第24話 これからの方針を決めるまで!
「曾祖父? しかし、この国で大規模な戦争があった初代当主の頃は今から200年も前だぞ? 時系列的におかしいのではないのかね?」
とケントさんがきいてくる。
200年も前?
そんなわけがない。 俺の曾祖父つまりひーじぃちゃんは太平洋戦争で戦死したと聞いていた。
ということは実際に生きていたのは約70年前であるからそんな昔ではないのだ。
向こうの世界とこちらの世界じゃ時間の流れが違うのか?
わからない、もうなにがなんだかわからない。
俺がなにも言えずに固まっているとティアラが
「ソウタさん、今日はもうお休みになったらどうですか? いろいろとパニックになってるみたいですし」
「ふむ、確かにその方が良さそうだな。 悪かったな無理をさせて」
ケントさんもそう言って俺たちを部屋へと戻るよう勧める。
「大丈夫? ねぇ私には話してくれない? 本当のこと」
とルナがきいてくる。
本当のこと? ルナはどこまで知ってるんだ?
俺は今まで東の島国から来たと嘘をつき続けて来た。
すでにそれが嘘だとばれてたのか?
「本当のことってなんだよ」
「本当のことは本当のことだよ。 みんなに言えないことがあるからその本を見てそんなに青ざめているんでしょ? 内容はわからないけど1ページ目からソウタの顔、青ざめてたもん」
「俺のことよく見てるな」
「そろそろあってから長いんだよ? それくらいわかるよ」
俺はその言葉に観念したのか話すことにした。
「あの本の表紙の裏には俺の元いた国の人に向けてのメッセージが書いてあったんだ。 そしてどうやら俺のひーじぃちゃんも俺と同じ『とばされてきた』人間らしい」
「『とばされてきた』?」
「そうだ。 おそらく別の次元から『とばされて』きた。 だから時間軸とかバラバラなんだと思う。 つまり俺は『この世界』の人間じゃないんだ。 しんじられないだろ?」
俺は自嘲気味に笑う。
それにルナは
「…しんじられない」
「だろ? いいんだ今のは忘れ…」
「しんじられない! なんで今までそれをいってくれなかったの!?」
俺は忘れてくれと続けようとしたのだがルナの言葉に遮られてしまう。
「え?」
「今まで嘘をつき続けてきたの? そんな大事なこと1人で抱えて、知らない世界で一人ぼっちで!」
ルナの顔を見ると今にも泣きそうな顔をしている。
「バカソウタ! 最初っから言ってくれれば協力したのに! 1人で抱え込むくらいなら私も一緒に悩んだのに!」
「あの日のこと本当に嬉しかった、私の悩んでたこと全部受けた止めてくれて、嬉しかった。 だから私にもソウタの悩み背負わせてよ、ソウタばかり背負ってばかりはずるいよ…」
あの日とはおそらくルークの言葉に傷ついたルナを励ました日のことだろう。
ルナは堪えきれなかったのか、ついに泣き始めてしまった。
「ルナ、ありがと。あと別にルナのことに関しては別に重みなんて感じてないよ。 それにこの世界に来て寂しいとかそんなことは感じたことはない。 いつもルナが一緒にいたからな」
「な、ななななな、なにいってんの! 一緒にいて寂しくないって、それって、それって、私はソウタにとってどういう…」
今度は顔を真っ赤にするルナ。
「一緒にいて退屈しない仲間だ! だから背負うもなにもない」
「バカソウタ!!」
殴られてしまった。
あれ? 俺さっきまで慰められる側であって殴られる側じゃなかったんだけど?
「じゃあ私たちの目的を変えないとね。 東の国に行ってもソウタの国はないんでしょ?」
「いや、そのままでいいと思う。 俺のひーじぃちゃんは200年前にこの世界の戦争をどうにかするために呼ばれたんだと思う。 だったら俺も同じような使命を負ってるはずだ」
「同じような…ということはこの世界の今の問題って!」
「魔王討伐だな。 あともしかしたら『戦争屋』とか呼んでる連中も」
「そんな…」
「まぁ無理もないな。 もし迷惑ならここでこのパーティ抜けてもらってもいいんだけど…」
「ソウタ、また殴られたい?」
「悪かった。 協力してくれるか?」
「もちろん、どこへだろうとお伴します!」
と敬礼みたいなポーズをとる。
こちらの世界もそのポーズあるんだな。
どうでもいいことで感心するのであった。
「でも、無謀だよ。 まだまだ私たちじゃ。 魔王の幹部にも勝てるかどうかわかんないし…」
確かに前のエスタのことを考えるに瞬殺されそうだ。
だが、1つ考えがあった。
あの航海日誌を見る限りひーじぃちゃんは『1人』できたわけでなく、『全員』できたと書いてあった。
そして彼らは港街であるこの街を拠点にし、そこからは基本は動かなかったそうだ。
あくまで予想だが動かなかったんではなく、動けなかったのではないのか。
つまりは、
「もしかしたら、なんとかなるかもしれない」
「え? なにか策でもあるの?」
ルナが俺にきいてくる。
そう、ひーじぃちゃんはこの世界に『船』ごと飛ばされてきたのだ。
そう、太平洋戦争中現役で戦っていた旧日本海軍の船ごとこちらの世界に飛ばされてきたのだ。
もう200年立ってるので動くのかどうかわからないが、というかそもそも動かせたとしても操縦できるかどうかわからないがそれでも船内に『日本』の武器が残されていているかもしれない。
こちらも動くのかどうかわからないが、もし動けば間違いなく戦力アップ、船が動かせるなら文字どおり無双できるだろう。
「とりあえず魔王討伐は置いておいて、『戦争屋』の狙ってるところを探して先回りしよう」
彼らはこの世界にない武器を探しているようだった。
なら、彼らが行くところに恐らく『日本』の武器がある。
「『戦争屋』ねー でもどこにいるんだろう」
「それなんだよなー」
1番の問題は彼らの足取りがわからない。
そこへドアがノックされる。
「あの、ソウタさん。 大丈夫ですか?」
中に入ってきたのはティアラだった。
「ああ、心配かけたな。 もう大丈夫だ! それよりも…」
とティアラに『戦争屋』がどこに行った心当たりがないか聞いてみた。
「うーん… わからないですね… あ、でもこの街から東に行った。 ベルンの街はどうでしょうか? あそこは魔法科学の街として有名ですから」
「魔法科学?」
なんだ? 魔法科学って?
疑問に思ってたらルナが答えてくれた。
「魔法科学っていうのはいわゆる錬金術のことだよ。 たしかに、そこならあいつらの欲しそうなものがあるかもしれない」
錬金術か、やっぱこの世界なんでもありだな。
「よし、それじゃそのベルンの街に行ってみるか!」
こうして『戦争屋』の足取りを探すため俺たちはベルンの街を目指すことにした。




