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第46話 昔話の伝説を聞くまで!

とりあえずミーナのところを後にした俺たちは買い物をするのは明日にして今日は休むことにした。



俺は宿の部屋に戻り(もちろん1人部屋である)これからについてあれこれ考えていた。



「確かにミーナの言う通り、完全に足手まといだもんなー。 人に頼ってばかりじゃなくて自分でもなんとかしないとな」



せっかく魔法と科学の街なんだから、新しい武器や魔法液買おうかな。

俺はベッドに座り、財布の中を確認する。 今回の報酬はこないだ大半使っちゃったからなー

残りのお金でどれくらい買えるだろ?



あれこれ考えているとコンコンとドアをノックされた。



「あのティアラです。 ソウタさんちょっといいですか?」



「ああ、いいよ」



俺がそういうとドアを開けてティアラが入ってきた。俺は椅子を進めティアラは失礼しますと一言言って椅子に座る。

ティアラはお風呂上がりのようで髪はまだ少し濡れている。 そして彼女が動くたび石鹸の匂いなのかなんなのかいい匂いがする。




「どうしたんだ? こんな遅く…というわけでもないけど」



「...」



「...」



お互い無言が続く。

なんかものすごい気まずいんだけど...



別に俺とティアラは仲が悪いわけではないしむしろいいほうだと思うんだけど、今はなんか話しかけにくい。



「えーと... とりあえず何か飲み物もってくるよ」



俺は耐え切れずに席を離れようとする。

すると、



「あ、あのごめんなさい。 気まずいですよね。 私のほうからきたのにだんまりだなんて」



「い、いや、大丈夫だよ。こっちのほうこそなんかごめん。 話があるんだよね。 いいよ、何でも聞いて!」



ティアラは少しためらったように見えたが、話し始めてくれた。



「あの、ソウタさんはなに者なんですか?」



「え?」



これは予想外だった。 まさか俺が異世界から来たことがばれたんだろうか。 まぁ別に特に内緒にすることじゃないしばれたところでなにも問題ないんだけど突然言われれば俺だってびっくりする。



「こんなこと話すのは失礼も承知でするのですが、私にはソウタさんが普通のひとだとはおもえません」



「と、いわれてもな... 俺はいたって普通の人間だと思うぞ。 腹も減るしのども乾く、それにつねられれば痛い」



俺は自分の腕をつねってティアラにいう。



「いいえ、体の構造ではなくて知識のほうです」



知識? 俺そんなに頭のおかしな行動してたのか? この世界に来てからずいぶんと経つが今まで普通だと思ってやってきた行動が実はおかしな行動でみんなから白い目で見られてたんじゃないかと不安にかられる。



「俺、そんなに頭のおかしい人間にみえるのか!?」



不安にかられた俺はティアラに聞いてみる。

そこでうーんとティアラは考え込んでしまった。



やってしまった… なんてことだ。 俺は今までであった人たちからそう思われていたのか…

どうしよう! 明日から表を歩けない!




「あ、ええっと、普段の生活がとかじゃないです!」



あからさまに落ち込んだ俺を見てティアラが慌てて訂正する。

だとしたら、何に対して普通じゃないと思ったんだ?




「普段のことではなく、その、 突然ですが『天使』の存在を信じますか?」



ティアラはそう尋ねてきた。

何か場面が違えば宗教勧誘のようにも聞こえるが俺はティアラの質問に対してしっかりと答える。



「まぁ前までは信じてなかったけど今は信じてるよ」




「それなんです。 世の中の一般常識としては『天使』は空想上の存在なのです。 それなのに今日ミーナさんとソウタさんはさもいることが当然のように話していました。 それは普通に考えておかしいことなんです。 でもイヴさんやこの街を襲った『人造天使』を見るところに元となったものがあるというのは信じがたいことですがわかりました。 そこで初めの質問に戻るわけなんです。 ソウタさん、あなたは何者なんですか?」




ああ、そう言うことか。

そういえば街を襲った『人造天使』を初めて見たとき、みんな驚いてたもんな。

俺もイヴが天使の初見だが、そもそもこの世界に送り込んだ神さまという存在をすでに知っていたのであまり驚きはなかった。

そうだよな、日本で俺は神さまがいると信じる!とか天使はいるんだ!とか言ったら頭おかしい人と見られかねないからなー。



「それに、ソウタさんは私たちの知らない道具をいとも簡単に使って見せました。 あれも普通の人間とは思えません」



まぁティアラにも神さまとか抜きで俺が異世界から来た人間ということを話したし、ティアラにもいいだろう。 それに話したほうがこれからの『戦争屋』のことも協力してくれると思うし。




「…わかった。 別に隠すことはないし、いくらでも話すんだが、ルナが来てからでもいいか? 俺もこの話題に関わる話をみんなにちょうど話しておきたいこともあったし」




「わかりました。 それでは私がルナさんを呼んできますね。 ちょうどお風呂から上がっている頃でしょうから」



と言ってティアラは一旦部屋を出て行く。

とりあえず長話になりそうだから俺は2人が来るまで飲み物でも用意するかな。



















「それでなに? 大事な話って」



ルナは俺の入れた日本で言うところのココアに似た飲み物を飲みながら聞いてきた。


あの後少ししてからティアラがルナを連れて戻ってきた。 ついでにイヴも来たのだがまぁ彼女がいることにはなんの問題もないし、うまく説明できないとき助け舟を出してくれるかもしれないのでいいとするか。




「さっきティアラに俺の出自について聞かれたからな。 ルナには話したがこの場でそれを含めていろいろ話したいことがあったから呼んだんだ。 まぁこのパーティの今後の方針を決める話し合い見たいなもんだ」



「ふーん。 ソウタは実はこことは違う世界から来たっていう話だよね?」



「そうそれ。 まぁあれから状況も変わったし改めて話すのもいいかなーと思って」



とりあえずルナは納得したようなので俺は話を始める。 でもなんかちょっと不機嫌なような? 気のせいか。


































「にわかに信じがたいですが、ソウタさんは『この世界』の人間ではないと。 それで戻るにはこの世界で起きている混乱を止めないといけないというわけですね」



「まぁ要約するとな。 俺が天使だのなんだのに特に驚きもなかったのは『こっちの世界』ではそれがいるのが普通だと思ったからだ」



ここは嘘をついた。 結局キリとかの話をしようか迷ったがティアラが話の途中話してくれたこの世界の宗教感的に言わないほうがいいなと思ったからだ。

なんせキリはこの世界に後から入ってきた神さまでもともといた神さまは行方不明だなんていったらぶっ倒れちまうかもしれないしな。





「そういえば、ルナもあまり『人造天使』を見たときは驚いてたが、その後ミーナの師匠が元天使だって聞かされたとき特に驚いてなかったな? お前はもともといることを言ってたのか?」



「ん? あたしはまぁ信じていたというかなんというかソウタに会ってこの世界は私の知らないことがまだまだたくさんあるんだなーと思ってるからそこまで驚かなかったかな。 それにソウタが異世界から来たのならあのおとぎ話と似てるし」



おとぎ話? 俺と状況の似たようなものがあったのか? というかうちのじーちゃんのことか?



「あ、私も思いました。 なるほど、あれがおとぎ話などではなく本当のことだとしたら神さまや天使もあながち空想上の存在ではないというわけですか」



「そのおとぎ話ってなんなんだ?」



勝手に納得する2人に俺は聞いた。

するとその俺の疑問にはイヴが答えてくれた。




「はい。 それはこの世界に昔から伝わる異世界から来た勇者の童話です」



と前置きをしてまるで子供に聴かせるようにその物語を話してくれた。


















むかしむかし、あるところにとても心の優しい少年がいました。 その少年は村一番の親孝行者として有名でした。 しかし彼が日々を暮らすこの世界は争いで満ち溢れていました。 人間やエルフ、獣人といったいろいろな種族が戦争を繰り返し多くの人たちが死んでいきました。 そんなある日彼の住む村の近くで大きな戦がありました。 村の人たちの半数が逃げ遅れ、村の老人たちの避難を手伝っていた彼の両親も逃げ遅れ死んでしまいました。 彼はとても悲しみました。 そして天に向かい叫びました。

『神さま! お願いです。 僕はどうなっても構いません。どうかこの世界に溢れる戦を止めてください! 僕のような悲しい思いをする人がいなくなるように』

それを聞いた神さまは少年の自分のことより他人のことを想う気持ちに心を打たれました。 神さまは少年の願いを叶えるべく天からの遣いを少年の元に送りました。 少年は驚きました。 神さまが遣いとして少年のところに送り込んだのは見たこともない服装をした少年と同い年くらいの少女だったからです。 少女はこの世界とは別の世界から来たと言いました。 少年は本当に彼女が争いをなくせるのか疑問に思いました。 しかし少女は見たこともない剣技で次々に戦を止めていくのでした。もちろん少年も彼女の手伝いをしました。 彼女が武力なら少年は知恵でそしてついには全ての争いをなくしたのです。 こうして世界は平和になり人々は2人の英雄をたたえ、勇敢に戦った者、『勇者』と呼びました。 しかし全ての争いをなくした少女は元の世界に帰らなくてはいけないのです。 少年はひどく悲しみました。 いつの間にか少年は少女のことが好きになっていたのです。 神さまは少年のその想いに気づき、少年に提案しました。

『勇敢で心優しい少年よ。 そなたが望むなら少女と同じ世界にそなたを送ろう。 しかしいったら最後この世界には戻ってこれなくなるがそれでも良いか?』

少年は迷いもなく頷きました。 こうして世界を救った少年と少女は別の世界へと旅立って幸せにくらいしました。












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