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第23話 秘宝の正体がわかるまで!

謎の2人---『戦争屋』と名乗った2人の襲撃から一夜明けた。




当主のおっさんことケントさんはあのあと無事に一命を取り留めたのだがしばらく安静が必要らしい。 街の方もあのあと黒ずくめたちを制圧して、今日から復興に向けて動き出したところだ。




「なんだったんだろうな、あいつら」



俺は復興する街の様子を俺らに与えられた屋敷の客間から見下ろしながらいった。



「わかんない。 でも私何もできなかった」


「俺も同じだ」



連中も魔王軍の魔物なのか? でもあの男のあれは…



いろいろ悩んでいるところにコンコンっとノックをされた。



「あの、入ってもいいでしょうか?」


「ああ、いいよ」



そう言って入ってきたのはティアラだった。



「ケントさんの様子はどう?」



ルナが心配そうに聞く。



「はい、先ほど目を覚ましました。 あのみなさん昨日はいろいろとありがとうございました」



「俺らは…別に何もしてないよ」



「い、いえ。祠では助けてもらえましたし、それに昨日の屋敷でのことでも私1人じゃどうしようもなかったですから、そんな落ち込まないでください」



ティアラは俺たちを励ます。



「それにしても、あいつら本当に何が目的なんだろ? なんか目的のためにはこの家の秘宝が必要とか言ってたよね? ティアラちゃん知ってる?」



ルナがティアラにきく。



「私も詳しくは知りませんがこのリューン家の初代当主が譲り受けた本…らしいんですよ。中身は何が書いてあるのかわかりませんが、きっと恐ろしいことが書いてあるのでしょうね」


とティアラが答える。



恐ろしい本か、あとでティアラかケントさんに見せてと言ったら見せてくれるだろうか?



「あ、そういえば私が昨日祠で持ってきたあれもその本と一緒に譲り受けたと聞いています」



と、ティアラは祠から持ってきた畳まれた布を広げた。



「ん? 何それどっかの家紋かな?」


「わかりません。 おそらくそのようなもののような気がしますね」



とルナとティアラがあれこれ思案を巡らせる。











ただ、俺だけは固まった。

わからなかったからではない。 俺はそれを知っているからだ。


なぜならそれは『俺がいた世界』のものだがらだ。




「なんで… それが、こんなところに…?」



「ソウタはこれを知ってるの?」


「そうなのですか? ソウタさん?」



ルナとティアラが俺に聞いてくる。



「知ってるもなにもそれ、『旭日旗』じゃね

か!」




「ちょっと! いきなり大声出さないでよ! きょくじつき? なにそれ?」


「俺のいた国の軍隊の軍旗だ。 なんでそれがこんなものがこんなとこにあるんだ!?」


「そうなのですか? なぜと聞かれても私にはわかりませんが、お父様ならなにか知ってるかもしれません。 私が案内します!」


とティアラが俺たちをケントさんの部屋に案内しようとする。


「え、でもケントさんまだ無理させちゃまずいんじゃ…」



ルナが心配するがティアラは



「もう喋れるくらいには大丈夫ですから。 それに昨日の2人がなぜその秘宝を欲しがっているのかわかるかもしれませんし」



といって、俺たちを連れて歩き出した。





俺たちはケントさん部屋に案内され、ティアラが事情を話した。



「なるほど。 ソウタくんといったね。 その『当主の証』は君の国のものだったのか?」



あれのこと『当主の証』って呼ばれてるのか。

今はそれよりも、



「はい、それは俺の国の軍隊が使っていた。 旗によく似ています」



「そうか、そういうことか。 もしこれが君の国の軍隊のものならば一緒に譲り受けた本もまた軍隊のものである可能性がある。 だから昨日の連中が狙ったのか」



「どうしてなのですか、お父様?」


ティアラがそうきく。



「ティアラよ、考えてみろ。 当家の家宝がもしソウタくんの国の軍隊のものならばこの本にはいろいろ軍の秘密事項などが書いてある可能性がある。 そしてそれは十中八九戦いに使うものだろう。しかしこれは初代、つまりは昔の時代にあったもので今はこの本を読む方法すらわからない。 そんなところに書かれた兵器の製造方だったり軍略だったりは今の人間の知らないものだ。 それが連中の手に渡ったら?」



「あ! それを手に入れてそれを読み参考にし今の人間には知らない兵器や作戦で戦争を始めると?」



そうだ。とケントさんはティアラにいう。


「昔この国にあった戦争の後当時の皇帝は平和のためといって当時の兵器やその設計図、作戦が書かれた紙などみな処分したのだ。 だからその戦争真っ只中の頃からあったこの本が奴らの手に渡ったら悪利用されかねないだろう」



とケントさんはいう。

この世界の昔の戦争がどれくらいのレベルか知らないがその本は旧日本軍のものである可能性が高い。

そして仮に、それが軍の秘密書類とかで兵器の製造方や作戦がかかれていれば間違いなくこの世界では明らかなオーバーテクノロジーだ。 なんせ魔法なんかはあるが生活水準は産業革命前のだいたい16、7世紀のヨーロッパ程度、日本で言えば戦国時代とか江戸の初期である。 そんな中に20世紀の兵器が戦争に使われたら明らかに一方的な殺戮になる。



「で、でも今の人たちは誰も読めないんでしょ? ならあいつらだって読めないんじゃないの?」



とルナが言うがケントさんは首を振る。



「それはわからん。 奴らが『人』でない限り読めないとは限らないかもしれない。 そこでソウタくんにお願いがある。 この『当主の証』の出自を知ってる君ならもしかしたら本も読めるのではないか? もし読めるなら書いてあることを教えて欲しい」



ケントさんはそういった



「読めてその内容を知ったらどうするんですか?」


「危険だとわかったらその本は燃やそう。 あいつらの手に渡りより何倍もマシだ。」


「!?」



俺が聞き返した問いにケントさんはキッパリと答える。



「いいんですか?」


「ああ、頼む」



といって古びた本を渡される。



表紙はかすれていて文字は読めそうにないが、パラパラめくり中を見たが中のほうは大丈夫なようだ。



まず、表紙を開けて1ページ目に書かれていたことを読んで確信した。




間違いない。 『この世界』には旧日本軍がきていた。


1ページ目にはこう書かれていた。





コレヲ読ンデイルデアロウ同志へ

君モコノ異世界デ戸惑ッテイルダロウ

私達ハ本国ニ帰レソウニナイ

シカシ、コノ世界ニ来タ君ガ本国ニ帰レルヨウ、ココニハ私達ガコノ世界デ体験シタ事ヲマトメタ

コレガ君ノ役ニ立ツコトヲ祈ッテイル

諦メズ行動セヨ

ソウスレバイズレ活路ハ開カレルデアロウ





大日本帝国海軍中佐

早川龍太





俺は無我夢中でその本を読んだ。

最初は対戦中の南洋での米軍との戦いのこと、そしてその最中濃い霧に包まれこの世界にたどり着いたこと、そしてこの世界の人たちといろいろ交流し最後にはこの世界の戦争に巻き込まれていったことが書いてあった。






俺は全てを読み終わり本を閉じた。

頭の中が混乱している。



旧日本海軍がこの世界に?

しかも『早川龍太』は俺の…




「ちょっと、ソウタ! ソウタってば!」


気がつくと俺はルナに肩を揺すられていた。



「ああ、ルナ」



「どうしたの読み終わったら、ボーッとして、それにすごい汗だし、なんか手も震えてるよ? なにか怖いことでも書いてあったの?」



とルナが心配そうに俺の顔を覗き込む。



「ああ、大丈夫、 もう平気だから」


「それでソウタくん、その本にはなにが書いてあったのかね?」



「これは俺のいた国の航海日誌です。 おそらく軍隊の船、軍艦の」



「そうか、そんなに動揺しているということはやはり危険なことが書かれていたのか?」


「いえ、すぐさまどうこうなるってことは書かれてはいませんでした。でも、この本を書いた人物に心当たりがあって」


俺でも信じられない。

未だに手の震えが抑えられない。



「心当たり? それは誰なんですか?」


ティアラがきいてくる。



「書いた人物の名前は『早川龍太』 俺の曾祖父です」
















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