滅亡1
グレン
体が思うように動かない……。
目の前でブロームさんが血を流して倒れている。
見ているだけで気持ち悪い……。
震えが止まらない……。
あの男はこんなことをしてどうしてあんなに平然としていられるのだろうか……。
なんとか虚勢を張って振る舞ってはいるものの……もうそろそろ限界だ……。
死にたくはない、だけど誰かを殺したくないし、誰かに殺されたくもない……。
俺は一体どうしたら……。
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決戦を明日に控え、沈みかけた日が街を真っ赤に燃やす作戦会議からの帰り道、俺はフレロレと二人、家路についた。
「どうした?フレロレ?」
決戦は明日だというのになんだか落ち着かない様子のフレロレに思わず声をかけた。
かくいう俺もそんなに余裕があるわけではないが……、いや、だからこそ声をかけたのだろう……。緊張のせいかうまく自分をコントロールできない。
「うん……。いや……。」
何か思うところがあるのだろうが、言葉を濁すフレロレ。
「ため込むな。戦場で隙をつかれるぞ!」
吐き出させたかったのは本当にフレロレを心配してなのか……、自分でもよくわからない。
「うん。明日の僕たちの流れは、メンデル様とキーデルが王宮前で戦闘開始する前にキーデルが持ってきてくれた入場許可証を使って王宮に入り、メンデル様が軍を率いて王宮の前に来て場内がバタバタし始めたらその隙をついてスライルさんを奪還する。そして、戦闘の混乱をついて脱出……。グレンはどう思う?」
「そう、それだけ!至って簡単だろ!まったく何をそんなに心配してるんだよ!」
思っていた以上に大きな声が出た。けどこれは本心だ。
もしかしたら誰とも戦わなくて済むかもしれない……。
フレロレは何に不安を感じているんだ?
「違うよ。この国に巣食う闇についてだよ……。まだ何も解決していないのに……。」
……俺は目先のことでいっぱいいっぱいでそれについて考えている余裕はなかった。
そう、俺たちの本来の目的はスライルさんの心の負担を軽くすること……。
スライルさんを救出することはまた別の話だ……。
トルニエ事件に始まり、スライルさんの不調、解任……。
これだけの大掛かりなことをするには……。
「最高権力、つまり5人会議の力が必要になってくると思うんだ。あいつらの誰かが裏で糸を引いていると思うぜ!これだけの事態が起こって初めてやっと敵が見える気がするな!もう少し気づくのが遅かったらやばいことになっていただろうけど何とか間に合ったな!」
ここまでくれば馬鹿でもわかる。
この一連の事件はスライルさんを国の中枢から追い出し、自分が実権を握るためだろう。
この国に遭ってスライルさんが唯一の実力者である。
逆に言えばスライルさんさえいなくなれば権力はこの国はやりたい放題できる。
他にもいろんな要素があるとは思うけど、間違いない。あの豚どもの中の誰かだ!
「ふーん……。」
俺の考えと熱意とは裏腹にフレロレは淡白に答える。
フレロレとは意見が合わなかったらしい……。
「なんだよ、違うっていうのかよ!」
「え?いやそんなこと言わないよ!確かにあの中にこの一件にかかわっている奴はいるはずさ。」
「じゃあ、なんだよ、その言い方は!」
「何でもない……。」
そのままフレロレは俯く。
最近はようやく自分のことをちゃんと言えるようになったとて成長したなと思っていたんだが……、この歯切れの悪さは何だ?
大事な決戦を前に緊張して昔に戻ってしまったのか?
やれやれ……。
いや、フレロレに限ってそれはないか……。
俺も決戦を前にカリカリしているようだしな。
言うとかけがえのないものを失ってしまうような秘密があるのか……。
それとも脅されているとか命を狙われているとか言えない事情があるのか……。
「わかった。それ以上は聞かない。」
「ごめん……。」
そのまま二人黙って歩いた。
俺は歩きながら考えた。
確かに完全に忘れていた、俺の目的を……。
あの中に黒幕がいるとしたらもしかしてチャンスなんじゃないか?
5人会議の中にこの事件に絡んでいる人間がいることは間違いない。
俺が直接問いただせるのではないか?
それが手っ取り早い!
あの中で一番怪しいのはナートルだろう……。
俺の記憶にもない奴がスライルさんの後見人になるなんて納得いかない。
そこに悪意があるとしか思えない。
明日はこの街の全兵士が王宮の外に集まる。
中は手薄だ。
もしかして……、これは俺に真実を突き止めろと言う無言の兆候なのではないか。
「そうだ、明日決着をつけよう。これまでのすべてに!」
俺ならやれる!




