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滅亡2

フレロレ

「そうだ、明日決着をつけよう。これまでのすべてに!」


「……やめておこうよ。」

いきなり言ったグレンの一言に驚いたがすぐに僕は言った。

「なんでだよ!チャンスじゃねぇか!」

それはそうだけど……、

「やめておこう……。まだ敵がはっきりしてないんだから」

何だか妙な胸騒ぎがする……。


「……そんなこと言って、フレロレは犯人が大方分かっているんだろ?」

「え?」

驚いた。グレンが僕の思っていることがわかるのか……。

前はあんなだったのに……。

「いいよ……、言いたくないなら言わなくて。乱入して俺が見つけるから!」

……やっぱりわかってなかった。

この戦いははじめから武力でどうにかなる戦いじゃないんだ。

これはそういう戦いだ……。


でもグレンは言い出したら聞かない。

確かに決断の早さと意思の強さは僕にはない彼のいいところだが、同時に弱点だ。

僕がグレンに乱入してほしくないのはまだ感覚的なこと……。

どう説明してもグレンは納得しないだろう……。

やれやれ……。

僕にできるのはなるべく危険が少ないように妥協案をあげることだけだ。

自分の弱さが腹立たしい。

「わかったよ、グレン。じゃあ、こうしよう。僕がスライルさんの救出に向かう。その間にグレンは4階の会議場に乱入する。僕がスライルさんを連れて会議場に戻ったら速やかに3人で脱出する。これ以外は受け入れられない。」

「……わかった。」

とは言ったもののグレンは本当は納得していないだろう。

顔が少し歪んでいる……。

ここで言っても仕方がない。これは僕が当日何とか云って聞かせるしかない。


他に言っておかなくちゃいけないことは……、

「僕が思うに、5人会議で一番怪しいのは……ゴルジオ様だと思うよ。」

「……え?」

グレンは驚きの表情をする。

グレンは誰だと思ってたんだろう。

それはいい。僕の勘が外れたとしても実際あの中でグレンと戦うことができるのはゴルジオ様だけ……。

あの人を注意しておくに越したことはない……。


あとは……。

「そして、これも僕の勘でしかないけど、きっと何か想定外のことが起こる。僕たちが想定外の行動をしているようにね。だから、しっかり準備してね。」

「ああ、もちろんだ。」

とグレンが親指を立てる。

やっぱりわかってない。

グレンのその楽観思考が一番心配なんだ……。

「グレン、絶対に死んじゃ嫌だよ!」

「やけに必至だな!」

「これは冗談で言ってるんじゃない!」

「わかったよ。俺だって姉ちゃんが立派に嫁に行くところを見るまでは死ねないしな!」

「……今ので一番心配になった。」


そのあと、用事ができたとか言うのでグレンとは別れた。





スライルさんとともに4階まで駆け上がると奥から金属音が聞こえてくる。

僕の嫌な胸騒ぎは的中してしまったようだ。


「グレン、大丈夫!」

会議場の扉を勢いよく開くと大矛を持ったゴルジオ様、その横で血まみれになって倒れているブローム様、部屋の中途半端な位置で戦おうとしているのか逃げようとしているのかこれまた中途半端な体勢でいるバルテニー様、部屋の隅でただ怯えているナートル様と……知らない女の人見た目からして大臣かな……おそらくナートル様の後釜かなんかだろう、そして2本の剣を抜いてゴルジオ様をにらんでいるグレン……。

それにしてもグレンの様子がおかしい。

何かに怯えているような……、人が死ぬ瞬間を見てあの時のトラウマがよみがえったか……。心から慕っていた師匠が死ぬ瞬間を……。僕はグレンから聞いた話しか知らないけど事件は3年前なのに対してその話を聞いたのは1年前……。それまでずっと気持ちに整理がつかないままだったのだろう。

何にせよ、状況は最悪だ。


グレンとゴルジオ様は一度こちらを見たが再びお互いに視線を戻す。

他の人たちは何かをすがるようにただこちらを見たまま、何も言わず……、こちらを見たまま……。


そんな人たちはどうでもいい。

グレンを何とかしなくては……。

あとはもう帰るだけなのに……。



「フレロレ……。」

僕も何かしたいが何もできない。ひたすら頭を動かしてみるも何も出てこない。

そんなときスライルさんがそっと小声で耳打ちする。


「――。」

……。

驚きのあまり言葉を失う。


「そんな……。そんなの……。ダメですよ……。」

「でもここでグレンを見殺しにするわけにはいかないでしょう。」

そうだけど……最善手は……ほかにもあるはずだ。

まだ、考えれば他にも手があるはずだ!

あくまでスライルさんが言ったのは最終手段……。


しかし、僕がもたもたしているうちにスライルさんは走り出した。

「それではあとはお願いします。」

そう言い残して……。



友を救うか、国を救うか。

僕は今、究極の決断を迫られている……。



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