あぁ、憧れの!?
その昔、北海道にはゴキブリが殆ど住んでいませんでした。
空港のトイレなどで、それっぽい小さな虫を見かけると……
「なぁ、兄ちゃん。これってゴキブリだと思うか?」
「さぁ、僕も見たことないんで……」
みたいな会話が繰り広げられていた。
漫画やアニメで、ゴキブリは知っている。
しかし、見たことはない。
そんな存在だった。
生のゴキブリを見たことがあるのなら
「俺、ゴキブリ見たことあるんだぜ」
「マジか、すげぇな」
なんて自慢できるほどだった。
ある日、大阪の社員寮に帰ると、同室の者が何やら慌てていた。
デカいゴキブリが出たらしい。
え?
いた。
とても、デカかった。
これか。
これが、あの憧れの……
ちが……噂のゴキブリというヤツか。
一度見てみたいと思ってたけれど……
よく見ると、私のベッドの上で私の添い寝を待っていやがる。
それは勘弁して欲しい。
追い払おうとすると、飛びやがった。
こいつ、飛ぶのか……。
まぁ、翅ついてるしな。
「「うわぁぁ~」」
私と同室のものは、そんな声を上げた。
なんとかして、部屋から追い出すのに苦労した。
翌朝、半分寝ぼけたまま、朝飯を食べに食堂に行くと「バリッ」そんな音がした。
踏んでるじゃん……。潰してるじゃん……。
大阪の社員寮では、こうして、夜も朝もゴキブリからの大歓迎を受けた。
虫嫌いな上に、汚れを運ぶような虫はもっと嫌いです。
勘弁してよと思った。
でも、一度は見てみたいと思ってたんだよな。ホントだよ。
でも、二度は見たくないんだよ。ホントだよ。




