ココロ復活
多少のトラブルがあったが、ナイトは自身が持つタブレットでココロを一から作ることを考えた。ロココが体を乗っ取る数時間前のバックアップデータの存在、そしてナイト自身がココロを作った時に入力したプログラムを覚えていたことにより、ココロの復活作業は早く進んだ。
プログラム入力中、ナイトは時折砂嵐を映すモニターを見ては安堵の息を吐いていた。もし、この状況をロココが知ったら、状況が悪化する可能性があるからだ。それでも、悪いこの空気を打破するためにココロの力が欲しい。頼むからばれないでくれと、ナイトたちは心の中で祈っていた。
数分後、プログラムを入力し終えたナイトは新しくできたアプリのアイコンをタッチし、画面を出した。そこには、目をつぶっているココロの姿があった。
「ココロちゃん」
ココロの姿を見たティアナは、小さな声でこう言った。ナイトは小型マイクをタブレットに装着し、小声を発した。
「ココロ、僕の声が聞こえるか? 返事をするなら、小さな声で頼む」
「はい、ナイト様。了解しました」
ココロが返事をしたことにより、ウエートたちは安堵の笑みを浮かべた。ココロはウエートたちの顔を見回すように動かし、口を開いた。
「バックアップデータを参照しました。外部の何かがオリジナルの私を乗っ取ったみたいですね」
「いろいろと調べたいことがある。ロココに気付かれないように動けるか?」
「やってみます」
返事をした後、ココロは目をつぶった。
「何をやっているんだ?」
「このヤーヴァイ号のコンピューター内を調べています」
と、ナイトはウエートにこう答えた。その直後、ココロが目を開けた。
「外部からの侵入者はオリジナルの私の体を使い、ヤーヴァイ号のコンピューターをいろいろといじっているようです。今の私に、ヤーヴァイ号のコンピューターのプログラムを修正することは不可能です」
「クソッ! 結局直せねーのかよ!」
苛立ちながら、ベルンゼが椅子を蹴った。ウエートがベルンゼを落ち着かせた後、ココロの方を見た。
「ロココの動きは分かるか?」
「いえ、あいつは今、身動きすらしていません。外部からの侵入者対策であらゆるプログラムの中に、ハッキング対策のプログラムを生成しています」
「勝手に乗り込んで、自分ちみたいに防犯システムを作ったのか! 侵入者はあいつだろうが!」
「落ち着くんだベルンゼ。ナイト君、とりあえずロココの動きを観察するのは止めた方がいい。新しく作ったココロちゃんの体も、あいつに乗っ取られる可能性がある」
「その心配はありません」
ナイトの返事を聞き、ウエートは目が点となった。ナイトはタブレットを持ち、説明を始めた。
「僕のタブレットには外部が侵入して勝手に操作できないようにしています」
「つまり、このタブレットはナイト君しか使えない。他の侵入者が入ろうとしても、乗っ取ることはできないってことね」
納得した様子のティアナがこう言った。ナイトは頷き、話を続けた。
「ロココがこの存在に気付いて乗っ取ろうとしても、僕専用の特殊なネットワークを使っています。なので、ネットワークを通じてこのタブレットに潜入することもできません」
「念入りに防犯面を強化したというわけか」
「その通りです」
ナイトがこう言うと、画面に映るココロは何かに気付いた様子を見せた。
「皆様、ロココが動きます! 私は一度、ナイト様のタブレットに避難します!」
「ああ」
ナイトがココロの言葉に返事をした後、突如リビングキッチンルームの照明が消えた。
「なっ! 灯りが!」
「次は一体何をするつもりだ? 肝試しでもするのかよ?」
「そんなバカなガキみたいなことをするとでも思っているのか?」
ベルンゼの言葉に反応し、壁にあるモニターにロココの姿が映った。ロココは笑いながら話を始めた。
「次のゲームの時間だ! 十分休んだだろ? そいじゃま、早速次のゲームの説明だ!」
ロココがこう言うと、床の一部分に丸型の灯りが点いた。それを見たベルンゼは、鼻で笑った。
「何だこれ? これを踏めってことか?」
「話はまだ終わってねーよ! 次のゲームは<ミュージックオン>と言う名前だ! 昔からゲーセンに音ゲーってのがあるだろ? それと似たようなもんだ!」
「今から流す音楽に合わせて、灯りを踏めってことか?」
ウエートの言葉を聞き、ロココは頷いた。
「そうだ。今からこの部屋中に灯りを灯す。音楽に合わせて灯りの外にわっかが現れる。そのわっかが灯りの周りにぴったりとくっつくように踏むんだ! 少しテンポがずれてもいいが、わっかが灯りの中に入っちまったらミスってことだ! ま、とりあえず一度お試しでやってやるぜ!」
ロココがそう言うと、灯りの周りにわっかが現れた。ゆっくりとわっかは小さくなっていき、近くにいたウエートがわっかが灯りの周りに重なった時に灯りを踏んだ。踏んだ直後に『グレート‼』と表示され、灯りは消えた。
「本当の音ゲーみたいだな」
この様子を見たベルンゼは呟いた。ロココは笑みを浮かべ、こう言った。
「ルールは理解できたようだな。それじゃあ楽しい音楽を流すぜ!」
その直後、激しいロック音が部屋中に響いた。
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