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歯車廻編②VSサンライザーその1

「気を付けろ廻……! やっぱりただのコマンダーじゃない……!」


 リョウガが鋭く目を細める。


「それは戦えば分かることだぜ! 構えろ!」


「こ、こうか……!」


 俺は慌ててギアシューターを構えた。


 向かい合う二人のコマンダー。

 巨大なギアフィールド。

 観客たちの歓声。


 懐かしい。

 ――だけど、全然違う。


 初めてだ。

 こんな大勢の観客に囲まれてギアバトルをするのは。


 初めてだ。

 玩具の小さなフィールドじゃなく、こんな馬鹿みたいに巨大なギアフィールドで戦うのは。


 でも。


 胸の奥で膨らむこの高揚感だけは、昔と何も変わっていなかった。


 やっぱり間違いない。


 この世界は――『遊戯機装ギアフォース』の世界なんだ。


『ギアバトル……SET……READY……GO!』


 スタジアムに重低音のガイダンスボイスが響き渡る。


「いけぇーッ! サンライザー! 先手必勝だ!」


 廻の叫びと同時に、サンライザーが射出された。


 太陽を模した黄金のギアフォースは、フィールドへ着地した瞬間、爆発的な加速でこちらへ突っ込んでくる。


 速い――!


 アニメで見ていた時とは比較にならない。

 金属同士が擦れる音、地面を蹴る衝撃、空気を裂く速度。

 全部が本物だ。


「あぶなっ……! 右だ! 一旦右に避けるんだ!」


 だが。


 俺のギアフォースは動かなかった。


「どうした! なんで動かないんだ!?」


「……ん?」


 廻が不思議そうに眉をひそめる。


 回避行動を取らない。

 反撃もしない。


 作戦には見えなかったのだろう。


 次の瞬間。


 サンライザーの突進が真正面から炸裂した。


「うわぁぁぁっ!?」


 激しい衝撃音。


 俺のギアフォースは大きく吹き飛ばされ、フィールド端まで転がっていく。


 重い。


 身体までダメージが伝わってくるようだった。


「な、なんで動かないんだよ……!」


 ギアフォースが思ったように動いてくれない。


 ギアフォースとギアシューターには“ソウルギア”と呼ばれる機関が搭載されている。


 コマンダーの感情エネルギーを読み取り、その意思をギアフォースへ伝達する中枢装置。


 感情が力になる。

 それがギアバトル。


 なのに。


 俺の感情は、まるで上手く伝わっていなかった。


 力が足りないのか?

 それとも――。


「あいつ、ギアバトルの腕前はそこまでじゃないのか?」


 リョウガが冷静に呟く。


「見た所、コマンダーの感情を受け取ってギアフォースを動かすという基本操作すらまともに出来ていない。明らかに初心者だ」


『ギアフォースのダウンを確認……カウントを開始します……1……』


 無機質なガイダンスボイスが会場に流れた。


 ギアバトルの勝敗条件は二つ。


 一つは、相手をフィールド外へ弾き飛ばすこと。


 もう一つは、ダウンしたギアフォースが五カウント以内に立ち上がれなかった場合。


 今、俺のギアフォースは完全にダウンしていた。


 このまま立てなければ負ける。


「ギアフォースの力の源は人間の感情エネルギーだ!」


 廻が真っ直ぐこちらを見る。


「心に迷いがあれば、思うように動かないぜ!」


『2……』


 カウントが進む。


「心に……迷い?」


「ああ! その迷いがある限り、ギアフォースはコマンダーに応えてくれない!」


 迷い。


 確かに俺は混乱していた。


 突然ギアフォースの世界に飛ばされて。

 身体まで子供になって。

 目の前には、アニメのキャラクターたちが本当に存在している。


 でも。


 今、俺の心を一番支配しているのは――。


 ユウヤだ。


 あの夏の日を境に、世界から消えてしまった親友。


 誰の記憶にも残っていなかった少年。


 その手がかりが、今まさに目の前にある。


 何故だ、ユウヤ。


 何故今になって俺の前に現れた?


 お前は俺の妄想じゃなかったのか?


 このギアフォースを見るたび。

 サンライザーと向き合うたび。


 嫌でも思い出してしまう。


 あの頃の夏を。


 ユウヤと一緒にギアフォースで遊んでいた、あの日々を。

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