楽しませている。アニメが嫌いな人を探すのが難しいさ」
コーヒーを飲み終えたナイトはそう言うと、画面を戻して作業を再開した。すぐに仕事を始めたナイトを見て、ドスコイは去り際に「少しは休めよ」と言った。
それから一時間後、作業中のドスコイの元に、笑みを浮かべたナイトがやってきた。
「やったぞドスコイ! 完成した!」
「おお! ついにAIが完成したのか!」
ナイトの言葉を聞いたドスコイは椅子から立ち上がり、急いでナイトのパソコンへ向かった。ナイトはキーボードでパソコンを操作し、少女を画面に映した。
「こんにちは……あなたが、ドスコイ・ウワテナゲさんですね?」
AIの少女に名前を言われたドスコイは、驚いて目を丸くした。
「すごいな。俺を認識したぞ!」
「ああ。パソコンの上を見てくれ。こいつはこの子が周りを認識するためのカメラ。この子はこれを通じて僕たちの状況を確認できるんだ」
「それで、周りの状況を把握するのか」
「ああ。それに、各社から販売されてるいろんなカメラにも対応している。それをいろんな場所に付ければ、この子が認識できる」
「へー。丁寧なこった」
「驚くのはまだ早い。この子は人と同じ心を持っている。これが、一番重要だ」
ナイトの言葉を聞き、ドスコイは驚いた表情をした。
「つまり……あれか? この子も俺たち人間のように考えて、答えを出すことができるってことか?」
「その通り! 今の世の中、いろんなところにネット回線がある。見えないところにもね。この子はそれを通じていろいろなことを学習する。国語、数学、化学、歴史はもちろん、日本語や英語、イタリア語などもその気になれば学習できる!」
「幼い見た目なのに、結構やることが多いな」
「当り前さ。この子が働く場所は、宇宙船。いろんな情報が欲しいだろうからね」
「褒めてくれて、ありがとうございます」
と、パソコンの中の少女は頭を下げて礼をした。
「おお。礼儀正しい」
「常識ももちろんあるぞ。さて、残りはこの子をヤヴァーイ号に搭載するだけだ」
ナイトは仕事があと少しで終わると思いながらこう言った。その時、ドスコイが何かに気付いた。
「せっかくだから、この子に名前を付けたらいいんじゃないか?」
「名前?」
「ああそうだ。こんなにかわいい見た目に作ってもらったんだ。名前を付けたら愛着がわくと思うぜ?」
「ペットみたいだが……まぁいいかもな」
ナイトとドスコイの会話を聞いていた少女は、嬉しそうな表情をした。
「名前ですか? ありがとうございます。こんなAIのような私に……」
「ははは。気にするな。名前は絶対に必要だからな。さて、どんな名前にしようかな……」
ドスコイが笑いながらこう言うと、ナイトははっとした表情でこう言った。
「ココロ。ココロなんてどうだ?」
「人の心を持ったAIだから、ココロってことか? それはさすがに安易すぎじゃないか?」
「難しいよりいいと思うよ。変な名前にしたら、この子になんて言われるか。ココロ。君はどう思う?」
ナイトは少女に向かってこう聞いた。ココロと言う言葉を聞き、少女は嬉しそうに頷いた。
「とてもいい名前です」
「うーん。この子が気に入ってんならまぁいいか」
ドスコイは微笑み、こう言った。
数日後、AIのココロは宇宙船、ヤヴァーイ号に搭載されることになった。画面の中のココロは不安そうな表情だったが、ナイトの顔を確認し、安堵した表情になった。
「大丈夫だよココロ。今回、君の管理役として僕もヤヴァーイ号に乗ることになったから」
「嬉しいです。でも、あなたはAIプログラマー。宇宙船に乗るのはかなり過酷では?」
「これまで何度も宇宙船に乗って、宇宙旅行を楽しんだことがある。宇宙船に乗るのは慣れっこだよ」
と、ナイトはココロを安心させるため、笑顔でこう言った。それから数時間後、ヤヴァーイ号は宇宙に向かって旅立っていった。
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