トレトイルの運命
第二のゲーム、アスレチックダイ。食料が詰め込まれているコンテナから逃げるゲームである。残り時間後わずかのところで、コンテナがトレトイルの真上に現れ、落下した。この時、誰もが目をつぶって後ろを見た。
「なっ……うわァァァァァァァァァァ‼」
トレトイルの叫び声が響いた直後、コンテナが落下した重い音が響いた。音が聞こえなくなった後、ウエートは恐る恐る後ろを振り返った。
「トレトイル……トレトイル? 無事なら返事をしてくれ!」
「無駄だ。あのデブ、運がなかったな」
ロココの声を聞き、ウエートはトレトイルがどうなったか察した。ナイトたちも後ろを振り返り、落下したコンテナを見ていた。
「おいおい、あのデブのことがそんなに心配なのか? しゃーねーなー。それじゃあ見せてやるよ」
コンテナを見ているだけのナイトたちに向かってロココはそう言い、天井のアームを動かした。アームは落下したコンテナを掴み、上に持ち上げた。コンテナの底には、トレトイルであっただろう血肉が付着していた。それを見たベルンゼは吐き気を覚え、壁のほうに歩いて咳き込み、ティアナは悲鳴を発した。
「あーあ。これで二人死んじまったなー。かわいそーに、キャハハハ! あ、あのジジイを含めたら三人か」
「お前は人の命を何だと思っているんだ⁉」
ジギーハ、ルコール、そしてトレトイルの命を侮辱されたと思ったウエートは、ロココが映るモニターに向かって叫んだ。ロココはしばらく黙った後、バカにするような笑みを浮かべた。
「人の命? 俺は何とも思ってねーよ。AIにそんなことを聞くなんて、お前もバカだな」
「クソッ!」
ウエートは怒りのあまり、近くにあった柵を強く蹴った。
「さーてと、おバカなゴリラが一匹怒って大暴れ中だけど、ゲームは続けるぜー。そいじゃ、次はそこのハンサムさん! お前の出番だよ」
ハンサムと言われ、咳き込んでいるベルンゼは恐る恐る自分を指差した。
「バカ野郎! おめーじゃねーよ! おっぱいでけーねーちゃんの後ろにいるお前だよ!」
「なっ……僕か⁉」
ナイトは自分が指名されていると察し、動揺していた。ロココは不機嫌な顔になり、こう言った。
「そうだよ。早くしろ。でねーと、こいつらの上にコンテナを落とすぞ」
この言葉を聞き、ナイトはティアナを見た。ティアナは残念そうに目をつぶってこう言った。
「皆の命がかかっている以上、あいつの言うことを聞いた方がいいわ」
「そうですね……ティアナさん、これ、持っててください」
と言って、ナイトは持っていたタブレットをティアナに渡した。ウエートはティアナが持つナイトのタブレットを不思議そうに見たが、ナイトがこう言った。
「無事に戻ってきたら教えます。僕が死んだときのため、パスワードが置いてある場所を教えます」
「パスワードか……」
「プライベートルームの僕の部屋のベッドの近くのライトの下です。もし、僕が死んだらそのパスワードを使ってタブレットを再起動してください」
そう言って、ナイトは下に降りた。咳き込んでいたベルンゼはナイトが指名されたと聞き、危機としながら下を見た。
ヘッ、ようやくあの野郎の最期の時か。さっさとくたばれ!
と、ベルンゼは心の中で思った。
ナイトが下に到着する前、ロココはアームを使ってコンテナを片付けていた。片付けが終わった後、ナイトはロココが映るモニターに向かってこう言った。
「さぁ、僕は覚悟ができているぞ」
「そう焦んなって。ゲームが始まる前に覚悟を決めるのはいいことだが、あまり緊張するのもよくねーぜ? 焦りは失敗を引っ張るみてーだからな」
ロココはそう言って、カウントダウンを始めた。モニターの数字が0になった直後、コンテナが現れた。
最初は逃げ場所が多い。とにかくコンテナの動きを見るんだ。
そう思いながら、ナイトはコンテナの落下場所を見極め、逃げた。
「このまま、逃げ切ればいいのだが……」
「ええ。本当にそうね」
ウエートとティアナは逃げるナイトを見てこう言った。逃げるナイトの姿を見て、ティアナは無事にナイトが戻ってくることを祈りながら、渡されたタブレットを強く握った。
「ナイト君、生きて」
と、小さく呟いた。その一方で、ベルンゼは次々と落下するコンテナから逃げるナイトを見て、心の中でこう思っていた。
あークソッ! ロココの野郎、ちんたら楽しんでないでとっととあの野郎をぶっ殺せ!
ベルンゼは一人だけ、ナイトがアスレチックダイを失敗してくれと願っていた。
二回目のアスレチックダイが始まって半分が経過した。まだ逃げ場所はあるのだが、ナイトは緊張と焦りのせいで、かなり体力を消耗していた。だが、集中力はまだ持続していた。
疲れが限界だけど……まだ、落下するコンテナの位置を計算する余裕はある。逃げ場所もある。ロココが考えそうなことをまとめる余裕もある!
何とか動けると自分で思い、ナイトは落下するコンテナから逃げた。
残り時間が迫る中、ナイトは落下するコンテナをギリギリでかわした。落下した時の衝撃で前に吹き飛ばされて倒れてしまったが、何とか立ち上がろうとした。しかし、ズボンのすそがコンテナに挟まってしまい、そのせいで立ち上がることができなかった。
「なっ⁉ こんな時に!」
ナイトは急いでズボンを脱ごうとしたのだが、ナイトは自身の頭上に、アームで運ばれたコンテナがあることを察した。
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