第17話 祠につくまで!
評価、感想など常時募集中です!
俺らはティアラの当主継承に必要な儀式のために試練の祠を目指していた。
「本当に申し訳ありません。 私を助けていただいた上にこんなことまでお願いしてしまって」
と申しけなさそうに言ってくるティアラ。
「いいですよ、気にしないでください。 人助けはあたりまえですから」
ティアラを安心させるために俺はそういうのだが、ルナの視線が痛い。
「ソウタ、わかってるの? 今回はとても危険かもしれないんだよ? どこから敵が出てくるのかわかったもんじゃないし」
「わかってるよ。 でも相手はティアラの当主継承を邪魔しようとしている連中だろ? なら、相手が魔物とかじゃない限りなんとかなるだろ」
「でも油断はしないほうがいいよ? 相手は百戦錬磨の騎士かもしれないんだよ?」
と、ルナはお節介が過ぎるほど心配してくる。 まぁルナは俺やティアラに怪我して欲しくないってのもあるけど逆にそんな大騒ぎしていると拍子抜けすることだってある。
なんだっけ? そうゆうの大山鳴動してなんとか
高校の英語の問題ででたような気がする
「ふふふ、ソウタさん。 大山鳴動して鼠一匹ですよ。 それにしてもソウタさんとルナさんはとても仲がいいですね。 パーティを組んで長いんですか? ジャックパンサーのときもなかなかのコンビネーションでしたし」
とティアラがクスクスと笑いながら尋ねてきた。
「いえ、俺たちは組んでまだ1ヶ月ってとこですよ。 コンビネーションがよく見えるのはルナが俺をうまくサポートしてくれるおかげですよ」
と俺は素直に答える。
まぁ、まぁねーっとルナは照れている。
随分と簡単なやつだなー
「そうなんですか!? たった1ヶ月ですごいです! あ、あのお二人はお付き合いとかされてるんですか?」
「な、ななななな、なにをいってるんですかっ! ティアラさん! 付き合ってるとかそういうのはないです!!」
顔を真っ赤にして頭から煙を吹き出すルナ。
「そうなのですか?」
とティアラがルナに聞くのだが、ルナが受け答え不能状態なので代わりに俺が答えた。
「ま、まぁ、俺らにそんなのがないっていうのは本当ですよ。大体どこのパーティもこんな感じですよ。 バカやって騒いで、時々喧嘩もするけど結局は仲直りしてみたいな」
「なるほど。 羨ましいです。 私もそんな一緒に何か楽しめる人たちと冒険がしてみたいです」
とシュンとしてしまう。
それもそうだろう。 今ティアラの家中つまりはリューン家は次期当主をめぐって絶賛抗争中なのだ。 それに家柄もあってあまり自由に人付き合いできないのだろう。
そんなシュンとしたティアラに俺は、
「なに言ってんですか。 俺らは、今回のクエストでは同じパーティに所属する仲間ですよ。 大丈夫! 僕らがなってあげますよ」
という。
目の前にいる家柄のせいで色々縛られている歳下の少女を少しだけでもいいからいろいろバカできる楽しみを味あわせてあげたいと本気で思った。
「ほ、本当ですか? 私なんかがいいんですか?」
「いいに決まってますよ。 よろしくです、ティアラさん」
と俺は手を前に出す。
「私のことはティアラでいいです。 あと言葉もかしこまらなくても大丈夫ですよ。 仲間ですから」
と俺の手を握る。
その顔はとても可愛い年相応の笑顔だった。
「さて、ここが試練の祠か」
目の前には小さな神殿のような建物が建っている。
「はい、ここには初代リューン家当主から伝わる家宝がありそれに祝詞を唱えることによって一人前の当主として認めてもらえるんだそうです。 もっとも試練の祠なんてかっこつけてはいますけどただの宝物庫だというのが実態です」
「なるほどな。 つまりは俺らはその祝詞とやらを唱えている間、妨害されないようにするのが仕事ということか」
「そうなりますね。 ソウタさん、ルナさん、お願いします」
「おう!」
「任せといて!」
その声を背中にティアラは祠の中に入っていく。
俺らは外で警備だ。
「反対派の人たちくるならこの時だよね」
ルナは緊張しているのか、やや硬い。
「大丈夫さ、俺らだって何回も修羅場は超えてきたんだ。 今回もなんとかなるよ。 きっと」
すると祠の中から何か大きな音がする。
「なに!? 今の音? 儀式の音…じゃないよね!?」
「ティアラはそんな危険なやつじゃねーっていってたからな、 だとすると先回りされて待ち伏せられてたか!?」
「とりあえず、私たちも中に入ってみよう!」
俺とルナは祠の中に入る。
入るとそこは下に続く階段になっており、壁に明かりは灯っているものの、薄暗いところだった。
「先に行ってみよう!」
俺を先頭にルナがあとに続く。
これはいざ敵に遭遇した時、すぐに戦闘ができるようにいろいろ考えて最近できたフォーメーションだ。 まぁルナが先頭で暴れてもいいのだが、俺が後衛をやると足手まとい以外の何物でもないのでこれしかないというのが本音だが…
階段を駆け下りるとそこは大きな広間になっていた。 そしてそこの中央で、
「ご、ゴーレム!?」
ルナが大きな声を上げる。
そう、広間の中央でティアラと対峙していたのはティアラの背丈の何倍もあるゴーレムであった。




