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リリシーナ王女殿下おっぱい爆発事件  作者: 粟生木 志伸
第一章 おっぱい鳴動編
15/101

第15話 勘違い

 シビアナがいる。

 ゴリって音が……。体が……揺れて……。


 ……。

 鼻と口に冷たい感触が……。

 息ができない。息……。



 んん!?


「ぶはあっ!」


 私は目の前を手で振り払った。その手は何かに当たることもなく空を切る。


「げほっげほっ」


 何が起こったんだ!?

 頭を振りながら目の前を見ると、シビアナがこちらを見ながら微笑んでいた。


 ――って顔が近い近い!


「うおっ!」


 シビアナの顔がいきなり目と鼻の先に見えたので、びっくりして反射的に数歩後ろに下がってしまった。


「はあはあはあ……?」


 何で呼吸が速いんだよ。

 その理由が分からず周りを見渡してみると、先生たちがこちらを心配そうに見ていた。

 何でそんな目で私を見てるんだ?



「殿下、気が付きましたか?」


 シビアナか……。気が付いたってどういう事だ?


――あっ、こいつが私の口と鼻を塞いでいたから息が苦しかったのか!

 思い出した。

 さっき顔に感じた冷たい感触はシビアナの手だ。


 はあ……待て待て。取り敢えずちょっと落ち着こう。深呼吸だ。


「すーーはーー……」


――よし。


「おい……。何で私の息を止めてたんだ?」


 何がしたかったんだよ。

 まさか息じゃくて息の根を止めようとしていたんじゃないだろうな……。


「殿下が、ぁ放心状態でしたので応急処置をしておりました」


――はははは。こいつ今王女様に向かって何言いそうになった?


「お前今アホって言ったよな?」

「いえ?」

「あほっ面って言いそうになったよな!?」


 あほっ面じゃなくても『あほ』という単語が最初にくる言葉のはずだ。あほんだらとか……えーとそういう感じの!

 とにかく今のは絶対間違いない。伊達に長いこと付き合いがあるわけじゃないんだよ!

 絶対思ってた事がぽろっと口から出そうになってただろ!

 それを次に続く言葉で上手いこと隠そうとしたんだろうが、私にはお見通しだ!

 

「あほっ面ですか?」

「そうだ!」


 よーしいい機会だ。ここで一発ビシッと言ってやる!

 もっと私を敬えよと。あと自分が飽きたら途端に面倒くさがる事もきちんと指摘してやる。

 今まさに面倒くさそうな顔してるしなあ!

 何て憎たらしい……!


 あっそうだ。

 テレルと遊ぶ機会をアホ呼ばわりした償いとしてもぎ取ってやるわ!

 冴えてるな私!


「仮にもしそうだったとして、どうして私が殿下にあほっ面などと言わねばならないのでしょうか?」

「え?」


 いや、普通に私のこと馬鹿にしてたんじゃないのか?

 えーと。

 そう言えばこいつ……私のこと放心状態って言ってたよな。

 あれ?

 私何してたんだっけ? 先生と話してたよな。


――あ。


 全く状況が呑み込めていなかったが、混乱していた頭が徐々に冷静さを取り戻してきて何が起こっていたかを思い出した。


「婚約指輪!!」


 そうだよ、婚約指輪だよ!

 なんで先生が婚約指輪なんかしてるんだ!?

 私は先生をキッと睨み付け駆け足で詰め寄った。


「先生! 婚約指輪ってどういう事ですか!?」

 

 先生に怒りの声をぶつけた。

 悪ふざけにも程がある。結婚できない私に対してそういうのはどうかやめて頂きたい。

 本当に心臓に悪い。

 敏感なんですよ。そういうお年頃なんですっ。


 時期女王という立場でありながら、縁談は悉く破談していってるんですよ?

 私の周りにいる女の子たちは、おっぱいが大きい順にどんどん結婚していってて、半端ない危機感が私を苛んでくるし……。

 それなのにそんな私に対して婚約指輪を填めるとか……!

 

 まあおっぱい云々は私の被害妄想が多分に含まれてるかもしれないですけどお……。

 で、でもやっぱりそういうのは良くないと思います!

 

「い、いやそのだな……。ローリエと結婚しようと――」


 ケッコン……? 血痕……? 

 どういう事だよ……。 血痕と婚約指輪がどう関係あるのさ?

 赤色以外他に共通点ないじゃん。それより婚約指輪に関係あることっていったら別に他にもいろいろ――。


 いろいろ、とっ――!?


「はああ!? け、結婚んん!!?」


 結婚だわ。先生にとってあまりにも有り得ないことを口にするもんだから、婚約と結びつかなかったわ!

 思い出したよ……。

 今はっきりとさ。

 先生がいきなり結婚するっていうもんだから意識が飛んだんだよ!


 でもって今も一瞬飛びかけたけどな!


 ていうか独りでどうやって結婚できるんだ?

 それだったら私の結婚問題だって解決だ――って違う!

 違う……。そうじゃない。結婚は男女二人で行うんだ。


 あ、相手は!? 相手は誰だよ! 

 先生と結婚しようなんて何処の物好きだ!


「誰と!?」

「だ、だからローリエとだな――」

「はあぁああ!?」


 何言ってんだ! バカバカしいことこの上ない。


「ローリエは婚約しているでしょうが!」


 ふざけんなよ。

 それにそんなこと言ったらローリエの婚約者に失礼だよ。


「少し落ち着け、リリシーナ! わしだ! ローリエは、わしと、婚約しておるのだ!」

「えええ!?」


 私は先生の隣にいるローリエを驚愕の眼差しで見た。

 おでこの可愛いこの美少女があんな中年のおっさんと結婚だと!?

 どんな奇跡だよ! 有り得ないだろうが!

――はっ!?


「まさかローリエの婚約者を亡き者にして……!?」

「違うわ! 何故そのような物騒な発想になるのだ! わしはそんな事せんわ! いいから落ち着け!」


 じゃあ他にどういった理由で婚約なんかできるのさ!?

 確かに先生は年齢を別にしたらこの国じゃあ超優良物件だよ。

 武芸の腕も私とやり合えるぐらいだ。確かに強い。

 学者としても有名だし、父様の信頼も篤いためこの国で相応の発言力がある。

 財力だってこれまでにあげた功績のお蔭でありあまっている。


 でも、全然女の子からもてなかったじゃん! 

 あんた、私と一緒で怖がられるか若しくは自分から超逃げてただろ!?


 それなのに、先生に子供がいたらそれくらいの歳と言えるようなローリエと、いきなり婚約っていうか結婚する!?

 ローリエって先生の助手じゃないのかよ。

 最初は名前も知らなくて助手(仮)って思ってたけど、助手(仮)じゃくて妻(仮)ってこと?


 もう何が何だか分からないよ!

 いっぱいいっぱいだよ!


 私は自分の思考能力の限界を感じていた。



 いや待て……。

 地位、権力、財力……?


 3つの言葉が私に閃きをもたらす。

 そして、混乱していた私の頭が急速回転し、理路整然とした考えを叩きだした。

 私はそれが間違いようがないものだと確信した。



 ああ、そういう事か……。納得したわ。

 やりやがった。事もあろうにこの私が滅茶苦茶嫌ってることをしやがったんだよ……こいつは。



 この……ハゲは!!


「先生見損ないましたよ……。まさか金と権力にものを言わせるとは……」

「リリシーナ……。いい加減にせよ……」

 

 黙れハゲ。

 お前の発言など最早必要ない。どうでもいいよ……。


「幼い娘に力で強引に手を出そうとするなんてね……」

「その言い方やめよ!」


 結婚できないからって、そういのは違うだろうが……。

 あんたも言ってたはずだ。

 女性は男子が一生をかけて守る大切なもの。

 例え相手の身分が低かろうがそんなものは一切関係ない。

 決して無理矢理力で自分の思い通りにさせようとしてはならないのだと。


 それを忘れてこのハゲは、よりにもよって私より年下の幼い女の子に……!

 変わってしまった。婚期を逃した者はこうも醜くなってしまうのか。

 非常に残念ですよ、先生……。


 そんなこと言ってるより早く結婚しろよと思っていた頃は、遥か遠い昔のことになってしまったようだ。

 

 許さんよ。絶対にな。


「もういいわ。黙れよこの……ハゲ!」



 部屋の空気が凍りついた。


 私には関係ないがな。

 聞こえるのはイージャンが小刻みに震るえて、あいつの着ている鎧の擦れる音だけだ。


 先生の気配が変わった。

 関係ない。


「ほう……。リリシーナ貴様、師に向かって今何と言った?」

「中庭へ戻れよハゲ……。教え子の一人としてその性根を叩き直してやる!」


 私の髪は燃えるように赤く輝きだした。


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