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恐怖のアスレチック


 なんで俺がこんな目に?


 そう思いながら、トレトイルは上を見上げていた。最初のコンテナをかわすことができたが、すぐに次のコンテナが現れた。


「さぁ、そろそろコンテナが落ちるぜ!」


「頼むから、勢いを付けて激しくコンテナを落とすのは止めてくれよ! 保存食がメインだけど、食品なんだ! 丁寧に扱ってくれ!」


「うるせぇデブ! んなこと俺の知ったことじゃねぇ!」


 トレトイルの泣き言に対し、ロココは笑いながらこう言った。その直後、トレトイルのすぐ横にコンテナが落下した。


「あ……危ない!」


 コンテナの落下する音を聞き、ウエートは叫んだ。あまりにも危険な光景だったため、ティアナは目を背けていた。


「はぁ……はぁ……」


 トレトイルは真横のコンテナを見て、冷や汗をかいていた。その様子を見ているロココは、再び笑いだした。


「あっひゃひゃひゃ! 運がいいなデブ野郎!」


「デブって言うな!」


「本当のことを言って何が悪い? 人間ってのは面白い、本当のことを言うと怒るなんてなぁ! おっと、そろそろ難易度アップのお時間だ!」


 ロココがこう言うと、次のコンテナが現れた。その数は、二つあった。


「うわわわわわ! 数が増えた!」


「さっき難易度が上がるって言っただろうが! 人……もといAIの話をちゃんと聞かないデブだなぁ!」


 慌てふためくトレトイルを見て、ロココは笑った。それからしばらくして、トレトイルの近くのコンテナが落下した。


「うわぁ!」


 落下した時の衝撃で、トレトイルは後ろに転んだ。その直後、頭の後ろにコンテナが落下した。


「は……はぁ……はぁ……」


 あと少し、頭を動かしていたら、自分の頭はコンテナの下敷きになっていた。そのことを考えたトレトイルは、恐怖で体が動かなくなった。トレトイルの体が震え出したのを見たナイトは、口を開けて驚いた。


「まさか、トレトイルさんは恐怖で体が!」


「動かなくなってしまったのか!」


 ウエートの言葉を聞き、ナイトは頷いた。ベルンゼは倒れているトレトイルに向かって、口を開いた。


「おーい‼ 早く動けー‼ 次のコンテナが出てきたぞ!」


 ベルンゼの声を聞いたトレトイルは表情が変わった。その様子を見たナイトは、トレトイルが我に戻ったと確信した。


 とにかく、動かないと!


 そう思ったトレトイルは、ひたすら上で動くコンテナを見た。うち一つは自身の近くで動いており、別の一つは遠くにあった。


 あのコンテナを使って、俺を潰すつもりか!


 心の中でトレトイルは叫び、ひたすら走り回った。


「ほう。あのデブ、結構体力があるじゃねーか。すぐにばてると思ったんだけどよ」


 走り回るトレトイルを見て、ロココは呟いた。その直後、コンテナが再び落下した。トレトイルは何とか落ちるコンテナを避け、別の場所に避難していた。


「時間は……あとどのくらいだ?」


 トレトイルはロココが映るモニターを見て、残り時間を確認した。この時点で、残った時間は一分となっていた。


「あと一分か……」


「油断してるな? 気を付けろよデブ野郎。難易度はまだまだ上がるぜ!」


 ロココがこう言うと、次々とコンテナが現れ、下に落ちて行った。トレトイルは風を確認しながらコンテナが落ちる位置を確認し、かわしていった。


「すごいすごい!」


「この調子なら、クリアできる!」


 ティアナとウエートはトレトイルがコンテナをかわす動きを見て、歓喜の声を上げていた。ナイトとベルンゼも、安堵の表情をしていた。


「はっ、クリアした気でいるか。時間は一分もないからって油断しているな? 難易度はこれからもっと上がるぜ?」


 ロココの言葉を聞き、トレトイルは大声を出した。


「まだコンテナを使うのか? 食べ物を無駄にするつもりか⁉」


「俺は食事をとらないから大丈夫なんだよ! 人間ってのは不便だな、生き物の肉を食わないと生きていけないなんてなぁ‼」


 トレトイルに向かって、ロココは叫んだ。その後、再びコンテナが現れた。




 ティアナはふと、横にいるナイトの方に顔を向けた。ナイトはトレトイルの様子を見つつ、何度か手元の方に視線を映していた。


「ナイト君?」


 ティアナの声を聞き、ナイトは静かにするようにとジェスチャーをした。


「今、僕に話しかけないでください。あいつにばれたくないので」


「ええ。分かったわ。ごめんなさい」


 ティアナは小さな言葉で謝り、再びトレトイルの方に視線を映した。トレトイルが懸命に動く中、ティアナはナイトが何をしているのだろうとずっと考えていた。




 残り時間は三十秒を切っていた。コンテナは隅から隅まで埋まり、トレトイルの行動範囲が徐々に狭くなっていた。


「ハッハッハ! もう逃げ場がなくなってきたな! どうするおデブちゃん?」


 ロココは焦りの表情を見せるトレトイルに向かってこう言った。トレトイルは極限の疲労、そして焦りと緊張のせいでロココに言葉を返す余裕もなかった。そんな中、新しいコンテナが現れた。


「これがラストになるかもな! おいデブ野郎! お前がぺったんこになったら念仏でも唱えてやろうか?」


「そんなこと……しなくて……いい……」


「そんなことを言うなよ! せっかく人が親切のつもりでこう言ったんだ!」


 ロココがこう言うと、コンテナは落下した。落下した場所は、トレトイルの真上だった。


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