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リリシーナ王女殿下おっぱい爆発事件  作者: 粟生木 志伸
第三章 おっぱい大脱走編
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第16話 対決! ササレクタ!! その4

土埃が晴れてきた。やがて、少し距離のあるササレクタ達の姿も見えてくる。


「やってくれるな……。いい攻撃だよ……」


 私は立ち上がり、服に着いた埃をパンパンと手で払いながら呟いた。やれやれ、この服は新調しないと、イルミネーニャに怒られちゃうな……。残念ながら、裾やズボンが少し破けてしまっている。丈夫なこの服も、ササレクタの一撃には耐え切れなかった。


 そう、今のは間違いなく有効打。しかも二段攻撃だ。蹴りと地面への衝突による、ね。辺りを見渡せば、叩きつけられた先の石畳も抉れ、その周りには亀裂が走っている。体もまだちょっと痛い。受け身は取ったんだけどねえ……。


「う・ふ・ふ! いいですわ! 実にいい!」


 そんな私を見て、ササレクタが嬉しそうに笑う。


「あの蹴りが、全く通じない!」


 いや、ちょっと痛かったんですけど。まあ言ってまで否定する事でもないか。しかし、こいつは私がピンピンしている事に、少しも悔しくないようだ。相変わらずか。ササレクタってこういう奴なんだ。相手が強ければ強いほど燃える、みたいな感じなんよ。でもなー……。


「た、堪らない……! ああ! ゾクゾクしますわああー!!」


 ササレクタが恍惚の表情を湛え、悩ましげな声で自分の体を抱きしめる。そして、うねうねと身を捩じらせ始めた。やめろよ、それ……。戦いの悦びを、そういう風に表現すんな。もろにエロいんだよ……。こいつは私と戦う時、大抵こんな感じになる。燃えるんじゃないんだ。悶えるんだよ……。


 頼むから、その性癖は何とかしてほしい。見てるこっちが恥ずかしくなるわ。ササレクタが美女ってのもあるけど、そんな奴があんな事やってると、妖艶さとでもいうのかそういうものがムンムンと醸し出されている様に感じる。周りでは兵達が「おお!」とか嬉しそうに、はしゃいでるのが聞こえるし。


 シビアナの持つ人妻の色気とは、また一味違うよね。でも、場所は選べよ。公衆の面前ですんな。ただの痴女だろ、それ。


「あぁああーん!!」


 そして、喘ぎ声を出すなや。レイセインやグスコも、若干引き気味だろうがっ。


「はあ……」


 ま、それはそれとして。私は、離れてしまったササレクタ達のいる場所まで跳んだ。そして、着地すると一言伝える。


「いきなり、あんな連携が取れるのは、凄いじゃないか」


 ここは、素直に褒めておこうじゃないの。今の連携は見事だったよ。まさか、あそこまで考えてるとは、思いもよらなかった。正直、舐めてたわ。


「う・ふ・ふ! 偶には、誰かと組むのも悪くありませんわね!」

「はっ! 光栄であります!」

「ありがとうございます……。殿下……」


 目の前の三人は、随分と嬉しそうだ。顔が綻んでいらっしゃる。グスコは兜被ってるから分からないが。私は、そんな様子を眺める。でもさ、あんなに手の込んだ作戦が、すぐに出来るなんて普通思わないよなあ。相談する時間なんか無かったのにさ。


――あーいや、この「普通は」という考え方は危険だわ。命取りになる。気を付けよう。


「う・ふ・ふ! 二人とも! 良い連携でしたわよ!」


 ササレクタはそう言うと、頭の辺りまで右手を上げた。すると、釣られてグスコとレイセインも手を上げる。そして、順々に二人と手を打ち合い、一緒になって楽しそうに笑い始めた。


 ふ、ふふふふ……。私をまんまと引っ掛かけたのが、余程お気に召したようだね、君たち? 確かに、自分たちの考えた作戦で、相手があれだけ思い通りにはまったら嬉しいわな。綺麗に連携できてたし。良かったね。いやあ、ホンット良かったわ。良かった、良かった。


――全然悔しくないから。ホント全然だから。むしろ、私もすっごく嬉しいから。こんなに強い奴らが、このトゥアール王国を守っているわけだからね。本当だとも。本当……。


 まあ、でもね? 今度は、そうはいかないからね? 本気を出すから。これからが、本番だから。勿論私は、宣言通り手加減なんかしてない。それは事実だ。しかしだねー、実は本気も出してないんだなー、これが。


 様子見って奴? ほら、ササレクタがどのくらい強くなっていたか、分からなかったからさ。警戒したというか、確かめたかったというかさ。あるじゃない。そういうの。それだよ、それ。相手の手の内を、知りたかったんだよ、うん。


 でもまあ、それも分かったし? 勝負はここからだよね、ここから。だから、全っ然悔しくないの。全然ね。


「でも今のは、レイセインちゃんとグスコちゃんだから、出来たことですわねえ」

「いえいえ、やはりササレクタ将軍がいらっしゃればこそ、でありますよ!」

「グっさん……。良いこと言う……」


 互いが互いを褒め称えるササレクタたち。美しき哉、その友情。でも、もういいんじゃないかな? そろそろやろうよ。こっちも忙しいんだ。早く仕返しを――、先生の所に行きたいんだよ。


 しかし、私抜きでいつまで経っても楽しそうに、話し込んでいる三人。流石に苛立ちを覚えてきたので、早く続きをと言おうとしたら、ササレクタが意外な事を口にした。


「久しぶりに、二人と組めて楽しかったですわ」

「小官も、であります!」

「はい……」


 は? 久しぶり?


「え? お前ら組んだの初めてじゃないの?」

「あら? 姫ちゃん、知らなかったんですの?」

「あ、ああ」


 そんな話聞いたことないぞ。初めてじゃないって……。じゃあ、いつ組んだんだ? ササレクタは普段西都にいるし、こいつらは、王都だろ?


「ほら、重樹の大軍が、西都にやって来たことがあったでしょ?」

「重樹? ――ああ、あの大規模掃討作戦の事か?」

「ですわ。この二人にはその時、わたくしの補佐をしてもらったんですのよ」

「え? そうなの?」

「ええ」


 ササレクタが頷くと、レイセインとグスコも頷いて肯定する。あの時かあ……。


 ちょっと昔の話になるんだけど、重樹の大軍が西都を襲おうとした事件が起こったのだ。事前にそれを察知していたササレクタは、王都と北都に援軍を要請。父様と北方将軍カンビノーセが、これに応えて大軍を西都に差し向けた。北方王国軍と中央王国軍の半数だったか。確か、ササレクタの要望した数より多かったはず。


 そして、西方王国軍は国境に必要なだけの兵を置いて、それ以外のほぼ全数が加わり事に当たる、かなり規模が大きい掃討作戦になった。父様や先生を筆頭に、私も参加したんだ。カンビノーセも来たな。私達は、それぞれ別々に分かれて、最前線の先頭で戦った。数人の補佐を付けてね。ササレクタも同じだったはずだ。その補佐がこの二人だったのか。


 ちなみに、王国軍は東西南北中央にそれぞれあり、中央は聖騎士将だが、他はそれぞれの方角にある将軍の軍隊だ。一応、全ての軍の最高指揮官、つまり統帥権を持つのは国王である父様なのだが、実質そうなっている。


 はあ……。道理で、あんなに息の合った連携が出来たわけだよ……。いやしかし、これは大分前の話。いくら組んだことがあったとはいえ、一緒に戦うのは久しぶりのはずだ。それなのに、そんな事もお構いなく、ここまで上手く私とやり合えるのは、やはり流石としか言いようがない。驚嘆に値する。


「――あれ? いや、ちょっと待てよ、ササ。でもその時って、グスコとレイセインは中央軍じゃなかったか?」


 私は辻褄が合わない事に気付いた。グスコは、今でこそ王都守護兵団の副指令だが、以前は中央王国軍に属していた。レイセインもそうだ。そして、この時の功績でグスコは王都守護兵団の副指令へ。レイセインは近衛騎士隊に配属なった。出世ってやつさ。確かシビアナからだったかな? そう聞いている。ただ、どういった功績だったかは、重樹の殲滅に多大な貢献したからってくらいにしか知らない。


 でも、今の話を聞く限り、あいつの補佐したってんだから、私達と別の最前線で頑張って、それでそうなったんだろう。だけど、そのササレクタは西方将軍。西方王国軍を取り仕切る。合同にはなったが、中央王国軍と指揮系統は全く違ってただろうに。


「この二人が、お前の補佐に就くのって変じゃない? 何かあったの?」

「――そうですわねえ……」


 私の疑問にササレクタは、思慮深げに目を落とす。少し空気が変わった気がした。ただ、グスコは分からないが、レイセインはきょとんとしている。彼女もよく分からないようだ。変わったのはササレクタだけ。あれ? どったの? そう思ったのだが、ササレクタは「もう少し……」と呟くと、すぐに表情を戻し、


「――う・ふ・ふ! 乙女の秘密、ですわ」


 などと、のたまい出した。お前何言ってんの?


「おい……」

「う・ふ・ふ! 姫ちゃんには、まだ・・教えてあげませんわ!」


――あ。私は気付いた。ササレクタは笑顔を装っているが、目が真剣だという事に。おいおい機密かよ……。しかも多分、王家絡みだ、これ。ええー……。あの作戦の裏に何があったんよ……。重樹だけじゃないの?


 こいつが今言ったこの「まだ」って意味はつまり、私が王位を継ぐまではってこと。その時になって初めて教えてもらえる事案になる。だから、どうしても今知りたいなら、先に父様の許可を取れと言っているのだ。


 私は王女だが、国の機密事項の全てを知る権利はない。制限がある。それに抵触するのだろう。そして、大抵その理由は、王家が関わり合っている。


 知らない情報なのにそれが分かるのは、父様に許可を取って知ったことが、多かれ少なかれ全て王家に関係していたから。ここから推察しているというわけ。


――でも、何だろ? 秘密にしなきゃいけない事って。ササレクタは、あの二人が補佐に就くのはおかしいと私に言われても、失言をしたという感じではなかった。機密と言っても、そこまでのものじゃないのかな? 個人的なものとか。王家との関わりも少ないのかも。まあ、あいつが自由人だからな。単純に気にしてないっていうのも、あるかもしれないんだけど。ふむ……。


「はあ……、分かった。そっちはいい。だが、その代わり教えろ」


 とはいえ機密となれば、面倒だ。後回し。それよりも知りたいことがある。


「あら? 何ですの?」

「あの土煙の中で、お前たちは何をしていた? どうして私の居場所が、あそこまで正確に分かった?」


 これも非常に気になっていた。一体何がどうなって、私は吹っ飛ばされる事になったのか。推察できるところはあるが、折角だ。さっさと戦いの続きもしたいが、場の雰囲気を変えるついでに聞かしてもらおうじゃないか。すると、ササレクタがにんまりと口角を上げる。うっ嫌な感じ。


「う・ふ・ふ。いいですわ。それじゃあ種明かし、しましょうか」


 そう胸を張って勝ち誇りながら、説明を始めた。

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